【国税徴収法】税金を滞納したらどうなるか?滞納処分の流れと対処方法について

所得税であれば、3月15日が納付期限となっています。納付の方法は様々ありますが、いずれの場合でも納付期限を守る必要があります。もし1日でも遅れると「滞納」ということになってしまいます。

確定申告

国税を滞納しますと、国税徴収法に規定されている「滞納処分」というプロセスが開始されて、最終的には納税者の財産を差し押さえて、売り飛ばしてでも税金を回収する、ということになっています。もちろん、滞納してすぐに差し押さえになるという訳ではなく、手続きを踏んでいくことになります。

このおおよその流れと、払いたくても払えない時どうしたら良いのか、について説明します。



滞納処分の流れ

(1)督促状の送達

国税を滞納すると50日以内に「督促状」が送られてきます。払われていないようなので、払ってくださいね、というお願いです。ですが、実際にはそうやさしい感じではなく、この督促状を送ることによって、この後法的に「差し押さえ」ができる要件が整うことになります。

(2)催告

法律では督促状を送ったら、10日以内に滞納者の財産を差し押さえなければならない、となっています。ですが、実際にはいきなり差し押さえではなく、催告といって「どうなっていますか?」という連絡が来ます。税務署もなるべく穏便にやりたいからです。

(3)財産調査

これでも払ってもらえないとなると、いよいよ財産の調査が始まります。差し押さえ可能な財産を特定するためです。調査では現預金、給料、動産、不動産、負債、など徹底的に調べられます。調査は自分や家族だけでなく、勤務先にも及んでしまいます。

この段階で差し押さえできない財産(生活していくうえで必要最低限の財産)を確認して、税金を徴収可能かどうか見ます。本当にお金がなくて払えない、差し押さえる財産もない、という場合もあるから、です。

(4)差し押さえ

差し押さえ可能な財産があると判断されると、税務署職員(国税徴収官)が家や事務所の捜索を行って、財産の差し押さえが行われます。差し押さえは現金化しやすい順序で必要な金額に達するまで行われます。まず、現預金、次に給料、動産(貴金属・自動車など)、不動産(土地など)といった順番です。

土地や建物のような不動産を差し押さえたときは、ローンのための抵当権が設定されていたりしますので、銀行などの利害関係者にも差し押さえの事実(登記されます)が通知されます。

(5)公売による換価

差し押さえた財産は「公売」という手続きで他人に売却されて、現金化されます。現金化のことを「換価」といいます。最近はヤフオクなどでも公売が行われているのはご存知のとおりです。換価されると代金は国と利害関係者で一定のルールに従って分配されます。



滞納処分を避けるためのアドバイス

以上が「滞納処分」の流れですが、なんとかこれを避けたい、ということになります。そのためにはどうしたら良いか?下記のアドバイスがあります。

(1)申告は期限内にする

国税には申告期限がありますので、これを守って申告だけでも期限内にしておきましょう。例えば、所得税であれば納付期限と同じ3月15日が申告期限ですので、たとえ納税資金が厳しくてもこの期限までに申告します。なぜなら、申告さえしないと「無申告加算税」という余計なペナルティが付加されてしまうから、です。

(2)早めに税務署に相談する

納税資金が厳しいときは、とにかく早めに税務署に相談すること、です。税務署も鬼ではありませんので、理由があって納税できない人の相談にはきちんと乗ってくれます。

(3)税務署からのコンタクトを無視しない

督促状や催告を無視すると、心象が悪く、悪質な納税者とみなされ、相手も強硬な手段を選んできます。そうならないように真摯な態度で応じましょう。

(4)少額でも良いから払う

税務署と相談の上で、少額でも良いから払って誠意を見せることが重要です。開き直って、無いから払わない、などと言うと、かえって逆なでして悪い結果になります。調査の結果財産が見つかったりすると最悪です。

(5)納税資金を確保しておく

国税は原則的に免除が無い(相続税など延納制度はありますが)ので、そもそも事前に納税を予定した資金を確保しておきましょう。所得税は所得がベースなので、まだ事前準備しやすいですが、うっかりしやすいのが消費税です。消費税は事業によっては意外なほど高額になる場合があり、事前に見積もって資金を確保しておくことが必要です。

ただ、税金の見積は場合により難しく面倒でもありますので、税理士に依頼するほうが良いです。税理士ドットコム のような税理士紹介サイトに登録して紹介を受けると良いでしょう。

以上、税金を滞納したらどうなるか?滞納処分の流れと対処方法について、という話題でした。滞納処分についてもっと知りたいという方は、次の本もお勧めです。



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