この記事は「これからプロジェクトマネージャー(プロジェクトリーダー)を目指してみたいけど、どんなスキルが必要なのかな?」という疑問に答えます。
目次
プロジェクトマネージャーとして20年
私は外資系企業でかれこれ30年働いていますが、そのうちの後半20年間はプロジェクトマネージャーとしてずっと従事しており、今も現役です。これまで取り扱ってきたプロジェクトは業務改善プロジェクト、システム導入プロジェクト、品質改善プロジェクト、組織改編プロジェクトなどなど多岐にわたっています。
そんな経験に基づいて、これからプロジェクトマネージャーになりたい、もしくはなってしまった、という初心者の方に実践的なアドバイスしてみたいと思います。
プロジェクト管理に必要な7つのスキル
次の7つです。
- 問題発見スキル
- 計画実行スキル
- 利害調整スキル
- 情報発信スキル
- 情報システムスキル
- 英語スキル
- 自己改善スキル
以下にそれぞれのスキルについて説明します。
問題発見スキル
プロジェクトというのはだいたい何らかのビジネス上のハードルがあって、それを乗り越える仕事です。ハードルを乗り越えるにあたって通常問題点がありますので、まずその問題を発見できることが重要です。
何が問題か分からなければ、ビジネス上のハードルを乗り越えることはできません。
逆に問題を発見できさえすれば、多くの場合は自動的に答えも見えてくるようになります。
問題には表面的に見える問題と根本的な問題があり、表面的な問題から根本的な問題を探ることが必要です。ここで使われるテクニックがいわゆるroot cause analysis(根本原因分析)で、例えば5 Whys(「なぜ」を5回繰り返す)や特性要因図のような手法が知られています。
クライアントのところへ行きますと大体こういった基礎分析が出来ていないので、まずは基本的な手法を使って問題発見を行います。根本的な問題が発見できさえすれば、それぞれの問題に対する対応施策も比較的に容易に立てることができます。
基礎的な分析手法については書籍「図解入門ビジネス新QC七つ道具の使い方がよ~くわかる本」などに詳しく書いてあるので参照するとよいです。
計画実行スキル
根本的な問題が定まったのであれば次にそれを解決するためのプロジェクトスケジュールを立てます。
私の場合はプロジェクトスケジュールを3段階ぐらいに分けて作成します。まず最初に一番大きな大項目のプランを作成します。次にその大項目に含まれる中項目のプランを作成します。そして最後に各中項目に含まれる小項目のプランを作成します。
この小項目は各プロジェクトメンバーの行動計画であり、具体的な担当者の名前が設定されます。つまり小項目を見れば、誰がいつからいつまで何の作業をするのかが分かるようになります。
こうして作ったプロジェクトスケジュールはクライアント(または上司)と定期的にレビューして、現状についてお互いの理解を合わせると共に、問題点がないかどうか検証する目的で使います。当然必要に応じて頻繁に修正を加えます。
とは言え、プロジェクトというのはほとんどの場合思うようには進みません。紆余曲折を経ながら、その時々の問題に対応しつつ、スケジュールを調整していくのが普通です。
そういった現実は書籍「予定通り進まないプロジェクトの進め方」に詳しいです。
問題を発見してそれを解決するための計画を作り、実行し、最終的にビジネスのハードルを乗り越えることができれば、それでプロジェクトは完了です。極端に言えば、「問題発見スキル」と「計画実行スキル」だけあれば充分であり、他のスキルは「おまけ」という感じになります。
ここから先は「おまけ」ですが、「あなたならでは」のより大きな付加価値をつけるために必要なもの、ということになります。
利害調整スキル
プロジェクトは様々な社内部署や、場合によってはお客様を巻き込んで実施することがあります。そうすると必ず利害対立が起きます。
つまり最終的には同じ目標を目指してるはずなのですが、ある人にとっては都合の良い事が別の人にとっては都合の悪いことになります。
こういう事が頻繁に起きますので、両者の利害を調整することがプロジェクトマネージャーにとって重要な仕事の一つとなります。
ただし、調整のやり方に公式やツールはありませんので、その都度両者の話を聞いてベストな解決策を提案するということになります。どちらか一方が勝つのではなく、いわゆる win-win の関係にできるように調整します。
これはなかなか経験を要することですから、プロジェクトマネージャー初心者であれば上司に相談するなどして支援してもらうと良いです。
情報発信スキル
現代では何においても情報発信が重要ですが、プロジェクトマネジメントにおいても情報発信スキルがかなり重要です。
なぜなら、プロジェクトは常に「変化」を伴いますので、変化を受け入れる人たちに「なぜその変化が必要なのか?」、「これからどういった変化が起きるのか?」を正しく理解してもらう必要があるからです。
これ怠りますと、変化を受け入れてもらうことができずに、「反発」となって跳ね返ってきます。つまり新しい仕事の仕方を拒否したり、新しい情報システムでは仕事ができないと言ってきたりします。
こういった問題は全て情報発信の問題です。場合によっては社長やトップマネジメントから用意した内容を情報発信してもらいます。正しい人が正しいタイミングで正しい内容を伝える、そういう準備をすることがプロジェクトマネージャーの仕事となります。
このスキルを磨くには「伝える力」をつけることが重要です。あたかもプロジェクトの成果物という商品を人々に買ってもらうと言うセールスコミュニケーションのような力な必要です。
情報システムスキル
プロジェクトマネージャーはエンジニアではありませんが、情報システムの利用者として、または簡単なマクロなどプログラマーとしてのエンジニアリングスキルが必要です。
情報システム導入プロジェクトである場合はもちろんのこと、直接情報システムと関係がないプロジェクトにおいても管理ツールとして情報システムを使うことは多々あります。
例えば Microsoft Office 365 サービスのような基本的なアプリケーションはもちろん、最近では Slack やMicrosoft Teamsといったツールを使ったコミュニケーションもシステム上で行われる事が多いです。このためこういったツールを使いこなせることが大事です。
また業務改善プロジェクトや生産性改善プロジェクトにおいて、エクセルのVBAマクロやGoogleのスプレッドシートなど「GSuite」の Scriptを使った簡単なツールをソリューションとして準備することがあります。こういった場合にわざわざ外注したりせずに、自分でマクロやプログラムを作ってしまうということがよくあります。
「GSuite」 が初年度20%オフで購入できるプロモーションコードがあります。必要であればご連絡ください。
こういった一歩踏み込んだらスキルがあると、「あなた」の付加価値が大きくなり、仕事を依頼されることが多くなります。
英語スキル
英語スキルが必要になるのは主に外資系企業のプロジェクトとなりますが、最近では国内企業のプロジェクトにおいても、海外進出や海外のパートナーとの共同作業など、プロジェクトの共通言語としての英語の必要性が高まっています。
従ってプロジェクトマネージャーはある程度英語ができるという状態が望ましいです。もちろんペラペラである必要はありませんが、少なくとも苦手意識を持たずに仕事で英語が使える状況までブラッシュアップすることが必要です。
英語の勉強方法についてはこちらの記事にも詳しく書きましたので参考にどうぞ。
自己改善スキル
最後にプロジェクトマネージャーに限らず自分で自分を改善できるスキルは重要です。簡単に言えば PDCA が回せることということになります。
私の場合は基本的に毎日 PDCA を回しています。 PDCA を回すと言うと大げさですが、毎日の仕事をプランして実行のあとで振り返ってみてチェックし、また翌日に活かすということを日課にしています(たまにさぼりますが)。
その具体的なやり方はこちらの記事に書きました。
ですが、これは実際に行うのはかなり難しいものです。
別に具体的な PDCA ツールを使わなくても良いのですが、プラン通り物事が進んだかどうか、振り返って、自分なりに反省し、 次の時に違うやり方でやってみる、という流れを体に染み込ませると良いです。
自分の経験では読書をするようになってから、こういった流れが自分の中に備わってきたように感じます。プロジェクトマネジメントとは直接関係ありませんが、読書を通じて気づきを得て、自分を客観視できるようになるという面があるようです。
以上、現役プロジェクトマネージャーが教える「プロジェクト管理に必要な7つのスキル」、という話題でした。プロジェクトマネージャーもやり方は人それぞれで、要は結果を出せば良いだけですので、PMBOKとかのセオリーにとらわれ過ぎないように自分なりの「道」を追求していけば良いでしょう。
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