【事業承継】中小企業が黒字廃業せずに後継者に低コストで事業を承継する方法

高齢化する中小企業の社長

事業承継の必要に迫れている会社が増えています。日本の高度成長期に創業した中小企業の会社の社長が70代、80代となって、そろそろ引退というタイミングだからです。

事業承継を断念する場合、会社が消滅することとなり、黒字で安定した経営なのに廃業するという非常にもったいないことになります。たまにニュースでそのような事例を聞きますね。

事業承継の最大のポイントはまず「後継者がいる」ということで、これをクリアしたら次に「後継者が株式(経営権)を取得する」ことです。

今回は、この事業承継の2つのハードルを乗り越えて、どうやったら中小企業が黒字廃業せずに後継者に低コストで事業を承継できるのか?を紹介します。





後継者を見つける方法

中小企業における事業承継の後継者は多くの場合「親族」です。自分の子供や娘婿など親族にふさわしい人がいれば、最も無難です。

廃業するようなケースは親族に後継者がいない場合です。この場合は、第三者に会社を引き継ぐことになります。いわゆる「M&A(買収)」を検討することになります。

M&Aというと、ひと昔前までは「乗っ取り」のようなマイナスイメージが強かったですが、現在ではそのような認識も無くなって、ひとつの選択肢として普通に検討されます。

M&Aを検討する場合、相談先には大きく2通りあります。ひとつは都道府県が実施している公的サービスの「事業引継ぎ支援センター」です。ただ、こちらは最近相談件数が急増しており、対応に時間がかかっているという話も聞きます。

これに対して、民間のM&A仲介サービスも最近数が増えてきました。例として東証一部上場のM&Aキャピタルパートナーズがあります。

以下より無料のWeb相談がありますので、ご検討ください。



後継者が株式(経営権)を取得する方法

後継者が決まったら社長はその人へその会社の株式(経営権)を譲らなければなりません。このとき、当然ながらタダでとはならず「いくらで?」が問題になります

その株式の価格は数千万円から1億円を超えるような金額になることもめずらしくありません。そうなりますと、この金額(現金)を後継者が準備しないといけないことになります。

タダで渡す(贈与する)ということも可能ですが、その場合は株式をもらった後継者に「贈与税」がかかり、やはりかなりの金額(現金)を準備しないといけないことになります。

そうなると後継者の負担をどうやって軽減するか?ということが問題になります。この解決策は2つあって、一つは事業承継税制を利用する方法、もう一つは株式の評価額を下げる方法です。





事業承継税制を利用する

事業承継税制は平成30年に改正されて、使い勝手が良くなりました。この制度を活用すれば、株式をなんと実質「無税」で後継者に贈与することができます

詳しくはこちらの記事をご参照ください。

この税制は正確には贈与税がゼロになるということではなく、長期間に渡って納税を猶予し最終的に免除する形になります。このため、長期間に渡って猶予の条件に合致していることを役所に証明報告し続ける必要があります。

この長期間の報告義務がデメリットですが、実質「無税」は大変に魅力的です。ただしこの制度は期間限定ですので、事業承継を検討される場合は早めに顧問税理士等に相談しましょう。

もしまだ顧問税理士がついていないようでしたら、こちらより自社と相性の良い税理士先生を探すところから始めましょう。

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株式の評価額を下げる方法

事業承継税制には上述のようなデメリットもあるため、この制度は使わないという判断もあり得ます。その場合は、後継者の金銭負担を軽減するために、株式の評価額を出来る限り下げた上で、株式を後継者に譲渡するという方法を考えます。

上場していない中小企業の株式の場合、その株式の評価方法は会社の規模によって異なりますが、「純資産価額方法式」という評価方法と「類似業種批准方式」という評価方式とを組み合わせた方法で評価します。

いずれの会社規模にしろ、「純資産価額方法式」による評価額が低ければ低いほど株式の評価額は小さくなり、有利となります。「純資産価額方法式」ではその会社の資産を時価で評価した価額から負債の価額を差し引いて求めます。

つまり資産の時価が小さいほど良いということになります。

資産の時価を小さくする方法としてよく用いられるのは、次の3つです。

  • 役員退職金を払う
  • 法人向け生命保険に加入する
  • 不動産を買う




役員退職金を払う

事業承継にあたって役員退職金を払うと現預金が減りますし、役員退職金は法人税の計算上損金に算入されるので、資産の時価を小さくする効果が大きいです。

ただし、いくらでも払えばよいという訳ではなく、税務署に相当であると認めてらえる基準は、「退職慰労金=最終の役員報酬月額×役員勤務年数×功績倍率」で計算され、過大とみなされない「功績倍率」は一般的に「3.0」程度となっています。



法人向け生命保険に加入する

法人向け生命保険に加入すると、現預金が保険資産と費用に化け(その比率は保険の種類によります)、費用のうち一定額は法人税の計算上損金に算入されます

このため、資産の時価を小さくする効果があります。

ただし、この「節税保険」は今後規制の対象となる見込みです(2019年5月時点)。つまり損金に算入できる金額が減らされる予定になっています。返戻率70%超から85%以下なら4割の損金算入を認める、と言われていますが、まだ確定ではありません。

規制の結果、以前ほどのメリットは無くなりますが、まだ活用できる余地はあります。生命保険は相続が発生した場合の効果(非課税枠が使える、保険金が財産分与しやすい)があり、もし未加入であれば、下記【保険GATE】 より法人向け生命保険の加入をご検討ください。

生命保険の無料相談/見直し【保険GATE】



不動産を買う

「タワマン節税」が有名ですが、不動産を買うと現預金が固定資産に化けて、資産の時価を小さくする効果があります

タワマン節税自体は穴が塞がれてしまい、無効という訳ではありませんが、メリットが小さくなりました。

ですが、不動産を買うということは依然として有力な資産の時価を下げる方策です。その場合、必要があれば事業用の不動産を買う、または投資用マンションを買うという方法が考えられますし、小口の不動産投資に分散するという方法もあります。

不動産投資の場合、どうしても将来の値下がりリスクがありますので、その対策として小口の不動産投資に分散させるのは良い考え方です。興味がありましたら、こちらより無料の資料をお申込みください。

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以上、中小企業が黒字廃業せずに後継者に低コストで事業を承継する方法、という話題でした。本格的に事業承継を考える場合は、税理士等の専門家と二人三脚で相談しながら考えます。しかも時間が無いと選択肢が狭くなり損してしまうことが多くなります。なるべく早めに行動を起こしましょう。