目次
定年退職後に起業はアリか?
定年退職を機に起業したいっ!という話を聞くことがあります。この場合、これまでの経歴(特に定年前の仕事)とどういう繋がりがあるのか、が重要です。繋がりがなければ失敗となる可能性が高く、「止めておいたほうが良いです」ということになります。
近頃は60代でも若くて元気なのですが、理想と現実のギャップは厳しく、特に資金繰りがうまく行かないというパターンが多いです。お金を貸す方も高齢者には簡単に貸せません。
これまでと繋がりのある仕事なら、経験や人脈が活かせる場合がありますし、業界や市場の知識もあるので、可能性は無くは無いのですが、会社員と経営者では共められる知識の範囲や責任の範囲が相当違うので、本当に大丈夫か慎重に計画する必要があります。間違っても退職金全投入で倒産などしたくありません。
それでも起業して挑戦してみたい、一度の人生なので無駄に過ごしたくない、という方へアドバイスを考えてみました。
リスクの低い起業方法:会社買収
最近話題になった起業方法として、「会社を買う」という選択肢があります。個人で既存の中小企業の株式を買ってオーナーになってしまう、という方法です。起業の一番難しいところは「ゼロからイチを作る」ことですので、すでにある会社であればゼロから始める必要はありません。様々な経営資源を承継して経営すればよいということになります。この個人による会社買収はこちらの書籍「サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい」に詳しいですので、興味がある方にはお勧めです。
もし具体的にどんな会社がいくらで売りに出ているのか見てみたい、という場合には、ビズマのようなサービスに登録すると案件を参照できます。ビズマなら会員登録無料、マッチング費用も無料で買収先の会社を見つけることができます。
リスクの低い起業方法:NPO法人の起業
定年を迎えて、残りの人生を世のため人のために役立てたいと考えるなら、NPO法人での起業がお勧めです。NPO法人は文字通りNon Profit(非営利)ですが、役員報酬や給料などは普通に支給できますので、定年後の生活を支えることが可能です。また様々な優遇措置があります。詳しくはこちらの記事にまとめましたので、ご参照ください。
無理に起業せず経験を生かす方法
前述のとおり起業は難しいので、無理に起業するのではなく、別のやり方でこれまでの経験を生かして社会貢献する、という方法もあります。1つめは、こちらの記事で紹介している、ビザスクやマネジメントメンター制度がそれです。企業に対して皆さんのスキルや経験を単発で売るようなイメージです。起業でも雇用でもなく、コンサルタントとか顧問といったイメージです。
もう1つははやり「再就職」です。世の中全般に人手不足と言われていますので、定年後であっても職はあります。特に経理やIT、英語といった汎用性が高いスキルを持っていれば、良い仕事を見つけることができるでしょう。そのための準備については、下記の記事で説明していますので、ご覧ください。
それでも起業する場合の手続き
もし皆さんに十分な資金、体力とアイデアがあり、起業を望まれる場合のために、起業の手続きを簡記しておきます。こちらは「株式会社」の設立手順について概要を示したものです。私自身の備忘の意味も含めてまとめてみました。
一般的な会社設立の手続き
- 市役所等で発起人と代表取締役の印鑑証明を入手
- 法務局で印鑑届書(用紙)を入手
- 定款を作成
- 公証役場で定款の認証を受ける(手数料5万円、印紙代4万円(電子定款なら印紙は不要))
- 銀行で個人口座に資本金の払い込みをして払込証明書を作成
- 株式会社設立登記申請書を作成
- 印鑑届書を作成
- 収入印紙貼付台紙を作成
- 法務局で登記申請する(登録免許税 最低15万円)
- 補正日に法務局に補正の有無を確認。補正なしなら設立完了
- 法務局で登記事項証明書・印鑑カード・印鑑証明を入手
- 会社名義の銀行口座を作り、資本金を個人口座から振り替える
登記後の役所等の手続き
会社の設立登記が完了したら、以下の役所等に必要な書面を提出・手続きします。以下の例は代表的なもので、場合により必要なものが異なりますので、注意が必要です。
税務署にて以下の書面を提出
- 法人設立届出書
- 給与支払事務所等の開設届出書
- 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
- 青色申告の承認申請書
都道府県税事務所にて以下の書面を提出
- 法人設立等届出書
- 事業開始等申告書
市町村役場にて以下の書面を提出
- 法人設立届出書
年金事務所にて以下の書面を提出
- 厚生年金保険新規適用届
- 新規適用事業所現況書
- 厚生年金保険保険者資格取得届
- 健康保険扶養者(異動)届
- 厚生年金保険保険料納入告知書送付(変更)依頼書
- 第3号被保険者にかかる届出
ご覧いただいて分かる通り、数が多く、提出の期限が決まっているものもありますから、実際に起業される際には税理士等の専門家に相談されるほうが良いです。税理士ドットコム
のようなサービスを使って税理士を探しましょう。
もしくは最近ではクラウド会計のfreeeが会社設立freeeというサービスを行っていまして、会社設立に必要な書類を5分で一括作成できるようになっています。税理士の先生でもこちらの利用を勧める方がいるくらいの便利なサービスですので、自分でやってみようという方は無料で登録して試してみてください。
以上、シニアが定年リタイア後に独立して起業する場合どうしたら良いか?という話題でした。