この記事では、中小企業の社長が経営者保証(個人保証)を外して身軽になるにはどうしたら良いのか?といった疑問に答えます。
目次
経営者保証には功罪がある
中小企業や小規模事業者が銀行などの金融機関から事業のための融資を受ける場合には、社長個人が保証人になるなどの「経営者保証」をつけることが一般的です。規模が小さいビジネスであればなかなか信用が得られませんし、社長が保証人になることで経営の規律が正されるという面があるからです。
ですが、経営者保証があるばかりに、新規事業など思い切った投資が出来なかったり、事業承継をしたくても後継者は保証人の立場まで承継することになり、結果的に日本の中小企業や小規模事業者が衰退してく弊害がありました。
そこで、金融庁がこの状況を変えるべく、平成25年12月「経営者保証に関するガイドライン」を公表し、平成26年2月から運用が開始されました。
「経営者保証に関するガイドライン」とは
経営者保証に関するガイドラインとは一言で言えば、一定の条件を満たしたなら、金融機関は経営者保証を外しなさい、というものです。経営者にとっては大変に助かる話ですが、金融機関にとってはリスクを取る話です。
このため、直近の資料によると、民間金融機関の活用実績は新規融資のうち平成29年度で14.3%、平成30年度で16.3%(金融庁調べ)となっています。まだ8割以上は経営者保証が求めれらているのが実情です。
ですが、金融庁が金融機関にプレッシャーをかけていますので、徐々に経営者保証が外れるケースが増えていくものと考えられます。
もっともこのガイドラインの実施は法的な強制力はなく、あくまで金融機関の個別の判断によるとされています。
「経営者保証に関するガイドライン」の適用条件
では、どんな条件を満たせば経営者保証を外してもらえるのか?というと、次のような条件になっています。
「ガイドライン」は、次のすべての条件を満たす保証契約に適用されます。
(1)主債務者が中小企業であること。
(2)保証人が個人であり、主債務者である中小企業の経営者等であること。
(3)主債務者である中小企業と保証人であるその経営者等が、弁済に誠実で、債権者の請求に応じて負債の状況を含む財産状況等を適切に開示していること。
(4)主債務者と保証人が反社会的勢力ではなく、そのおそれもないこと。
出典:政府広報オンライン
つまり、中小企業の社長が個人で保証しており、誠実に債務弁済し、財産状況等の開示を適切に行っていること、です。
割と普通のことが条件となっており、別段難しい話ではありません。では、なぜ活用がなかなか進まないのか?というと、金融機関が保守的過ぎる面もありますが、経営者側から金融機関が納得できるだけの情報開示が出来ていないという面があります。
どういう情報を提供する必要があるかというと、次のようなことです。
- 法人と経営者の関係の明確な区分・分離を証明する
- 財務状況や業績の改善に向けた取り組み
- 自社の財務状況を把握し、資産負債の状況や事業計画、業績見通し及びその進捗状況などの情報を説明する
専門家のサポートを受けよう
つまり、金融機関に客観的な証明を行って信用してもらう必要がある、ということです。
しかし、これらのことを中小企業の社長が自ら行うのは大変です。外部の専門家のサポートを得ながら情報を整理して金融機関と交渉することで、はじめて経営者保証を外してもらえるでしょう。
特に事業承継を迎えて経営者保証を外すという場合には、後継者にスムーズに承継させるためにもしっかりとした準備が必要なので、専門家のサポートが必須となります。
専門家を活用する場合は有償となりますが、中小企業基盤整備機構の「専門家派遣制度」を利用すると、無料で最大年3回まで、弁護士・会計士・税理士などの専門家の支援を受けることができます。まずは、地元の商工会や商工会議所に相談されると良いです。
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以上、中小企業の社長の経営者保証(個人保証)を外して身軽になる方法、という話題でした。社長が全てを自分ひとりで対応することはできませんので、こういった外部のリソースをうまく活用するようにしましょう。
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