ここのところ、アマゾンに関する本を2冊続けて読みまして、また一方の著者である成毛さんの出版記念セミナーにも行きまして、あらためて「アマゾンすげえ」と。あれだけ大きくなったのに、まだChangeし続けようという姿勢がすごいです。ふつう守りに入りたくなるものですけどね。
それで巨大プラットフォームとして今後も成長を続けるであろうアマゾンを、個人事業主や中小企業がうまく活用して「勝ち馬に乗る」にはどうしたら良いのか?考えてみました。
中小企業や個人事業主を成功に導くアマゾンのサービス6選
目次
(1)FBA(フルフィルメント By Amazon)を使う
FBAとは簡単に言うと、Amazonマーケットプレイスを使って商品の在庫管理や出荷・請求・配送・返品対応をアマゾンに委託できるサービスです。個人事業主や中小企業にとってこの意味はとてつもなく大きいです。なぜなら店舗や倉庫といった箱モノを自分で持つ必要がなくなり、かつそこで働く人を雇う必要もなくなるから、です。
FBAを使うと、自分では売れると思うものを仕入または製造することのフォーカスして、それ以降の手間のかかる仕事をアマゾンに代行してもらえるのです。そしてその手数料もリーズナブルで、まず固定費用が「出品サービス」への登録として月額4900円(税抜)のみです。追加して預けた商品により発生する在庫保管手数料、配送コストの配送代行手数料がかかります。このように注文処理に関する費用の大部分を変動費化することができますので、損益分岐点をぐっと下げることができます。
さらに海外のお客様からの注文対応もやってもらえますし、出荷時の袋詰めなど様々なサービスがオプションとして容易されています。和風雑貨を仕入れてFBAで海外のお客様に売る、とか十分あり得ますね。
(2)Amazon レンディングで資金調達する
Amazon レンディングとはアマゾンによる「短期運転資金型ローン」です。マーケットプレイスに参加している事業者が必要としている短期的なビジネスローンをアマゾンが融資してくれるという話です。つまり、アマゾンが商工ローン(事業者向け貸金業)を始めたのです。
融資枠は10万円からなんと5000万円まで、となっています。普通のビジネスローンでは300万円から500万円くらいが上限です。利率は執筆時の表示で8.9% ~ 13.9%(年率)とカードローンに比べれば高いですが、まずまずの設定です。驚くのは担保・保証人が不要という点。実際にはマーケットプレイスに預けている商品が動産担保として機能していると思われますが、すごいですね。
また、申し込みから入金まで最短で3~5営業日となっており、超高速です。マーケットプレイスでの販売実績を把握しているので、決算書類審査とか面倒なプロセスが不要なのです。このことは事業者とアマゾンにとってウィンウィンを実現しており、今後商工ローンの事業者を吹き飛ばすことでしょう。
(3)Amazon Connectで電話応対する
最近知ったアマゾンのサービスの中で一番びっくりしたのが、この「Amazon Connect」です。Amazon ConnectはAWS(アマゾンウェブサービス)の一部として提供されている、「クラウド型コンタクトセンター」のサービスです。
コンタクトセンターでは一般にお客様から電話がかかってきたら、時間帯によりまたはお客様の番号選択により適切な担当者などへ振り分けるという機能を持たせますが、そこの部分を全部アマゾンにやってもらえる、という話です。
最も衝撃的なのはその費用です。なんと固定費ゼロ円。電話(コールイン・コールアウト)に分単位で課金するだけの完全従量制なのです。従量制の内訳は、サービス利用料が1 分あたり 0.018 USドル、これに加えて通話料金がコールイン(0800のフリーダイヤルの場合)が1分あたり0.2114 USドル、コールアウト(日本国内宛て)が0.1203 USドルであり、さらに電話番号利用料(0800のフリーダイヤルの場合)が1日あたり0.48 USドルかかります。これらは通話が無ければ発生しないので、通話無しならゼロ円となります。
これまでコンタクトセンターの構築というと、自社持ちであれば数千万円クラスの初期投資が必要でしたし、クラウド型でも多額の固定費が発生するのがあたりまえの世界でした。それが全部ゼロ円になって、利用した分だけ払ってください、ということになったのです。
しかもAmazon Connectではサインアップして簡単にコールフローの設定が可能です。おそらくエンジニアでなくても素人でもググりながら、作ることができるでしょう。支援が必要であれば、私のようなコンタクトセンターの経験があるフリーのコンサルタントに短期コンサルを依頼すればよいのです。中小企業や個人事業主でさえコンタクトセンターを持てる時代が来たのです。
これはコンタクトセンターベンダーとそれを担いで多額のコンサル料をとっていたコンサルティング会社を吹き飛ばすことでしょう。
(4)汎用品を仕入する
会計事務所のお客様で工務店がいるのですが、ここは「ネジ」や「釘」のような建築資材の汎用品を多くアマゾンで買っています。特殊な資材や特注品はアマゾン経由という訳にはいかないですが、大部分の汎用品はアマゾンから仕入れることができます。
アマゾンから買うことで、納品が早い(アマゾンプライム適用の業者なら今日注文して明日納品など)ので在庫を減らせます。Just-in-timeに近いような資材調達が可能で、備蓄コストが下がります。またクレジットカード払いにすれば、引き落としまでの期間が長いので、現金管理上も助かります。ネットショッピングになりますので、ホームセンターに出向く物理的な手間も省略できます。
建築業にかかわらず、アマゾンには産業財の扱いも多くありますので、検索してみることをお勧めします。
(5)Amazon Pay の決済サービスを組み込む
もし自社のウェブサイトにEC(ショッピング)機能があるなら、その決済手段として、Amazon Payの導入を検討しましょう。自社のウェブサイトにEC機能を付ける場合、ウェブサーバーの運営会社が提供しているショッピングカートをオプションでつけたり、または外部のECサイト(楽天市場やヤフーショッピング)に誘導してそちらで購入してもらう、などの方法があります。
EC機能を付ける場合には、お客様にクレジットカードの番号などの情報を入力してもらう必要があるため、どれだけ安心感を与えられるかが重要です。だれも不安を感じる場所でクレジットカードの番号など入力したくないから、です。
その意味ではAmazon Payは、普段お客様がアマゾンで使っているアカウントや決済情報をそのまま利用しますので、信頼性が抜群でしょう。自社のウェブサイトにAmazon Payのボタンを設置するだけでこれが実現します。月額費用などは無料で決済金額の4%が手数料として差し引かれます(デジタルコンテンツの場合は4.5%)。
自分の場合はサービス業のため請求書ベースでの支払いが可能となる「スクエア」のサービスを導入しましたが、具体的にモノの販売をしているのであれば「スクエア」の他にAmazon Payも検討されると良いでしょう。「スクエア」もとても良い選択肢ですので、下記よりご検討ください。
コンサルティング料金の決済方法としてSquare(スクエア)を導入してみた
(6)Amazon マーケティングサービスで広告宣伝する
アマゾンの抜群の集客力を生かして、自社製品の広告宣伝をする、という方法があります。Amazon マーケティングサービスからキャンペーンを行うのです。
Amazon マーケティングサービスを使ってキャンペーンを実施すると、お客様がアマゾンで検索した際に自社製品を推奨してくれるようになります。お客様の購買履歴や検索結果の類似商品からあなたの製品がレコメンドされます。
レコメンドされた商品をクリックした場合だけ費用が発生する仕組みになっており、キャンペーンごとに予算を設定して行います。運用の状態はリアルタイムでモニター可能ですので、高速でPDCAを回してより効果的なマーケティング活動が可能となります。
また、マーケティングを行う際には、アマゾンの中で検索されているキーワードを調べて、何が利用者に検索されているのか、を知ることも重要です。アマゾンの検索窓にキーワードを入れると他のキーワードをサジェストしてくる機能がありますが、数個しか出てきませんので不十分です。下記の「Keyword Tool」は有料(月額88ドル)ですが、アマゾンの中で検索されているキーワードの量を分析することができます。必要に応じてご検討ください。
Keyword Tool
https://keywordtool.io/amazon
以上、アマゾンを活用して中小企業や個人事業主が成功する方法、という話題でした。
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