【独占禁止法】公正取引委員会による調査案件が多いのは何故か?【ガイドラインを知らないからです】

最近「公正取引委員会」に絡んだニュースが目立ちます。2019年4月にはアマゾンジャパンと楽天が、同5月にはリクルート・ホールディングスが独占禁止法に抵触して勧告を受けています。この記事を書いている今日もベビー用品製造大手が排除措置命令を受けるというニュースが出ています。

まさに公正取引委員会さん大活躍です。日本で一番仕事している役所に見えてしまいます。

会社を運営する側としては、コンプライアンスに気を付けているつもりでも、なぜ独占禁止法に抵触してしまうのでしょうか?どうすれば安全なビジネスを担保できるのか、書くことにします。



なぜ独占禁止法に抵触してしまうか?

一言でいえば、現場が法律を知らないからです。現業部門は売上や利益のプレッシャーを受けていますので、つい行き過ぎてしまうことがあります。もちろん何の悪気も無く、です。良かれと思ってやったことがアウトになる事案が多いです。

特に最近では平成29年に「流通・取引慣行ガイドラインの改正」という大きなイベントがあり、従来の取引慣行でなんとなくグレイとされてきたものが、より明確化・厳格化されました。

この事実さえ知らない人が多いので、「えっ?いままで良かったやり方なのに・・・」ということになるのです。平成29年といえばつい最近ですので、無理もない話です。



流通・取引慣行ガイドラインの改正とは?

改正のポイントはこちらの資料に詳しいです。

流通・取引慣行ガイドライン改正の概要 (出典:公正取引委員会ホームページ)

この大きな特徴は「垂直的制限行為に係る適法・違法性判断基準の考え方」がクリアになり、「公正な競争を阻害するおそれがある場合」は原則「違法」としたことです。

何を言っているのかというと、「元請けと下請け」や「メーカーと販売店」のような上下関係がある場合に上から目線で何等かの制限を加えて、自由に競争できなくして、結果的に消費者(国民)が損害を被るようなことは違法です、ということです。

例えば、メーカーが販売店に対して自由な値付けが出来ないような施策を採用すれば、販売店同士の競争がなくなり、結果的に消費者が高値掴みさせられるということになります。このような施策を採用したメーカーは違法なことをしている、ということになります。

こういった施策は従来においては上下(垂直的)関係を維持するために行われることがあったのですが、公正な競争を阻害するものとして「違法」として明確化されました。

これに気が付かず、従来どおりにやろうとして、公正取引委員会からツッコミを受けている、ということです。



どうすれば安全なビジネスを担保できるのか?

ではどうしたら良いの?ということになりますが、法務部門がある会社なら法務担当者から、そのような担当者がいなければ弁護士やコンサルタントに依頼して、よく勉強することが大事です。

まずは上記のような公正取引委員会ホームページに掲載されている資料を参照してみましょう。もしイマイチ何を言っているのか分からない、という場合は、公正取引委員会の「中の人」が書いたこちらの本で勉強するのが良いです。法の番人が自ら書いた本です。

はじめて学ぶ独占禁止法〔第2版〕



不安なら相談しよう

実際にはビジネスの内容により、ケースバイケースの判断があり得ますので、不安であれば公正取引委員会に相談するのが良いです。公正取引委員会ほど相談窓口が多い役所も他にないと思うのですが、こちらがその一覧です。

相談・届出・申告の窓口
https://www.jftc.go.jp/soudan/madoguchi/index.html

内容によって、窓口が分かれていますので、自身の必要に応じて適切な所へ電話してみてください。

私も過去に何回か電話していますが、別に怖いことは無く、普通にやさしく対応してくれます。質問内容にもよるでしょうが、匿名(どこの会社の者か名乗らずに)でも回答してくれます。

加害側にしろ被害側にしろ、不安な気持ちでくすぶっているよりは、さっさと電話してしまった方が早いです。受動的ではなく、能動的に動くようにしましょう。



以上、公正取引委員会による調査案件が多いのは何故か?という話題でした。法律は割と頻繁に改正があり、判断が変わったりすることがあります。面倒でもアンテナを張って常に最新情報で更新することが必要ですね。

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