【ビジネス統計学入門】誰でもできるエクセルを使った売上予測の立て方



予測の重要性

「予測」はビジネスに付きものです。需要を予測したり、売上を予測したりといったことがあります。予測に基づいてヒト・カネ・モノのビジネスリソースをあらかじめ準備することが目的です。予測を外せば機会損失を招いたり、お客様に怒られたり、ビジネスにとってはマイナスしかありません。

順調なビジネスの裏には必ず予測と検証があります

昔は予測をKKD(勘と経験と度胸)で行っていた訳ですが、そういう時代は終了しつつあり、少しでも合理的な方法を採用することが求められています。

とはいえ、いきなりビックデータを使いましょう、というのは飛躍しすぎです。そこで、誰でも出来る現実的な方法として、「エクセル」の関数を使った方法を紹介します。

今回紹介する2つの関数はいずれもExcel2016から新しく設定されたものです。これよりも古いExcelバージョンには入っていません。

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エクセル 売上予測

エクセルを使った予測

エクセルで予測を行う場合、予測の元になる変数(X)と予測の結果である変数(Y)の2つについて過去データがあることが前提になります。

その上で過去データからXとYの関係を数式で表し、将来のXを設定することで、Yが導出される、という方法をとります。





forecast.linear関数を使ったやり方

Xが増えるとYも比例して増える場合、「XとYの関係が直線的である」、と言えます。このような関係性が見て取れる場合はエクセルの「forecast.linear関数」を使います。

例えば下図のような売上高の推移を見ますと、2012年から2018年まで直線的な伸びになっていることが分かります。この場合、2019年の売上高を予測するためには下記のように関数を使います。

=FORECAST.LINEAR(A9, C2:C8, A2:A8)

A9は予測したい「8」期が入っているセル、C2:C8は過去売上高の範囲、A2:A8は過去期の範囲です。

forecast.linear

例では予測値は約1504となっており、グラフ上も妥当な数字だと分かります。





forecast.ets関数を使ったやり方

Xが増えるとYも増えているのだが直線的でない場合、例えば周期的な季節変動のような動きがある場合があります。例えば、売上が特定の四半期だけ他より高いというような場合です。

このような場合は、「forecast.ets関数」を使います。

forecast.ets関数は指数平滑法(しすうへいかつほう)という方法を使って予測値を計算します。指数平滑法というのは簡単に言うと、遠い過去よりも直近の過去に重きをおいて計算する加重平均法のひとつで、比較的短期の予測に適しています。

在庫管理などで定期発注方式における発注量予測によく用いられます。

売上の伸び率が大きいような場合は、直線的な予想ではうまくいかず、指数平滑法を使った方が妥当な予測値を出すことができます

例えば下図のような売上高の推移を見ますと、2012年から2018年まで急激な伸びになっていることが分かります。この場合、2019年の売上高を予測するためには下記のように関数を使います。

=FORECAST.ETS(A9, C2:C8, A2:A8)

A9は予測したい「8」期が入っているセル、C2:C8は過去売上高の範囲、A2:A8は過去期の範囲です。

forecast.ets

このように2019年の予測値は約2836で、過去の伸びから妥当な数字であると分かります。

ここで仮にforecast.linear関数を使うどうなるかというと、下図のようになります。

forecast.linear

2019年の予測値は約2360となって、グラフのとおり明らかにおかしな値です。

このようにforecast.linear関数とforecast.ets関数を使い比べて、妥当な予測値を探ると良いでしょう。





散布図を使うやり方

XとYに単純な関係性がない場合があります。一定の法則性はあるように見えても上記の例のような単純ではない場合です。このような場合は、散布図を書いて近似線を求める方法がおすすめです。こちらの記事にその方法を書きましたので、合わせてご参照ください。

以上、誰でもできるエクセルを使った売上予測の立て方、という話題でした。エクセルはExcel2016から新しく入った機能が多くあります。便利なものが多いですが、意外と気がつかず活用できていないものです。知識のアップデートにはこちらの書籍「500円でわかるエクセル2016」などいかがでしょうか?

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