【中小企業の社長】中小企業の場合どうやって退職金を積み立てたら良いのか?



人手不足の折、特に中小企業では人材の確保が非常に難しくなっています。人事面での精度が弱いとなかなか良い人材が集まりません。

この記事では中小企業が退職金制度を導入する場合にどのように積み立てていけば良いか?について説明します。



中小企業にも退職金制度が必要

退職金の積み立てというのはそもそも法律で強制されるものではありません。各企業が独自に判断して積み立てていくものです。

このため退職金制度がない企業もそれなりにあります。2018年の厚生労働省の調査によると、30人以上の従業員がいる会社で退職金制度がない企業が19.5%あります。より小規模な企業であればこれがもっと多くなるでしょう。

優秀な人材を確保するためには、退職金制度を就業規則に盛り込んでしっかり積み立てていくことが重要です



中小企業の退職金相場

では退職金の相場はいくらぐらいかと言うと、中小企業退職金共済事業本部の調査では以下の通りとなっています。定年退職であれば1,000万円から1500万円ぐらいです。

(出典:中小企業退職金共済事業本部)

もちろん途中で退職すればそれ相応の金額となるわけですが、これだけの金額を積み立てていくというのはそれなりに大変なことです。

どうやってこの金額を積み立てるかと言うと一般的に2つの方法があります

ひとつは企業確定拠出年金を積み立てる方法です。もう一つは中小企業退職金共済制度を活用する方法です。



企業確定拠出年金(企業型DC)

企業確定拠出年金は企業型 DC とも言われ、民間の証券会社等を通じて退職金を積み立て、そして運用によって増やそうという方法です。

この場合、掛け金は通常会社が払いますが、従業員も同額まで合わせて掛金を拠出できる「マッチング拠出」と呼ばれる制度も利用できます。つまり会社側と従業員側でお金を出し合って退職金を積み立てることも可能です。

確定拠出年金の掛金は全額非課税ですし、さらに社会保険料の算定からも外れるので社会保険料の軽減効果も期待できます。従業員のためだけでなく、企業にとっても価値があります。

例えば、 SBI証券 の企業確定拠出年金は従業員1名から導入可能です。ひふみ投信など他の証券会社もいろいろありますので、興味があれば資料を取り寄せてみてください。

中小企業退職金共済制度(中退共制度)

中退共制度は全国の中小企業がお金を出し合って助け合う退職金制度です。掛金の一部を国が助成していますので、少ない掛け金で多くの退職金を得ることができるお得な制度になっています。

中小企業退職金共済制度
http://chutaikyo.taisyokukin.go.jp/

中退共制度の特徴は次のとおりです。

  • 掛金は口座振替
  • 掛金月額が5000円から30000円の範囲で従業員ごとに選べる
  • 一定の要件を満たせば通算制度でまとまった退職金になります
  • 退職金は直接従業員に払われ会社の手間が省けます
  • 従業員の福利厚生に利用できる提携サービスが充実

中退共の場合も掛金は全額非課税となり、会社のとってもメリットがあります。また、会社にしていなくても個人事業主でも従業員のために中退共を利用することができます

ただし、中退共はあくまで従業員のためののもで、会社の経営者(役員)や個人事業主は入ることができません。

さらに、特定業種(建設業、清酒製造業、林業)には専用の退職金共済制度があり、重複加入はできません。



役員や個人事業主なら小規模企業共済制度

従業員の退職金は企業確定拠出年金や中退共でカバーするとして、役員や個人事業主の本人の退職金はどうやって積み立てるのか?という問題があります。

これをカバーするのが、小規模企業共済制度です。

小規模企業共済制度は国の機関である中小機構が運営しており、小規模企業の経営者や役員、個人事業主などのための、積み立てによる退職金制度となっています。

小規模企業共済制度は個人所得の中から掛け金を納めていくもので、個人の銀行口座から振替で振り込む形となります。掛金月額は、1000円から7万円までの範囲内(500円単位)で自由に選択できます。

掛金は加入後も増減可能で、全額が所得控除の対象となりますので、所得税の節税にも有効です。

以上、中小企業の場合どうやって退職金を積み立てたら良いのか?という話題でした。年金が2000万円不足するといった問題が騒がれましたが、退職金制度はだれにとっても老後資金をつくる上で重要です。優秀な人材を確保して人手不足倒産といった事態を回避するためにも検討してみると良いでしょう。

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