【転職】外資系企業で30年働いて感じる外資系のメリット・デメリット



本業(という言い方は好きではないのですが)は外資系企業でプロジェクトマネージャーをしています。先日「はた」と気が付いたら来年2020年4月で勤続30年を迎えることになりました。あと数か月間でクビにならなければ。

我ながらよく外資系に30年もいたなと思うのですが、この記事では結果論的に分かった、外資系で働くことのメリット・デメリットを整理してみます。これから外資系企業を目指す方の参考になれば幸いです。



私の場合

私が働いてきた会社は米国系のハードウェアの製造業です。この会社に新卒で入り、その後社名変更や会社分割を経て会社の名前自体は4社目ですが、ずっと同じ会社で働いています。

外資系と言っても米国企業の日本法人での経験があるだけです。ヨーロッパ系の企業や中国系の企業で働いた経験はありませんので、これらの企業で働くメリット・デメリットとは少し異なる可能性があります。

また同じ米国系でも、これまで聞いた中では金融のような業界の会社とは少し違うようです。米国系の外資系企業ではソフトウェアの会社も多いですが、ソフトウェアかハードウェアかによる違いはあまり無いようです。

日本企業については、お客様が日本企業ですし、副業の方は日本企業なので日本企業と外資系企業の違いというのはそれなりに理解しているつもりです。



外資系企業で働くことのデメリット

まずは、デメリットから。主なデメリットは次の通りです。

  • クビになりやすいこと
  • 人間関係が希薄であること
  • 変化が激しいこと
  • コミットメントに厳しいこと


クビになりやすいこと 

日本企業の場合人がいるので仕事を用意するという面がありますが、外資系企業の場合は仕事があるから人を雇う という発想になります。

従って仕事がなくなれば人を雇う理由がなくなりクビになります。考えてみれば普通の話なのですが、これが結構きついです。

実際に同期入社で30年後の現在も残っている人というのは非常に少ないです。自ら会社を辞めて転職していった人も多いですが、中にはやはり仕事を失ってしまったという方もおられます。

外資系でも日本法人の場合には法令で定めている雇用確保義務がありますので、解雇そのものは簡単ではありませんが、事業の撤退で部署がまるごとなくなったり、業務を海外に移管することになり仕事を失うということがままあります。

もし外資系を希望するのであれば、長い目で見てこれは了解しておくべきリスクです。



人間関係が希薄であること

特に最近は会社の人とはほとんどプライベートでの付き合いがありません。忘年会や歓送迎会など飲みの機会もそれなりにありますが、参加はまったく本人の自由です。

強制されたり、参加しないと変な空気になったり、といったことはありません。皆会社には仕事をしに来ているので、それ以外の時間は家族優先だったりします。

かなりドライな人間関係なので、自分のようにそういうのが性に合っている人には快適ですが、ウェットなほうが好きな方にとってはしんどいかもしれません。



変化が激しいこと

よく言えば臨機応変なのですが、悪く言えば変化が激しくてついていくのが大変なときがあります。日本企業に比べてビジネス環境の変化に対して敏感に反応する傾向があり、1週間前に言っていたことと180度変わることがよくあります。

変化に打たれ弱い方、物事に執着する方にとってはきつい環境です。実際に変化についていけずにメンタルをやられてしまう人が散見されます。「まあ、いいか」と切り替えられる方のほうが向いています。



コミットメントに厳しいこと

合意した期限までに成果物を出す約束をすることを「コミットメント」と言います。外資系の場合、これが厳しいです。役職がついて上に行けば行くほど、厳しくなります。

上述のように、クビの危険に怯えながら、希薄な人間関係の人と激しい変化の中でコミットメントを達成し続けるのは、それなりにタフなものです。



外資系企業で働くことのメリット

デメリットばかりのようですが、メリットもたくさんあります。

  • 実力主義であること
  • 自由にものが言えること
  • 待遇がいいこと
  • 海外出張や駐在の機会がある


実力主義であること

外資系企業といっても日本法人の場合は、年功序列のような日本の人事制度が残っている場合があります。私の会社もそうですが他の日本企業と同様に、最近は特に年功序列の考え方が崩れ去り、以前にも増して実力主義になっています

昇進や難しい仕事へのチャレンジは比較的公平に機会を与えられます。積極的に手を挙げてチャレンジすることができます。逆に言えば、自分から手を挙げなければチャンスは巡ってきません。

実力主義は全ての人にとってメリットというわけではなく、そのような仕組みを好む人にとってメリットがあると言えます。



自由にものが言えること

特に海外のマネージャーや担当者に対しては比較的自由にものが言える雰囲気があります。日本企業では会議中の発言などは暗黙のルールがあるようなことを聞いたことがありますが、外資系ではそのようなことはないです。誰が何を話そうが、その内容が問題なのであり、それ以外のに余り注意が払われません。

朝一番の会議で買ってきたパンを食べながら上司の話を聞いている、というような人は特に珍しくありません。日本ではおそらく無礼者と思われるでしょうが。

もちろん人としての礼儀は求められますが、発言の内容のほうが問題ですし、もっと問題なのは発言しないことです。会議中黙っているのは存在しないことと同じとみなされます。



待遇がいいこと

私の場合、大学の同期で日本企業に入社した人たちと比べて最初から給料が良かったです。なかなか給料を人と比較することはありませんが、よく雑誌などで見かける平均給与の情報と見比べても外資系企業の待遇は良いのではないかと思います

もちろん給料だけがすべてではありません。休暇やその他の福利厚生制度もう比較のポイントとなりますが、有給休暇の日数も多く、総じて外資系企業の方が日系企業よりも待遇が良いと感じます。

ただしその反面、日本企業によくある社宅や社内預金のような生活を支える制度は乏しいです。これらは自己責任で行なってくださいということになっています。



海外出張や駐在の機会がある

本社は外国にあるので、出張してのトレーニングや会議の機会は定期的にあります。ただし頻度は職種により異なりますし、家庭の事情で出張NGという人もいて、最近はリモート会議も多く、それはそれでどうにか仕事できているようです。

出張はたいてい1週間程度ですので、これといったメリットでもありませんが、駐在の機会があると外国での生活や文化を体験できること、それによって物事の見方や考え方に変化が起きる、という点で貴重なメリットです

私の場合は25歳のときに半年間米国に駐在となり、現地での仕事に参加した経験がありますが、その後の人生に大きな影響を与える経験でした。この駐在をきっかけとして、いろいろ考え方が変わり、その後英国へMBA留学をすることになったからです。

20代、30代の若いうちに駐在を経験すると、その後の人生が変わると思います。しかも、駐在中の生活費はほとんど会社持ちですので、非常においしいです。



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外資系企業への転職を考える場合には、大手のエージェントサービスを利用すると良いです。企業の側からすると、採用の機会については基本的にこういったエージェントサービスを利用するからです。

意中の会社があれば、その会社の「経験者採用」ページを見張るという手もありますが、効率が悪いです。有効な情報は大手のエージェントサービスに集まりますので、業界最大手のリクルートエージェントのようなサービスに申し込んで相談するようにしましょう。

相談を申し込んだら必ず転職しないといけない、という訳ではなく、エージェント(キャリアアドバイザー)から転職市場の状況を聞いたり、今後の活動についてアドバイスを受けたりするだけでも十分に価値があります

企業からの採用情報はいつ出てくるか分かりませんし、良い仕事はすぐに埋まってしまうので、まだ転職を迷っていても申し込みだけされると良いです。

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以上、外資系企業で30年働いて感じる外資系のメリット・デメリットという話題でした。何事もそうですが、外資系企業についても人によって向き不向きがあるので、転職にあたってはエージェントから客観的なアドバイスを受けることをおすすめします。