【2020年給与計算】今年の所得税の改正と社会保険料の改定にご注意を【年末調整が大混乱の予感】



この記事は「2020年の給与計算で知っておくべきことは何でしょうか?年末調整で混乱したくありません」といった疑問に答えます。



今年の所得税の改正と社会保険料の改定にご注意を

2020年は給与計算に影響のある改正・改定が多い年です。しかも変更時期が揃っていないためややこしい状況になっています。

これを整理して理解しておかないと、2020年の年末調整において大混乱、ということになります。そこで押さえておくべきポイントについて解説します。





法改正のタイミング

まず、2020年1月に源泉所得税の改正がありました。ここでの改正内容は次の4つで、これらは年末調整には影響がありますが、毎月の給与計算には関係ありません。

  • 給与所得控除の引き下げ
  • 基礎控除の引き上げ
  • 所得金額調整控除の創設
  • 配偶者・扶養親族等の合計所得金額要件等の見直し

ただし、毎月の給与計算で使う「源泉徴収税額」は例年通り国税庁から発表される最新のものを使います。令和2年については以下のように発表されています。

令和2年分 源泉徴収税額表(国税庁ホームページ)

次に、2020年4月に社会保険料に関する改定がありました。ここでの改正内容は次の3つで、これらは毎月の給与計算に影響があります。

  • 介護保険料率のアップ
  • 健康保険料率の改正
  • 高年齢労働者の雇用保険料免除の廃止

以下に簡単に説明します。



源泉所得税の改正

令和2年から導入された源泉所得税の改正は、簡単に言えば、給与所得控除のような各所得の控除を一律10万円引き下げ(つまり増税になる)、かつ全ての所得に共通な基礎控除を10万円引き上げる(つまり減税になる)といったものです。

なぜこんなプラス・マイナスをやるのか?というと、所得の種類によっては給与所得控除のような控除がなかったため不公平感があったので、不公平を解消したかったということになります。

サラリーマンのような給与所得者であれば、給与所得控除がありますが、フリーランスのような事業所得者にはこのような所得控除がありません。このため、サラリーマンなら多くの場合はプラスマイナスゼロの改正ですが、フリーランスにとっては基礎控除を引き上げにより減税ということになります。

フリーランスという生き方がそれだけ一般的に認められてきたということです。

ですが、例えば給与所得と年金所得がある人の場合、控除の引き下げがダブルで適用となるため、基礎控除を引き上げたところで、マイナスの方(増税の方)が大きくなってしまいます。この状況でもプラスマイナスゼロにするために出来たのが「所得金額調整控除」です。

また、それ以外にも給与所得控除の上限が適用される収入額が引き下げになり、要するにたくさん稼いでいる人には「増税」ということになっています。

賢いお役人が考えた制度で、良く出来ているなと思います。





手続きは複雑化

制度設計としては良いのですが、結果として手続きは複雑化となります。

下図は国税庁が掲載している年末調整の書類「令和2年分給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書」です。

もうタイトルからして長すぎですし、「兼」が多すぎて詰め込んだ結果、字が小さいため虫眼鏡が必要なレベルになっています。

令和2年分給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書

(出典:国税庁ホームページ)

「もう紙で年末調整やるのは限界では?」ということで、ソフトウエアで処理できるようになる予定です。2020年10月から「年調ソフト」なるものを国税庁が公表しますので、2020年はこれでやることになりそうです。

年調ソフト

(出典:国税庁ホームページ)



社会保険料の改定

社会保険料の改定は4月納付分(3月分)から適用されます。4月分からではありません。

このうち健康保険料率は「会社の所在地」(住所ではない)の都道府県によって変更内容が異なります。料率アップのところ、ダウンのところ様々ですので、詳しくはこちらでご確認ください。

令和2年度の協会けんぽの保険料率は3月分(4月納付分)から改定されます(全国健康保険協会)

また、介護保険料率は全国一律アップとなり、1.73%から1.79%になります。

高年齢労働者の雇用保険料免除の廃止というのはなにかというと、今まで65歳以上の労働者も雇用保険の適用対象となっていますが、経過措置として、平成29年1月1日から令和2年3月31日までの間は、高年齢労働者に関する雇用保険料は免除されてたのが、免除を止めますということです。

つまり、働いているのであれば、現役世代と同様に負担してください、ということです。これも4月1日からの適用です。



給与計算をミスなく簡単に行う方法

給与計算を取り巻く環境は、毎年のように改正・改定があり、忙しい経営者や担当者が本業の傍らミスなく行うことは至難の業です。

このため、多少費用がかかってもソフトウエアを導入して行うほうが現実的です。やよいの給与明細 オンライン なら、初心者でも簡単に給与明細を作ることができ、かつ上述のような改正・改定は自動で適用されますので、利用者が考える必要すらありません。

1か月間に従業員10名分の給与明細が月額450円で作成できますので、費用対効果で考えればお釣りが来るくらいのお得感です。

クラウドアプリですから、もし税理士がついていれば、給与明細のデータをそのまま税理士と共有することも可能で、手間も省けます。

詳しい特徴はこちらの公式サイトにてご確認ください。



以上、今年の所得税の改正と社会保険料改定にご注意を、という話題でした。ここ数年毎年のように年末調整が複雑化しています。今年も混乱しそうな予感です。2020年10月に出るという「年調ソフト」に期待しつつ早めに準備するのが吉です。

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