【知らないと損】個人事業主の住民税を安くする方法はあるのか?

この記事は「個人事業主ですが住民税が高くて困っています。住民税を安くする方法ってあるのでしょうか?」といった疑問に答えます。

住民税はブラックボックス



住民税は所得税の申告をするとその申告した内容が役所に転送されて税務署から役所に転送されて自動で計算されるものです。例年であれば3月中旬までが所得税の確定申告期限で、その情報を元に役所で住民税を計算し、6月からの新しい1年間の税額が決まります。

このように住民税を自分で計算することがないため、どのようにしてその全額が決まっているのかわからず、ブラックボックスのようになっています。

市役所のホームページなどを見ると住民税の計算方法が丁寧に説明されていますが、これを読むという人もほとんどいないでしょう。実際には毎年6月に送られてくる税額決定の通知書見て「あーそうなんだ」とため息をつくことになります。

ですが所得によっては、所得税よりも住民税の方が高いといったことがあり、 その計算については一応知っておいた方が良いものです。





住民税と所得税の計算方法の違い

住民税も所得税とほぼ同じ計算のルールになっています。つまりまず所得を計算して、所得控除の金額を差し引いた残りの金額に税率をかけて税額を出します。この流れは一緒です。

住民税と所得税とで違うところは主に3つあります。

(1)所得控除の金額が異なる

(2)税率が異なる

(3)住民税では均等割という考え方がある

以下にそれぞれ見ていきます。



(1)所得控除の金額が異なる

住民税にしろ所得税にしろ計算の出だしは所得の計算です。給与をもらっている人であれば、給与の収入金額から給与所得控除の金額を差し引いた残りが給与所得です。個人事業主であれば、事業の収入金額から必要経費の金額を差し引いた残りが事業所得です。

所得求めたら所得控除の金額を差し引きます。所得控除の金額はその人の状況により様々に異なりますが、同じ控除項目であっても所得税と住民税では控除の金額が異なることがあります。例えば代表的なところで次のようなものです。

所得税住民税
基礎控除48万円43万円
配偶者控除38万円33万円
扶養控除(一般)38万円33万円
生命保険料控除(旧)5万円まで3.5万円まで
生命保険料控除(新)4万円まで2.8万円まで

このように少しずつ住民税の方が控除金額が少なくなっており、すなわち税負担が重くなります。これが積み重なるとけっこうな違いとなります。

会社員として給与をもらってといる場合と独立して個人事業主になった場合とで住民税が変わりますか?というご質問を頂くことがありますが、所得が一緒なら会社員でも個人事業主でも住民税の計算方法は変わりません。収入が一緒なら給与所得控除と必要経費の大小により税額が変わることになります。



(2)税率が異なる

所得税と住民税の違いで大きいのは税率の違いです。ご存知の通り所得税では累進課税制度となっており、所得金額によって税率がだんだん大きくなるようになっています。

(出典:国税庁ホームページ)

例えば所得が500万円なら、5,000,000 x 20% – 427,500 = 572,500円が所得税額です。

これに対して住民税の税率は全国どこに住んでも所得がいくらでも「ほぼ10%」で一律です。「ほぼ」というのは何かというと、政令指定都市などでごくわずかに多かったり、少なかったりすることがあります。

よく「XX市は住民税が高い」といった話がありますが、所得に基づいた部分(所得割といいます)は些少な差こそあれ大きな違いはなく、ただの都市伝説なのです。



(3)住民税では均等割という考え方がある

所得税と住民税の考え方で大きく異なるのは、住民税には均等割という考え方があるということです。住民税は所得に基づいて計算される所得割と均等割とを合計したものになっています。

均等割とは所得の大小に関わらず徴収される一定の金額で、通称「ゴミ処理代」と言われています。その自治体に住んでいれば所得に関係なくゴミを出すので、その 処理代に相当する金額であるという意味です。 

この均等割については各県が独自に超過課税を行うことがあります。というより超過課税をしていないのは東京都など一部の県だけで、それぞれの県がそれぞれに超過課税を行っています。 このため、均等割の超過課税のために住む場所によって住民税が違う可能性がありますが、金額的には年額で500~2000円程度の違いです。

私が住んでいる埼玉県所沢市では超過課税はなく、均等割は年5000円(市民税3,500円+県民税1,500円)となっています。皆さんのお住まいの自治体がいくらになっているかはホームページなどで確認することができます。





住民税を節税する方法

先に見た通り住民税を節税する方法は「所得控除」を活用してしっかり適用を受けるということに尽きます。以下の15種類(記事執筆時点)の中から使えるものがないか、申告もれがないか探してみることです。

  1.  基礎控除
  2.  医療費控除
  3.  雑損控除
  4.  寄附金控除(ふるさと納税含む)
  5.  生命保険料控除
  6.  地震保険料控除
  7.  配偶者控除
  8.  配偶者特別控除
  9.  扶養控除
  10.  社会保険料控除
  11.  小規模企業共済等掛金控除(iDeCo含む)
  12.  障害者控除
  13.  ひとり親控除
  14.  寡婦控除
  15.  勤労学生控除

会社員の場合であれば、「ふるさと納税」、「iDeCo」、「生命保険」、「地震保険」といったあたりチェックすると良いです。保険についてはライフステージによっては無駄にたくさん入っても意味が無いという場合もあり、充分に検討する必要がありますが、ふるさと納税やiDeCoはやらないと損です。

ふるさと納税は単に税金の前払いをしているだけ(翌年の住民税額が安くなったように見えます)ですが、返礼品の価値分が節税と同じ効果となっています。まだやったことが無かったという方は以下の記事など参考にデビューを検討して見て頂ければ。

また個人事業主の場合であれば、「小規模企業共済等掛金控除」を増やして所得控除の金額自体を増やして節税するという手が使えます。

小規模企業共済等掛金控除は国がやっている「中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)」などを対象としたもので、掛金が全額所得控除となります。以下の記事で紹介したとおり、これはやっておいて損はないでしょう。





以上、個人事業主の住民税を安くする方法はあるのか?、という話題でした。必要経費を増やすだけの節税は結局お金が残らずあまり意味がありません。所得を確保しつつ所得控除や税額控除で節税を考えるのが良いということになります。

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