【年金】必ず分かる「やさしい」年金の話【20代30代の方へ】



この記事は「年金って結局どういうものですか?何が分からないかも分からないので、やさしく教えてほしいのですが」といった疑問に答えます。



必ず分かる「やさしい」年金の話

「年金」は本来、20歳から亡くなるまで人生と関係深いもので、多くの人が熟知していて然るべきものです。ところが、実際には最初から最後まで「はっきり分からない」という状態のまま、というパターンが多いです。

その理由は、デザイン自体が分かりにく過ぎるから、です。というより、分かりやすさより、網羅性や世代間の公平性に重点が行っており、わかりやすくしようという意図は無いのかな?と思うくらいです。

そこで、「年金」初心者向けに、極力分かりやすく基本知識を説明してみます。日本年金機構の公式サイトを見てもチンプンカンプンという方におすすめです。





まずはこの基礎知識をおさえる

今回説明している基礎知識は次の通りです。

  • 老齢年金
  • 遺族年金
  • 障害年金
  • 加給年金
  • 在職老齢年金
  • 年金の繰上げ・繰下げ受給

細かい点はともかく「あー大体そういうのとなのか」という感じになることがゴールです。以下にそれぞれ説明します。



老齢年金

ふつうに「年金」と言えば、この老齢年金を指します。広義でとらえて老齢年金には次の4種類があります。

  • 国民年金(老齢基礎年金)。20歳から60歳の全ての国民に加入の義務がある公的年金。
  • 厚生年金(老齢厚生年金)。会社員などになると加入する公的年金。会社員であるうちは70歳まで給料から天引きで保険料を払い、会社も併せて同額の保険料を払う仕組みになっています。
  • 企業年金。大手企業が独自に負担して準備している私的年金。確定拠出年金や確定給付年金といったものがあります。
  • iDeCo(イデコ)。個人が独自に負担して準備している私的年金。SBI証券のような証券会社に口座を開設して自分で運用します。法改正によりほとんどの個人が利用できるようになりました。

以前は国民年金、厚生年金、企業年金だけでしたが、ここに個人でも準備できるiDeCoが加わった形です。個人事業主であれば、国民年金とiDeCoが利用でき、会社員であれば務めている会社によっては4つ全て準備できる場合もあります。

当然、たくさん加入して準備するほうが、年金の受取額が大きくなりますが、その分保険料もかかる、ということになります。

個人事業主でも「厚生年金」に加入するために法人成りして「ひとり社長」になっている人も多くいます。老後を考えると国民年金とiDeCoだけでは、ちょっと足りない可能性があるからです。

また、まだiDeCoを始めていないという方は、現在も将来も非常に損をしています。下記の記事など参考にされ、早めにiDeCo導入を考えた方が良いです。





遺族年金

一家の大黒柱が病気やケガで万が一亡くなった時に、配偶者や子供が受給できる年金です。

国民年金の遺族年金のことを「遺族基礎年金」といい、厚生年金の遺族年金のことを「遺族厚生年金」といいます。それぞれ受給要件が微妙に違うので注意が必要です。

特に、遺族基礎年金のほうは子供がいないと支給されません。遺族厚生年金のほうは子供のいない配偶者でも受給できます。

その他にも受給要件は多々ありますので、該当するかどうかは年金事務所に尋ねるほうが良いです。

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障害年金

障害年金は、病気やケガによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に、現役世代の方も含めて受給できる年金です。めったに起きない事案ですので、受給要件その他は割愛します。該当するかどうかは年金事務所にお尋ねください。



加給年金

厚生年金に20年以上加入していた人が65歳到達時点で、その人に生計を維持されている一定の配偶者や子供がいるときに加算される年金のことです。

まだお金のかかる世帯を支えるために、年金を割増してくれる制度です。例えば、配偶者に対しては224,900円が加算となります。ただし配偶者も65歳に到達すると加算はなくなります。

注意点としては、加給年金額加算のためには届出が必要という点です。黙っていても自動では加算してくれないので、気を付けましょう。

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在職老齢年金

60歳を超えても再雇用などで会社員という方は、老齢厚生年金と給料の両方をもらう場合があります。この場合の年金のことを在職老齢年金といいます。

在職老齢年金はその2つの合計(厳密には総報酬月額相当額と老齢厚生年金の基本月額の合計)が28万円を超えると、徐々に年金額が制限され(少なくなり)、47万円を超えるとさらに制限される仕組みになっています。

要するに給料が高いなら年金の支給は減らしますよ、ということになります。そもそも現役なみに稼げるなら年金はいらない、ということなのですが。

また、65歳を超えてなお現役なみに稼げる場合は、47万円を超えると制限される仕組みになっています。

人生100年時代ということで、65歳を超えて現役なみに稼ぐ人は今後多くなるでしょう。100歳まであと35年もあるので、当然と言えば当然です。



年金の繰上げ・繰下げ受給

年金の受給開始年齢は65歳です。ですが、プラスマイナス5歳の幅で、自由に開始時期を選べるようになっています。60歳から65歳までに受給開始することを「繰上げ」、65歳から70歳までに受給開始することを「繰下げ」といいます。

この繰上げ・繰下げ受給は、老齢基礎年金と老齢厚生年金の両方に同時適用となり、それぞれ選ぶことはできません。また、一度繰上げしてしまうと取り消しできないので、慎重に選ぶ必要があります。

繰上げ受給を選ぶと開始時期に応じて「減額率」が定められ、65歳から受給するよりも少ない金額が一生続きます。減額率は最大で15%です。

逆に、繰下げ受給を選ぶと開始時期に応じて「増額率」が定められ、65歳から受給するよりも多い金額が一生続きます。減額率は最大で42%にもなります。

自分が何歳まで生きるのかは分かりませんから、いつから受給開始するか?は一種の賭けのようなものです。自分の収入や家計を考えて、受給開始時期を選ぶことになります。

一番理想的なのは、70歳まで現役なみに稼いで、それから年金を受給することです。まあ、なかなかうまく行かないわけですが、そのような準備をしたいものです。





以上、必ず分かる「やさしい」年金のはなし、という話題でした。年金の話は細かいことを言い出したらきりがなく、結果として分からなくなります。まずざっくり全体を掴んで、そのうえで各論に入っていくのが良いです。

また、iDeCoは近年の法改正でほとんどの個人が利用できるようになっています。特に税金面でメリットの大きい制度です。



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