外資系企業にお勤めの方であれば、報酬の一部としてRSUの提供により自社株を取得するということがあるかと思います。この場合、取得した株式をいかにして日本円に変えるか?、どのようにしたら一番お得か?という疑問があります。
この記事ではこういった疑問に答えます。
目次
新生銀行かソニー銀行への送金がお得
例えば米国系企業であれば、RSUで取得した株式は米国の証券会社に米ドル建てで提供されることが多いです。これを日本円に替えるまでの道のりは基本的に次のようになります。
- RSU株式が売れる状態になる(一般に RSUで提供された株式は複数年にわたって徐々に売れる状態になります)
- 売れる状態になった自社株を株式市場で売却する(この売却は通常の株式の売却と同じで、いわゆる指値で売ることも、成り行きで売ることもできます)
- 売却の結果得た米ドルを日本の銀行に送金する
送金の手続きで発生するコストが問題です。現時点で最もコストが安いと考えられるのは、米ドルの送金先を新生銀行かソニー銀行にすることです。
その理由は、米ドルを入金させた際に日本の銀行で発生する手数料(被仕向手数料といいます)が無料だからです。以下に具体例で見ていきます。
日本の銀行に送金する方法とそのコストの比較
外国の証券会社から日本の銀行に送金して、円で引き出すまでにいくつかの手数料が発生します。具体的には次の通りです。
- 送金元の証券会社で発生する送金手数料
- 中継銀行の手数料
- 被仕向手数料
- 為替手数料
このうち送金元の証券会社で発生する送金手数料は、自分の場合は無料です。おそらく無料としているところが多いかと思います。
中継銀行というのは外国送金をする場合に中継を専門に扱う銀行というのがあり、その銀行を経由して日本までお金を持っくる仕組みなので、中継銀行手数料というのはどうしても必要なものです。正直あまり価値がないサービスなのでやがて淘汰されると思いますが、少なくとも現時点では払わざるをえません。
問題は次の被仕向手数料で、銀行によってかなり幅があります。いわゆるメガバンクですと2000円から2500円程度かかります。新生銀行かソニー銀行ならこれが無料です。
残念なことに、最近になって新生銀行については2019年12月16日より有料化される、という発表がありました。具体的な手数料は次の通りです。
(出典:新生銀行)
ただし、ここで注目しておきたいのは米ドルのまま送金を受け取れば、手数料は18ドルだということです。為替レートによっては2000円を下回ります。
さらに受け取り時点のステージが「新生プラチナ」「新生ゴールド」なら、1件につき、2000円をプレゼントするキャッシュバックプログラムを予定している、ということでこれらのステージに該当すれば実質無料が続くということになります。
この有料化はおそらくマネーロンダリング対策です。新生銀行の口座を通過させるだけのマネーロンダリングを防ぐために行っているものと考えられます。「新生プラチナ」「新生ゴールド」のようなある程度資産をホールドしている人に対しては引き続き無料ということです。
ソニー銀行も現時点では依然として無料のままですが、同じような指導が金融庁から来てるはずですので、おそらく近い将来に同様な有償化が行われるでしょう。
結論:新生銀行かソニー銀行に口座を開設しよう
以上のように被仕向手数料が無料となる新生銀行かソニー銀行がお勧めですが、これらの銀行にはもう一つメリットがあります。それは外貨のまま送金を受け取ることができるということです。
例えば米ドルのまま口座に入金しておき、為替レートが有利となった時に円に変えるということが可能です。また新生銀行であればステージによって為替手数料が優遇されますので、さらにお得ということになります。
私も基本的にこの方法を使っており、米ドルを被仕向手数料無料で新生銀行の口座に入金させて、為替レートが良い時に円に替えるという作戦を使っています。ドル円のレートはある程度循環的に上下しますので、不利な時には両替しません。
また新生銀行にもソニー銀行にも、外貨をチャージ可能なプリペイド式カードがあります(新生銀行ではGAICA、ソニー銀行ではSony Bank WALLET)。これを使うと海外旅行の時に外貨を外貨のまま使うことができます。つまり、両替手数料ゼロ円とすることができるのです。海外への旅行や出張が多い方にはお得でしょう。
結論として、新生銀行かソニー銀行に口座を開設して、送金を受ける方法がおすすめです。「新生プラチナ」「新生ゴールド」に該当するなら新生銀行 がベストです。
RSUで株式を取得したり売ったりすると確定申告が必要
RSUについてもう一つ注意点は RSUで株式を取得すると、その取得した年の所得税について確定申告をしなければならないということです。 普段サラリーマンですと確定申告に意識がないために忘れがちですので注意しましょう。詳しくはこちらの記事をご参照ください。
さらに株式を売却した時には売却益に対して所得税がかかります。売却は海外で行われますが、海外では課税されずに日本の所得税がかかるルールになっています。この場合にも確定申告が必要となりますので併せてご注意ください。
以上、外資系社員がRSUで取得した株式を売却した場合に、売却代金の米ドルを日本に送金するお得な方法とは?という話題でした。RSUではなく最初から日本円で払ってよ、と思うのは私だけでしょうか。まあ、頂けるだけありがたい話ではあります。