【会社設立】会社を新しく起業したら社会保険について必要な手続き3つ



東京商工リサーチの調査によると、ここ数年毎年の新設法人の下図は全国で約12-13万社くらいです(2018年「全国新設法人動向」調査)。つまり毎月1万社くらいは起業しているという勘定になります。

そういったこれから新設法人を起業しよう!という方へ向けて、社会保険関係で必要な手続きを説明します



社会保険関係ではこの3つが必要

新しく会社を設立したときには、社会保険に関連して基本的に次の3つの手続きをする必要があります。これらは法律で強制されており、任意という訳にはいかないものです。

  • 健康保険と厚生年金の加入手続き
  • 労働保険の加入手続き
  • 雇用保険の加入手続き

このうち、健康保険と厚生年金の加入手続きは従業員なしの「ひとり社長」でも必要となりますが、労働保険と雇用保険については人を雇った場合にのみ必要となります。

以下にそれぞれの手続きを見ていきます。





健康保険と厚生年金の加入手続き

健康保険と厚生年金は従業員がいなくても、原則として強制的に加入することになります。

会社を設立したら速やかに所轄の年金事務所に出向き、「健康保険・厚生年金保険新規適用届」を提出します。

またその際に、自分を含め全加入者分の「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」を提出し、保険料の支払い方法について「健康保険・厚生年金保険保険料口座振替納付申出書」を提出します。

さらに、配偶者や子供など扶養している人がいる場合には、合わせて「健康保険被扶養者(異動)届 国民年金第3号被保険者関係届」という書類も提出します。

つまり、最大4種類の書類を提出することになります。

社会保険料の支払いは、会社と従業員が半分ずつ負担して、全額を会社の口座から払うことになっています。支払いのタイミングは当月分を翌月末に払います。

例えば、4月分の給与から半分を預り金として天引きし、もう半分を会社の費用(法定福利費)として、5月末に口座から引き去りの形で支払います。

支払方法については、口座振替だけでなく、「保険料納入告知額通知書」を受け取って自分で振り込む方もあります。クレジットカード払いはできません。手間を考えると口座振替がおすすめです。





労働保険の加入手続き

労働保険(労災保険)は業務により生じた怪我や病気を保障するための保険で、一人でも従業員を採用していると原則として強制的に加入となります。

必要な手続きは、従業員を採用したら採用日の翌日から10日以内に「労働保険関係成立届」を所轄労働基準監督署に提出することにより行います。提出の期限が決まっているので注意が必要です。

また、従業員を採用したら採用日の翌日から50日以内に「保険料申告書」を提出して概算保険料を納付します。

労働保険は社会保険と異なり、その全額を会社が負担し会社が支払いますが、支払いの考え方がトリッキーで、年度当初に概算でいったん申告・納付し翌年度の当初に確定申告の上精算することになっています。

この仕組みが分かりにくいのですが、要するに最初概算で仮払いしておいて、1年間の給与の増減など考慮の上最終的に保険料を確定させ、差額を精算する、ということです。

結果的に、前年度の確定保険料と当年度の概算保険料を併せて申告・納付することになります(これを「年度更新」といいます)。

翌年からは、原則として例年6月1日から7月10日までの間にこの手続を行うことになります。





雇用保険の加入手続き

雇用保険も労働保険と同様に、一人でも従業員を採用していると原則として強制的に加入となります。主に失業したときに失業手当を支給するための保険で、その他にも教育訓練など雇用を確保するための保証となっています。

従業員のある事業所を設置した場合には、事業所を設置した日の翌日から10日以内に「雇用保険適用事業所設置届」を所轄ハローワークへ提出する必要があります。これも期限が決まっているので注意が必要です。

さらに、従業員を雇ったことについて「雇用保険被保険者資格取得届」も合わせて提出します。

保険料については、労働保険と異なり従業員と会社がそれぞれ負担しますが、社会保険料と違って半分ずつという訳ではありません。会社側の負担のほうが重くなっています。

毎月の給与から従業員の負担分を預り金として天引きし、年に一度申告・納付します。この申告・納付は労働保険と一緒に行います。従って、労働保険と同様に最初概算保険料で支払って年度更新していく、という段取りに従うことになります。





社会保険関係の手続きでミスしないためには

法改正によって現在では会社設立がかなり簡単にできるようになりました。ところが、会社設立に付随する様々な届出(税務関係や社会保険関係など)は依然としてややこしいままで、ミスしやすいものです。

ミスなく起業するために最も良いのは「専門家に助けてもらう」ことでしょう。例えば、税理士の先生が最初からついていれば、いろいろと相談できるので安心です。

もし「これから税理士を探します」という方は、税理士ドットコム >や<税理士紹介ネットワーク >といった無料のマッチングサービスで探す方法もあります。社会保険関係の届出は社労士の仕事ですが、税理士先生から紹介されることも多いです。

「いやいや、自分でなんとかするよ」という方であれば、開業freee 【人事労務freee】 といったクラウドサービスを使った書類作成が早くて便利です。多少の費用はかかりますが、専門家に頼むよりは安価に済ませることができます。

以上、会社を新しく起業したら社会保険について必要な手続き3つ、という話題でした。今の時代ググれば大体のことは分かるので、それで1つ1つ対応しても良いですが、結構手間暇がかかり効率が悪いです。やり直しも多くなりますし、そもそも本業が忙しいければそれどころではありません。外部のリソースを効率よく使っていくことも考えましょう。

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