この記事は「個人事業主(フリーランス)として独立したら健康保険や年金はいくらくらい払うのでしょうか?」といった疑問に答えます。
目次
健康保険は「国民健康保険」年金は「国民年金」
個人事業主(フリーランス)の場合、一般的には健康保険は「国民健康保険」、年金は「国民年金」に加入します。
健康保険は国民健康保険以外にも、退職前の会社の保険組合を継続する(ただし全額自己負担で最長2年間まで)、一定の職種の場合には健保組合に加入する、といった方法もありますが、普通は市町村が管轄している国民健康保険です。
年金は会社員時代には「厚生年金」に加入していましたが、退職と同時に脱退となり、「国民年金」(老齢基礎年金)のみとなります。いわゆる一階部分のみです。
個人事業主では負担がアップ
会社員であれば、健康保険料も年金保険料も会社が半分負担してくれているのですが、個人事業主になるとこれが全額自己負担となります。結果として健康保険料は負担額がアップすることになります。年金保険料は通常は厚生年金よりも低くなりますが、その分将来貰える年金額も低くなってしまいます。
このため、短期的にも長期的にも個人事業主(フリーランス)は経済的に厳しいものがあり、「お金」の計画は会社員時代よりも慎重に立てて、毎年ライフプランを見直すようにしたほうが良いです。
シンプル社会保険ツール
そこでそのようなライフプランの助けになるように、個人事業主向けに社会保険料を試算するツール「シンプル社会保険ツール」をエクセルで作成してみました。このツールは計算に必要な諸条件を入力すると、個人事業主の1年分の国民健康保険料と国民年金保険料を試算してくれるものです。
計算式だけで構成された簡単なものです。エクセルがインストールされていれば動作しますので、よろしければこちらよりダウンロードしてみてください。もちろん無料です。
ツールの使い方
ダウンロードして「Simple-Social-Insurance-v1.xlsx」を開くと下図のようになっています。このうち、太枠で囲まれた青字部分をご自身に状況に合わせて書き換えていきます。背景がグレーのセルは自動的に数字が埋まるようになっています。
全部情報を記入すると、合計欄の最後に国民健康保険料と国民年金保険料のそれぞれ1年分の金額が算出されます。21/22行目の赤字の太字になっている金額です。
あらかじめ埋まっているデータは次のような事例を想定したものです。
- 埼玉県所沢市に在住の「給与」さん一家
- 太郎さん(41歳)が事業主で個人事業を営み、妻の花子さん(38歳)と息子の一郎さん(18歳)が青色専従者として一緒に働き、給料を支払っている。もう一人の息子はまだ高校生(16歳)で仕事は手伝っていない。
- 太郎さんの前年の総所得額(事業収入から必要経費を引いた金額)は300万円。花子さんと一郎さんの前年の総所得額(給与から給与所得控除を引いた金額)はそれぞれ75万円とゼロ。
- 固定資産税額は無い
国民健康保険は市町村が管轄しているので、所得割率などその他の条件は市町村のホームページを参照して数字を埋めていきます。
国民年金保険料は毎年改定され、全国一律です。令和2年の場合、被保険者1人につき16,540円と決まっています。
こうして数字を埋めていくと、上記の例では国民健康保険料477,200円と国民年金保険料396,960円が算出されます。合計で「給与」さんの世帯全体で年間約87万円の社会保険料の負担があることが分かります。
保険料の支払タイミングにも注意
国民健康保険の場合、4月から翌年3月までの1年分を、6月から翌年3月までの年10回に分けて払うルールになっています。国民年金は当月分を翌月末日に払う年12回払いが基本です。
このタイミングの違いにも注意しておく必要があります。
法人成りで費用を削減
このように個人事業主(フリーランス)にとって社会保険料の負担は結構大きいものです。これを節約する方法があるのか?というと、個人事業主の事業を「会社」(法人)にする(これを「法人成り」といいます)という方法があります。
法人成りすると、健康保険は「協会けんぽ」という中小企業向けの保険組合に加入することが多く、また年金は「厚生年金」となります。これにより全体としてコストを削減できることが多いです。具体例としては以下の記事でシミュレーションしていますので、ご覧ください。
また、法人成りにより社会保険料の一部は個人ではなく会社が負担するようになり、会社の所得が圧縮できるため、節税効果も見込めます。つまり会社にとっても社長個人にとってもプラスということです。
実際にこのような社会保険料の費用の問題を理由として、個人事業主が「ひとり社長」として従業員ゼロの会社を設立する例も多くあります。そういった選択肢もある、ということは頭の片隅に置いておいて頂くと良いでしょう。
以上、社会保険料(健康保険と年金)を計算するエクセルツールを作りました、という話題でした。少子高齢化の流れで社会保険料の負担は増すばかりです。将来の保証を確保しつつ、足元の費用負担をどうやって削減するか?は難しいテーマになっています。
一人で悩まず税理士など専門家に相談してみる、というのもアリです。「ノウハウズ」なら無料で質問することもできますよ。
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