【起業】株式会社・合同会社・一般社団法人・NPO法人のどれにするか?【メリット・デメリットをわかりやすく比較】



この記事は「会社を起業する場合、株式会社・合同会社・一般社団法人・NPO法人のどれにすれば良いですか?」という疑問に答えます。



株式会社・合同会社・一般社団法人・NPO法人のどれにするか?

会社を作る=株式会社と考えている人が多くいますが、一言で会社を作ると言っても実際には様々なタイプがあります。事業の内容の内容や規模によって適切な選択ができるように、いくつかの観点から以下に解説します。





設立の背景

この4つは設立の背景が次のように異なることとなります。自分の会社の設立の背景と照らして適正なタイプを選択しましょう。

株式会社投資家から資金を調達して経営者が事業を行う
合同会社出資者がそのまま経営者となり事業を行う。出資者は有限責任
一般社団法人2人以上の社員が集まって活動を行う。利益の分配をしない
NPO法人特定非営利活動法人。特定20種類の活動を行う。利益の分配をしない

株式会社の場合は、投資家から出資を受けた経営者が事業を行い、利益を投資家へ分配します。これにより投資家は元手を増やすことができますが、経営者が失敗すると出資がゼロになってしまう恐れもあります。ただし、投資家も出資の範囲でしか責任を負う必要がないので、会社が負債を抱えて倒産したとしても、その負債まで負うことはありません。

株式会社の場合であっても自分で投資して自分で株主となり経営するというパターンも可能です。この場合でも株主総会を開催して議事録を残す、ということが法律上必要となります。この議事録作成は面倒なので税理士が付いていれば作成をサポートしてもらえます。

一方、合同会社では出資者が経営者なので、投資家(株主)が存在しません。このため株主総会を開催する必要はありませんし、決算公告の義務もありません。株式会社に比べて運営手続きが簡素化されているのです。

なお、合同会社の場合も利益が出れば配分できますが、会社が倒産したとしても出資者(経営者)が会社の負債まで負うことはありません。有限責任です。

これに対して、一般社団法人は「利益分配をしない」法人です。人が2人以上集まってなんらかの活動を行い、その活動に法人格を与えたものが一般社団法人です。法人格があると会社と同様に法人名義で銀行口座を開いたり不動産を契約したりといったことが可能となるため、一般社団法人とするのです。

NPO法人は一般社団法人の一種で、公共性のある以下の20種類の活動を行うものです。よく「ボランティア」と間違えられますが、必ずしもボランティアとは限らず、理事も職員も報酬(給与)を得ることができます。

  • 保健、医療又は福祉の増進を図る活動
  • 社会教育の推進を図る活動
  • まちづくりの推進を図る活動
  • 観光の振興を図る活動
  • 農山漁村又は中山間地域の振興を図る活動
  • 学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動
  • 環境の保全を図る活動
  • 災害救援活動
  • 地域安全活動
  • 人権の擁護又は平和の推進を図る活動
  • 国際協力の活動
  • 男女共同参画社会の形成の促進を図る活動
  • 子どもの健全育成を図る活動
  • 情報化社会の発展を図る活動
  • 科学技術の振興を図る活動
  • 経済活動の活性化を図る活動
  • 職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動
  • 消費者の保護を図る活動
  • 前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動
  • 前各号に掲げる活動に準ずる活動として都道府県又は指定都市の条例で定める活動


代表例

各パターンの代表例は以下のものです。

株式会社省略
合同会社アップルジャパン合同会社
グーグル合同会社
合同会社西友
一般社団法人一般社団法人 日本音楽著作権協会(業界団体)
一般社団法人 日本販売士協会(資格)
一般社団法人 エンディングメッセージ普及協会(スキル)
NPO法人認定非営利活動法人 フローレンス(保育)
JICAボランティア(国際協力)
認定非営利活動法人 ハートフルトポス(福祉)

株式会社は世の中に溢れていますので具体例は割愛します。合同会社は外資系の主要企業で例が多くなっています。アップルもグーグルも合同会社です。これは日本法人の運営が法的に簡便化できるためです。

一般社団法人は○○協会といった業界団体や、資格やスキルに関連したビジネスで多く見られます。

NPO法人は20分野の中でも福祉関係や国際協力関係が多くなっています

ですが、20分野の中には「情報化社会の発展を図る活動」といったものがあります。例えば中古スマホの販売業なども該当するような印象を受けますが、簡単には所轄庁が認証しないものと考えられます。「世のため人のため」をアピールできないと認証されないでしょう。





設立手続き

各パターンの設立手続きはおおむね次の流れです。どのパターンも法人登記が必要となります。

株式会社定款作成・認証 → 登記
合同会社定款作成(認証は不要) → 登記
一般社団法人定款作成・認証 → 登記
NPO法人所轄庁の窓口に申請 → 認証 → 登記

異なるのは認証のプロセスです。

株式会社や一般社団法人の設立では定款を作成して公証人役場で認証を受ける必要があります。合同会社の場合なら、定款は作成しますが、公証人の認証は不要です。

NPO法人の場合はこれらと異なり、まずその活動を管轄する所轄庁に申請して認証を受けることになります。

いずれの場合もその後税務署や社会保険関係の手続きが続きます。詳しくはこちらの記事もご参照ください。

定款の作成・認証、法務局の登記については手数料を払って司法書士に依頼することもできますし、手数料をセーブするために自分で行うことも可能です。ネットでひな形を見つけることができますので、自分でされる方も多くなっています。

私は「KnowHows(ノウハウズ)」の無料で使える「契約書テンプレート」をよく参照しています。専門家が監修したひな形を利用できるので、おすすめです。



初期(法定)費用

起業時に必ずかかる法定費用は、おおむね以下の通りとなります。

株式会社公証人役場 5万円 (電子定款でない場合は印紙代4万円)
登記 15万円
合同会社公証人役場 0円 (電子定款でない場合は印紙代4万円)
登記 6万円
一般社団法人公証人役場 5万円 (印紙代0円)
登記 6万円
NPO法人公証人役場 0円 (利用しない)
登記 0円(登録免許税の対象外)

大まかに言うと、設立にかかる初期(法定)費用は株式会社が20-24万円、合同会社が6-10万円、一般社団法人が11万円、NPO法人が無料、となります。

一般的な事業であれば合同会社の設立必要が最も安く抑えることができます。

NPO法人はその公益性から起業時の法定費用が免除されています。NPO法人をお考えの方は以下の記事もご参考にどうぞ。



法人税

法人税の税率は、各法人について平31年4月1日以後開始する事業年度について以下の通りとなっています。

株式会社資本金1億円以下の法人など:
年800万円以下の部分は原則15%、年800万円超の部分は23.20%
上記以外の普通法人:23.20%
合同会社株式会社と同じ
一般社団法人株式会社と同じ
NPO法人年800万円以下の部分は原則15%、年800万円超の部分は23.20%
(収益事業から生じた所得について)

株式会社で資本金1億円以下とするか、NPO法人の場合以外は基本的に法人税の税率に違いはなく、どちらが得とか損とかといった話にはなりません。

通常の起業の場合であれば、資本金は1億円以下でしょうから、年800万円以下の所得に対する優遇税率が適用されます。

また、社会福祉法人となると、その公益性から年800万円超の部分が19%とさらに優遇されるます。社会福祉法人には独自の会計基準があり、社会福祉法人を考えておられる場合には税理士・会計事務所等に相談されることをお勧めします。




メリットまとめ

  • 株式会社のメリットは何と言ってもその「知名度」や「信頼性」です。最も無難な選択肢といえます。
  • 合同会社のメリットは初期投資が安く、運営も迅速かつ簡便的にできるということです。小さな起業であれば、お金をかけないように合同会社でスタートし、ビジネスが大きくなってから株式会社に組織変更するという方法もあります。
  • 「福祉」など一定の分野ならNPO法人を法定費用無しで起業することができます。


デメリットまとめ

  • 株式会社の起業は初期費用が多くかかり、株主総会や決算公告の義務など手間がかかります。
  • 合同会社は比較的新しく、まだ一般に浸透していない感があり知名度の点で難点があります。
  • 一般社団法人やNPO法人の理事(会社の役員に相当)は任期が最長2年と決まっています。同じ人が再任する場合でも登記手続きと費用が発生します。
  • NPO法人では所轄庁の認証を受ける必要があり、審査があり時間もかかります




以上、起業にあたって株式会社・合同会社・一般社団法人・NPO法人のどれにするか?、という話題でした。メリット・デメリットを加味しつつそれぞれの事業の都合で選べば良いことですが、自分の経験でも100%福祉なのに株式会社としていたり、すこし疑問に思う起業があります。起業を思い立ったら早いうちに税理士に相談して、手続きも含めてサポートしてもらうことをお勧めします

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