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理由を言えない日本人
外資系企業の日本法人で30年近く働いています。長年見てきた中で、外国人従業員と日本人従業員との最も大きな違いは、「理由」を言えるかどうかということです。
日本人が書いたメールや会議での発言をみていると、なぜそうなのかの「理由」を省略していることが非常に多いです。結果として、相手の言っていることが腑に落ちないということがよくあります。
この記事では、なぜそのような違いがあるのかを説明し、外資系企業で成功するためにはどのようなコミュニケーションをすれば良いか説明します。
Assertivenessについて
英語で自己主張のことをAssertivenessと言います。Assertivenessとは理由を持って自分の考えを述べることです。
理由もなくただ言いたいことを言う、ということではなく、なぜそう思うのかということを合わせて主張することが重要です。これは様々な文化を背景とした人たちが集まって仕事をする外資系企業においては、全員の行動のベースとなる考え方です。
日本人は、伝統的に「以心伝心」を前提に「皆まで言わない」、「言わなくてもわかって」という文化があり、このAssertivenessが圧倒的に欠落しています。このために外国人からすると、どうしてそういう主張をするの分からない、ということがよくあります。
Whatだけ言ってWhyを言わない
例えば日本人から受け取るメールを見ると「XXしてください」というタイプの依頼内容だけが書いてあるということがよくあります。ですが、そこにはなぜこの依頼をしているのかの背景説明や理由が書いてありません。
こういうメールを受け取ると非常に困ることになります。なぜならその依頼の重要性がわからないからです。期限が書いてあれば急ぎであることがあっても、それが重要なことなのかどうなのかは判断がつきません。
従って仕事の優先順位を正しくつけることができなくなり、後回しにされたり、最悪はスルーされてしまうということになります。自分の場合であれば、理由を尋ねる返事のメール送るのですが、そのやり取りがそもそも無駄です。最初から理由が書いてあれば、必要のないやりとりということになります。
Why-Becauseロジックを徹底させよう
日本人特有の以心伝心も日本企業の閉じた世界であればとても効率的で素晴らしいコミュニケーション・システムなのですが、グローバルな環境では機能しないです。たとえ日本人だけの環境であっても、新しい世代の人達にはだんだん機能しなくなっていくことでしょう。
今後は常にWhy-Becauseのロジックを徹底させるようにする必要があります。 Why-Becauseのロジックとは理由をしっかり述べるロジックです。まさに上述のAssertivenessということになります。
なぜ自分がそのように主張するのかその背景や理由をわかりやすく相手に伝えるようにしましょう。最初は面倒に感じるかもしれませんし、そこまで細かく説明する必要はないのでは?と思うかもしれませんが、そうしてようやく相手に通じるものです。
外資系企業への転職を成功させるには
もし外資系企業への転職を考えるのであれば、Why-Becauseロジックに基づく考え方が必須となります。逆にこのような自己主張ができなければ、外資系企業で成功することはできません。
ただし難しく考える必要はなく、情報発信したりメールを書いたりなど、人に何かものを伝える時に、Becauseにあたる部分すなわち理由や背景を合わせて述べるように練習しましょう。ちょっと相手に迷惑かなと思うぐらい馬鹿丁寧がちょうどいいです。
どうしても文章が長くなりがちなので、手短にまとめる工夫が必要となりますが、それもまた練習です。 Why-Becauseのロジックを使いながら、短文で簡潔にまとめるのもスキルの一つとなります。
こういった練習は普段の仕事の中で何気なく実行すれば良いですし、具体的に外資系企業の転職を準備するということであれば、リクルートエージェントのキャリアアドバイザーの方にお付き合いいただくのが良いです。
リクルートエージェントのキャリアアドバイザーは外資系企業で通用するコミュニケーションにも長けていますので、皆さんが発信する情報が外資系企業で通用するかどうか検証してアドバイスしてくれることでしょう。このようになるべく第三者から客観的なフィードバッグをもらった方が良い練習になります。
以上、外資系企業への転職で成功の秘訣は「理由」を言えること、という話題でした。外資系であるかにかかわらず、今後はAssertivenessがますます重要になっていくことでしょう。