この記事は「2020年に開業したのですが緊急事態宣言の一時支援金の対象になりますか?いくら貰えますか?」といった疑問に答えます。
目次
緊急事態宣言の一時支援金
2021年1月に発令された緊急事態宣言で影響を受けた事業者に対して「一時支援金」が支給されます。その概要については以下の記事に書きましたが、要は「影響を受けていて」かつ「2021年1~3月の売上が対前年または前々年比で50%以上減少」の場合に、個人事業主なら最高30万円、中小法人なら最高60万円貰えるという制度です。
新規開業特例
この場合、2020年に開業したばかりで「前年比」がそもそも無い場合は対象かどうか?が不明だった訳ですが、今回「新規開業特例」として対象となることが明示されました。私のお客様でも2020年2月や8月に開業したお客様があり、これらのお客様も他の要件を満たせば対象となることが分かりました。
発表された資料によると、特例の内容は次の通りです。
- 2019年又は2020年に開業した中小法人等・個人事業者等
- 給付額=開業年の年間事業収入÷開業年の設立後月数※¹×3 ー 2021年対象月の月間事業収入×3
- ※¹ 開業日の属する月も、操業日数にかかわらず、1ヶ月とみなす。
- 緊急事態宣言発令後の2021年以降に開業した事業者に関する特例はない。
新規開業特例でいくら貰えるか?
例として2020年2月に開業したお客様(法人)の場合、2月から12月までの売上金額を11(月)で割って3倍した金額から2021年の対象月(1~3月で任意に選んだ月)の売上金額を3倍した金額を引いた金額、が支給額となります。例えば2020年2月から12月までの売上金額が110万円で、2021年の2月の売上がゼロだったとすると、以下の計算で支給額30万円が求まります。
1,100,000 / 11 x 3 – 0 x 3 = 300,000円 < 600,000円 ゆえに支給額30万円
要するに減少差分の3倍が60万円(法人の場合)を上限として支給されます。
また申請の要件としては大きく①影響を示す書類の保存(提出は不要)、②前期の確定申告書の提出、③2021年の対象月を含む売上台帳の提出、④確認登録機関による確認と確認番号、などが必要です。(その他にも本人確認書類や登記簿などがあります)
50%以上減少の要件が適用されるのか?
ここで今一つクリアでないことは、新規開業特例でも50%以上減少の要件が適用されるのだろうか?という点です。本来の制度趣旨を考えると「緊急事態宣言の影響を受けている」かつ「売上が50%以上減少している」ですから、新規開業特例でも減少差分が50%以上あることが要件になると考えるのが自然な解釈だという気がします。
少なくとも私のお客様にはこの50%以上減少の要件を当てはめて対応する予定です。
持続化給付金と違う点
また前回の持続化給付金と大きく違うのが「確認登録機関による確認」です。前回は不正受給が多くなってしまったため、今回は税理士など第三者が確認した後でないと申請できない仕組みになっています。
ただしこの点については、既に顧問契約があるお客様であれば、「給付対象等を正しく理解しているか等のみについて、電話にて事前確認を受けることができます」とされていて、簡便的に済ませる(確認番号を発行できる)ようになっています。逆に言うと、顧問契約以外のお客様からの確認依頼の場合、事実関係の把握確認がけっこう工数的に厳しくなるため、受けることができないという税理士も多いはずです(私もその一人です)。
税理士が対応する場合の手数料は1件1000円(中小企業庁が負担する)というガイドラインがあり、この安さも今ひとつ顧問契約以外のお客様にコミットしにくい原因になっています。逆に顧客側に高額な報酬を請求してくる悪徳業者にはご注意ください。
顧問税理士がいない事業者については、商工会議所や普段取引がある銀行などで確認番号を発行してもらう、というやり方のほうが現実的でしょう。
実際に申請するかどうか
今回の一時支援金はかかる手間の割に金額が少ないという印象です。自分の時給x工数と得られる支援金額を天秤にかけて、申請するかどうするか判断されると良いです。その時間分普通に仕事したほうが稼げるという方も多いと思いますので。
以上、緊急事態宣言の一時支援金「新規開業特例」が発表されました、という話題でした。持続化給付金の不正受給問題を受けてか細々としたルールで申請のハードルが上がりつつ、給付額が下がっており、本当に困っている方に必要なお金が回るのか、若干疑問な制度になってしまっています。
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