【社長の高齢化】廃業せずに会社を売却する方法

この記事は「もう齢だし、廃業しようと思っているのですが・・ウチの会社を買ってくれる人なんていないですよね?」といった疑問に答えます。



社長の高齢化

改めて言うまでもないことですが、社長の高齢化が進んでいます。以下のとおり2021年1月時点でついに社長の平均年齢が60歳を超えました。平均が還暦越えです。。。

社長の平均年齢

その一方で、廃業件数が増えてきています。コロナの影響もあるにせよ、2020年で5万件が廃業してしまいました。

廃業数

社長の高齢化で事業の承継よりも廃業を選ぶ会社が多いという現実があります。

事業の内容にもよりますが、これが非常にもったいない状況です。特に商品(製品)やサービスにまだまだ稼ぐ力があって、実際に決算でも黒字が出るくらいなのに、廃業してしまうという、なんとも惜しい状況です。

私のお客様のなかにも70歳超えの中小企業の社長さんがおり、「あと何年やるかわからないよ」みたいな弱気な言葉を聞くことがあります。ニッチだけど重要な製品を作っており、取引先もたくさんいるのに、です。

日本経済のためにも(大袈裟ですが)、こういった状況をなんとかしたいものです。





会社は廃業せずに売却するほうが良い理由

普通に考えた場合、会社は廃業せずに売却するほうが圧倒的に良いです。なぜなら、

売却すると → 代金(売却対価)がもらえる

廃業すると → なにももらえず廃業コストがかかる

だからです。

もちろん売却にもコストがかかりますが、代金で賄えばお釣りがきます。

また重要なポイントとして、(1)従業員の雇用が継続される(場合が多い)、(2)取引先に迷惑をかけない、がありますし、なにより(3)貴重な技術やスキルなどを保全することができる点が大きいです。 

上記の廃業コストというのは会社をたたむのにかかるコストです。タダでは会社は終わらせられないのです。詳しくは以下の記事に書きました。

ではなぜ会社を売却せずに廃業してしまうのでしょうか?2つ理由があります。

ひとつは「ウチなんて売れるはずがない」という誤解です。

もう一つは「面倒くさいから」です。手続きがいろいろ面倒すぎてもうそんなことやりたくないよ、という訳です。

この2つを解消する方法を以下に説明します。



売ったらいくらで売れるのか?

「ウチなんて売れるはずがない」というのは多くの場合「誤解」です。ビジネスを売買する市場のことを「M&A市場」といいますが、このM&A市場では売り手よりも買い手の方が多く、売りやすい状況となっています。

買い手からすると、イチからビジネスを立ち上げるよりも手間が少なく、既にお客様がいるビジネスを買うのであれば、投資回収の見通しも立てやすいからです。リスクが少ないと言えます。

ではもし自分の会社を売ったらいくらで売れるのか?これが気になりますが、会社の値段は客観的な基準というのは無く、要は売り手と買い手の交渉次第ということになります。第三者による査定もあり得ますが、査定金額はその第三者を売り手と買い手のどちらが雇ったかで変わるものです。

一応の目安としては(1)年間売上金額(2)純資産金額(3)年間利益の10倍、といったものがあります。

例えば、私のとあるお客様の場合、年間売上金額は毎年2300万円前後、純資産は2200万円、利益は200万円くらいですから10倍なら2000万円、ということになります。すると2000万円は下回らない値段が付くと予想できます。

廃業すれば廃業コストがかかるのみですが、売れば2000万円が手に入るのです。売らないと損ですよね?

さすがに債務超過(負債が資産より多い)ですと対価は0円に近くなりますが、それでも株式譲渡で負債も含めて承継会社に引き取ってもらえれば、借入金についている社長の連帯保証が外れてますので、余計な心配がなくなるメリットがあります。債務超過でも事業に魅力があれば売れる可能性があります。





売却をサポートする専門家

もう一つの「面倒くさい」についてはどうでしょうか?確かに会社の売却は手続きも多く煩雑です。これをさばくのは体力的に厳しい場合もあるかと思います。

従って、専門家のサポートが必須となります。私のような税理士もお手伝いできますし、M&Aを専門に扱う業者も多々あります。有名な例としては以下の各社があります。資料を取り寄せて確認頂ければと思います。

売り手は手数料が無料 → 【M&Aクラウド】

東証一部上場の信頼感 → 【M&Aキャピタルパートナーズ

税理士法人船津会計へのご相談は以下よりどうぞ。




専門家活用に補助金が出る

さらに、M&Aについては国からの支援もあります専門家活用に補助金が出るのです。

事業再編・事業統合等を行う中小企業者等がM&Aにより経営資源を他者から引継ぐ、あるいは他者に引継ぐ予定の中小企業・小規模事業者(個人事業主を含む)を補助するものです。補助上限はM&A支援業者に支払う手数料など400万円です。詳しくは以下に情報があります。

「事業承継・引継ぎ補助金」【専門家活用】

https://jsh.go.jp/r2h/assets/pdf/experts-requirements.pdf

補助金をもらっても面倒くさいものは面倒くさいですが、周囲に対する最後のご奉公と考えて、なんとか専門家と一緒に乗り越えていきましょう。

以上、廃業せずに会社を売却する方法、という話題でした。社長が高齢化といってもまだまだお元気な方が多く、そういう人ほど事業承継についてノープランだったりします。後継者に引き継ぐにしろ、売却するにしろ、それなりに時間のかかる準備が必要です。準備していないと万が一のときに廃業せざるを得なくなりますので、すこし時間を割いて頂けると幸いです。





★★★ 人気記事 ★★★