【社長の高齢化】中小企業の経営者や個人事業主が認知症になったらどうするか?事前に対策できる3つのこと 



中小企業の経営者がどんどん高齢化しています。高齢化によって認知症のリスクが高くなり、万が一経営者が認知症となるとそのままビジネスが潰れてしまう危険があります。

そうなる前に、元気なうちにできる対策がありますので、紹介します。



事前に対策できる3つのこと

次の3つが元気なうちにできる対策です。

  • 任意後見人を選任する
  • 家族信託を設定する
  • 遺言書を書く

3つとも準備するのがベストですが、いっぺんに全部は大変ですので、一つひとつ準備できれば良いでしょう。以下に内容を見ていきます。





任意後見人を選任する

認知症になると判断力が低下するため、経営者が会社の代表者としての法律行為できないように制限されてしまいます。例えば、設備投資をしたりとか不動産を売買したりといったことが出来なくなります。これは個人や会社の財産を保護するためです。

このような場合、家庭裁判所が弁護士や司法書士といった第三者を「法定後見人」として選任してきます。これらの人が実印を預かってハンコを押すことになるのですが、時として本人の不利益になるとして同意してくれない場合があります。

このような場合に事業の運営が思うようにいかず、非常に困ることになるのです。

これを避けるには「認知症になる前に」、自分の子供など事業の後継者を「任意後見人」とするように家庭裁判所に申し立てる方法があります。任意後見人を事業の後継者としておけば、万が一認知症となったとしても代表者としての権限を移すことができます。

この場合でも任意後見人が好き勝手にできないように、裁判所は「監督人」を置いて見張らせることをします。

任意後見人は税理士など普段から付き合いがあり、経営を理解している第三者にも設定が可能で、複数人で役割を分割することもできます。第三者である任意後見人や監督人には通常報酬が必要で月1-2万円程度支払うことになります。

もし「まだ税理士をつけていなかった」という場合は、この際検討してみると良いです。税理士ドットコム 税理士紹介ネットワーク といった無料の紹介サービスを使えば、自分にあった税理士を見つけることができます。



家族信託を設定する

もう一つ別の方法として、または任意後見人と組み合わせて活用できる方法として「家族信託」があります。

家族信託は株式や不動産といった特定の事業用資産の管理や保全・処分の権利だけを子供など事業の後継者に渡すものです。この渡す行為を「信託する」と言い、信託された人(子供・後継者)を受託者、信託した人(親・現経営者)を委託者と言います。

資産から得られる利益(受益権)を親・現経営者に帰属させれば、受益者はその親のままですから、贈与税は発生しません。つまり、贈与税ゼロで、事業用資産を後継者である子供の管理下に変更することができます

万が一親・現経営者に認知症が発症したとしても、後継者である子供が自らの判断で事業資産の管理や保全・処分を行うことができます。これを贈与税ゼロで実現できることがメリットとなります。

例えば、家族信託の対象資産が土地なら、所有権は移転していないので、不動産取得税はかかりませんが、固定資産税は受託者にかかるため、後継者が払う必要があります。不動産取得税がかからないこともメリットです。

ただし、次のようなデメリットもあります。

  • 家族信託を設定すると事業承継税制が使えなくなります。また、本人が亡くなったときには受益権の相続により相続税が発生します
  • 信託した資産と信託していない資産とで所得税の損益通算ができません
  • 家族信託には信託契約書の作成が必要ですが、これは難易度が高いです。銀行や弁護士など専門家のサポートが必須でコストがかかります

この「事業承継税制が使えない」問題はわりと痛いです。事業承継税制についてはこちらの記事で説明しています。





遺言書を書く

本人が亡くなってしまった場合、原則として後見人はその役割を終えてしまいます。当然と言えば当然ですが、任意後見人であったとしても遺産相続にまで口出しすることは出来ません。

そうなりますと、財産の分割やその相続については、全く別の問題として配偶者や子供といった相続人に降ってかかります。このときに俗に言う「争族」の状態になりやすいです。

従って、自分の家族が争ったりしないように、まだ元気なうちに「遺言書」を残すようにしましょう。

また、遺言の内容を実行する「遺言執行者」を第三者に設定してくとなお良いです。遺言執行者は後見人と異なり、本人が亡くなった後の事務手続き(不動産の売却など)を実行する人です。冷静な第三者がこれを行うことで「争族」を防ぐことができます。

最近の民法改正により、遺言書は以前に比べてだいぶ気軽に作成できるようになってきました。以前はかなり大ごとというイメージでしたが、作成コストも下がっており、取り組みやすいです。

最近の遺言書作成については、こちらの記事に詳しく書きましたので、ご参照ください。





以上、中小企業の経営者や個人事業主が認知症になったらどうするか?事前に対策できる3つのこと、という話題でした。高齢化が進んで今後より大きな問題になっていくと考えられています。早め早めの行動が必要ですね。

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