2019年8月ごろツイッターで「デオコおじさん」なるワードが話題になりました。ロート製薬の「デオコ(DEOCO)」というデオトラント系の製品群があり、中でもボディクレンズ(シャンプー)を使うと40過ぎのおじさんでも女子高生の香りになるよ!という話でした。
この記事では、この出来事についてマーケティングの観点から考えてみたいと思います。
目次
デオコおじさんの本質は?
ツイッターで話題になったおかげで、おじさん達がデオコを求めて右往左往し、ドラッグストアなどで軒並み品薄という事態となりました。ロート製薬としてもこのようなマーケティングを狙った訳ではなかったそうで、意外な売れ行きに驚いたようです。
世の中的な反応としては、「デオコおじさん=気持ち悪い」という感じで、確かに40過ぎのおじさんが女子高生の香りを求めるとか変態かよ、ということになります。そもそも「女子高生の香り」という設定がすでに妄想の世界です。
しかし、それにも関わずデオコは売れ続けたのでした。
私も当初は「あほか」と思っていましたが、アマゾンのプライムセールに出ているのを見かけて不覚にも1つ買ってしまいました。実際に使ってみた感想は、「別に・・・」という感じで、女子高生の香りとは無関係の毎日が続いただけでした。
ですが、学ぶべき点として、こういうモノの売れ方がある、ということです。今後に向けて学びの機会があるように感じます。
忍び寄る加齢臭の恐怖
なぜデオコがこれほど売れたのかというと、その背景には「加齢臭の恐怖」があるからでしょう。もしかすると、いやおそらく「自分は臭っているのでは?」という恐怖感があるのです。
この恐怖を取り除きたいという欲求に対するソリューションとしてのデオコがあります。
では、世の中には加齢臭を抑制するためのデオドラント製品がたくさんありますが、なぜデオコだけが特別に売れたのでしょうか?
その理由は2つの未来を見せるものだったからです。ひとつは、加齢臭を抑制するという「マイナスをゼロ」にする未来、もう一つは女子高生の香りという付加価値で「ゼロをプラス」にする未来です。
このようにマイナスなものを一気にプラスまで変えてしまう、という点にデオコの強みがあります。
マーケティングを考える上で、顧客にどういう未来を見せるか?が重要ですが、なかなか2つの未来をいっぺんに提示できないものです。今回ロート製薬が意図しないところでこれが成立してしまった、という訳です。
実際臭いおじさんが多い
加齢臭という言葉はかなり最近に登場してきたものです。自分が子供の頃は無かった言葉です。齢をとると臭ってくるという切ない話です。
なぜそこまで具体的な言葉を作ってまで加齢臭に恐怖するのかというと、実際に臭いおじさん(おばさん)が多いからでしょう。そして、以前より人々がニオイに敏感になってきているのかもしれません。思い出してみれば、昭和の時代はもっと「臭かった」訳なので。
駅や会社やお店などに漂う加齢臭を感じるたびに、恐怖心が増してくるのでしょう。私自身も同様な恐怖心を感じますし、だからプライムセールでうっかりポチってしまったかと思います。
個人的に気に入っている解決策
海外などに行きますと次元の違う体臭があり、オーデコロンや香水のようなデオドラントというよりはカモフラージュといった感じのニオイを嗅ぐことがあります。ニオイの上にニオイを重ねていますので、気を失いそうになった経験が何度かあります。
そのせいか、個人的にオーデコロン的なものはあまり好きではなく、職業にもよるのでしょうが、日本人にあまり合わないと感じます。
そんななか、最近気に入っているのが、少し良い香りがする衣類の消臭スプレーです。代表的なのはファブリーズとかだと思いますが、今の一押しはファブリックミスト「ラボン ルランジェ」(シャンパンムーンの香り)です。
名前が怪しいですが効果は怪しくないです。清潔感のあるやや甘い香りがかなり長続きしますので、朝衣類に吹きかけておくと、わりと一日良い香りがします。デオコは香りの持続性に問題があったように思うので、この問題が解決されます。
また、肌に直接つけるものではないので、アレルギーとか肌荒れ対策としても良いです。そしてなによりも370mlで500円程度と「安い」のが良いです。
「ラボン ルランジェ」はデオコおじさんにとって逆襲といっても良い商品です。マイナスをプラスへ2つの未来を見せてくれますよ。
以上、デオコおじさんの逆襲、という話題でした。