この記事は「コロナ対策の中小企業等事業再構築促進事業とはどんなものですか?補助金を得るためにはどんな準備をしたら良いでしょうか?」といった疑問に答えます。
目次
2021年に導入される新しい支援策
2020年末から新型コロナウイルス感染症の第三波に見舞われており、記事執筆時点ではまだ収束していく気配が見えません。コロナは各業界・各企業に大きな影響を与えており、経済活動は特にB2Cは低迷、失業や自殺が増えるといった状況になっています。
政府は緊急事態宣言で直接インパクトを受ける飲食業・サービス業とその取引先を中心に「とりあえず」の支援策を出していますが、これらが長期的に効き目があるのか?といえば、事業者にとっても感染防止にとってもあまり意味が無い話のように見えます。
それで今国会で議論されている政府の支援策の本丸が「中小企業等事業再構築促進事業」です。これについてはまだ国会で審議中であり、最終的な姿は分かりませんが、中小企業庁が発表している概要を見ると、これまでの支援策とはちょっと趣が違うようです。
今回はこの「中小企業等事業再構築促進事業」について情報を整理しておきたいと思います。
中小企業等事業再構築促進事業のコンセプト
中小企業等事業再構築促進事業とは文字通り、「中小企業等」が「事業を再構築」して苦難を克服しようとするなら、それを支援して返済不要の補助金を出しますよ、というものです。
この時点でいままの支援策とはニュアンスが異なります。例えば持続化給付金の場合、コロナの影響を受けていたら一律に200万円(個人は100万円)支給します、ということでした。影響さえ受けていればよく、かつ金額も一律でそのお金で何をするかも関係ありませんでした。
今回の補助金はそういった「一律に誰でも助けます」ではなく、「自助努力をする人を助けます」に変わっています。逆に言えば、自助努力をしない人は助けません、ということです。
なにもしない会社は淘汰される
これは当然と言えば当然ですが、けっこう厳しい話です。ぼーっとしていて淘汰される会社はもういいです、と言っている訳なので。もともと日本にある会社の規模は諸外国と比べて異常に中小企業が多く、かつてはそれが競争力の源泉だったのですが、いまでは生産性の低い中小企業は統廃合してしまった方が良いという議論もあり、今回の支援策にはそういった意思を感じます。
中小企業がメイン顧客の税理士としては数が減るのは困った話ですが、国の方向性としては理解できるものです。IT化にしろ業務プロセスにしろ時代遅れになってしまっている会社は多いので、そういったところに変化を促す意味では良い方向性です。
思い切った決断が必要
中小企業庁の説明にも「新分野展開や業態転換、事業・業種転換等の取組、事業再編又はこれらの取組を通じた規模の拡大」に補助金を出しますとあり、すなわち「新しい事業」にチャレンジするか「再編して会社を統廃合」するようなかなり思い切った決断が必要となります。
コロナで3ヶ月売上高が10%以上減少したので、こういった決断をし、事業計画を立てて実施し、付加価値が3%以上ついたら補助金が支給されることになっています。なかなか高いハードルです。売上高が10%以上減少はまだ良いとして、事業計画の策定と実施、付加価値の計測は難易度が高いものです。
補助金の規模は大きく対象範囲も広い
ただしこれらが実現できれば補助率(3分の2)も補助金の金額も大きくなっています。特に事業再編で中小企業から中堅企業に「卒業」する場合は補助金は最大1億円となっています。返済不要ですから相当でかいです。なお最大1億円の「卒業枠」は400社限定の早い者勝ちとなっています。
しかし、そこまでして中小企業を減らしたいのかなと思ってしまいます。まあ減らしたいというよりはコロナ後も見据えて生産性を改善したいということなのでしょう。
補助の対象は「建物費、建物改修費、設備費、システム購入費、外注費(加工、設計等)、研修費(教育訓練費等)、技術導入費(知的財産権導入に係る経費)、広告宣伝費・販売促進費(広告作成、媒体掲載、展示会出展等)等」となっています。
「なんでもあり」は言い過ぎですが、相当幅広く対象を捉えており、従前からこういった投資を考えていた会社であれば、渡りに船と言えます。
事業計画の策定が最初のハードル
実際には何をやるか?の補助対象事業の選択・意思決定と、その事業計画の策定が最初のハードルになると考えられます。これを自社だけでこなせる中小企業はあまりない気がします。
要件にあるとおり「認定経営革新等支援機関」に相談してそういった初期的な議論・検討をなるべく早めに着手されることをお勧めします。なお事業計画は経産省が示す「事業再構築指針」に沿って作成することとされていますが、記事執筆時ではまだこの指針が出ていません。
宣伝ですが私が勤務する「税理士法人船津会計」も認定経営革新等支援機関に認定されており、お力になれることがありましたら、以下よりお気軽にご相談頂ければ幸いです。
中小企業庁が発表した資料はこちらにありますので、詳しくはご参照頂ください。
https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/yosan/2020/201224yosan.pdf
詳細な手続き要項は国会にて成立後に発表されるはずです。
以上、政府の新しい支援策「中小企業等事業再構築促進事業」とは?という話題でした。今回の補助金の申込には国の「gBizIDプライムアカウント」が必要です。このアカウント発行が経験上意外に時間がかかるので、まずはこちらを早めに対応しておくことをお勧めします。
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