この記事は「エクセルを使って貸借対照表のような箱型の図を描くにはどうしたらよいですか?」といった疑問に答えます。
目次
貸借対照表とは
貸借対照表とは財務諸表の一つでその会社の財政状態を示すものです。貸借対照表の作り方はルールが決まっていて、左側には資産を、右側には負債と資本金をそれぞれ書くようになっています。つまり借金か元手で資金を調達して、それを資産に変えて会社を運営しているという構図を示しています。
例としては表形式で次のように表現されます。
(出典:法人決算Online)
表形式の貸借対照表の問題点
表形式の場合の問題点は、それぞれの「大小関係」がぱっと見で分からないということです。例えば、上の表ですと流動資産と固定資産は同額の1千500万円、流動負債が500万円、固定負債が1千500万円、資本が1千万円ですが、そのサイズ感がぱっと見で掴めません。
貸借対照表を説明するときには、このようなぱっと見のサイズ感がわかると便利です。税理士もお客様に貸借対照表を説明するときには、細かい数字を並べるよりも概観性を良くした方が喜ばれるものです。
エクセルで作る貸借対照表
かといって、これをパワポで作るのも意外と面倒です。パワポで適当に箱を重ねて作ることもできますが、適当過ぎるのもどうかなと。
そこで登場するのが万能ツールの「エクセル」です。
もともと貸借対照表の元データはエクセルにある(またはエクセルにインポートできる)ので、それをそのまま使えば良いのです。エクセルの棒グラフの作成機能を使うことにより、貸借対照表のような箱型の図形も簡単に描くことができます。
例えば次のようなものを作ることができます。
これを示して「オレンジが流動資産と流動負債です、青が固定資産と固定負債です、グレイが資本です」と説明すれば全体のサイズ感やバランスがぱっと見でわかります。「流動資産が流動負債より大きいので安全ですね」とかちょっとした分析も説明しやすくなります。
以下にこの作り方を説明します。
エクセルの棒グラフを使った「貸借対照表」の作り方
まず基になるデータを準備します。次の表のようになります。
棒グラフはデータを下から積み上げるため、例えば左側については図の上では固定資産が一番下ですが、表の上では固定資産を一番上に書きます。またデータがないところには「0」と書くのではなく空欄のままにしておきます。「0」を入れると図のでも「0」が表示されてしまうのでそれを避けるためです。
次にこの表を選択して次の順番で棒グラフを挿入します。
挿入 → 縦棒グラフの挿入 → 2-D縦棒 → 積み上げ縦棒
すると次のような棒グラフが出来上がります。
この棒グラフを加工して貸借対照表の形に変えて行きます。
まずは行と列の入れ替えを行って積み上げ形式の棒グラフに変更します。
グラフのデザイン → 行列の入れ替え
縦軸・横軸・汎用例などは不要ですから、右クリックで選択して「削除」していきます。
すると次のような図になります。
次に塗りつぶしと枠線の機能を使って見た目を整えていきます。
以下のようにグラフ上を右クリックして、「塗りつぶし」と「枠線」で「箱」っぽくしましょう。
また、「グラフタイトル」を編集して「貸借対照表」に変更します。
すると次の図のようになります。
箱と箱の間の間隔が不要ですので、次のやり方でこれを密着させます。
グラフ上を右クリックして、「データ系列の書式設定」を選択し、「要素の間隔」を「0%」に変更します。
だいぶそれらしくなりました。次に各要素のデータを入れていきます。
グラフ上を右クリックして、「データラベルの追加」を選択、1つずつ追加していきます。数字は表の数字がそのまま表示されます。
フォントが小さすぎて見にくいので、データラベルを右クリックして「フォント」を選択し、大きなフォントに変更します。
ほぼ完成ですが、 あっさりしすぎていますので背景の色を変えます。
右クリックで「グラフエリアの書式設定」を選択し、「塗りつぶし」を選んで「色」を指定します。例では薄いグレイを選びました。
タイトル「貸借対照表」のフォントと位置を調整して、出来上がりです。
グラフの再利用
ここまでまあまあの手間でしたので、出来れば最初から繰り返し作成したくありません。
そういったときには、このグラフをテンプレートとして保存しておくことで、繰り返し再利用することができます。
グラフの上で右クリックして「テンプレートとして保存」を選択します。
これで、この棒グラフを名前を付けて保存しておくことが出来ます。
では保存したテンプレートを使って、別の貸借対照表を作ってみましょう。次のような内容です。
テンプレートの呼び出しはリボンの「グラフ」の右下にある斜め矢印を使ってそういうことができます。
表を選択したらこの斜め矢印をクリックします。
「全てのグラフ」ダブの中に「テンプレート」がありますのでこれをクリックします。すると、先ほど保存した貸借対照表のグラフがマイテンプレートとして表示されていますので、これを選びます。
テンプレートを使ってグラフが自動的に描かれ次のように表示されます。
「あれっ?違うじゃん」となりますが、残念ながら完全な書式の保存はすることができず、こういうもののようです。
仕方がないので、ここからは先ほどの手順の一部を繰り返します。ですが、大部分の書式は再現されているので、簡単な追加作業だけで再び次のような対策対象様を作ることができます。
以上、 エクセルの棒グラフを使った「貸借対照表」の作り方、という話題でした。これ自体はぞれほど多くの方にニーズがあるとは思えませんが、同じテクニックを使えば、このようなデータに基づいた「箱型」の図を描くことができるでしょう。Excel2016には「ツリーマップ」という同種の機能も実装されており、内容により「ぱっと見で」わかりやすいプレゼンをすることができますね。
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