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空き家バンクとは
少子化・高齢化を背景として空き家の増加が言われるようになって久しいです。そう思って街を歩いていると、確かに空き家とおぼしき住居がちらほらあったりしますし、更地になって売りに出たりする物件もあります。
しかし更地になって売りに出れば良いほうで、中には朽ち果てて臭いや虫が出たり、ゴミが投棄されてしまったり、最悪は犯罪の温床になったりして社会全体として取り組まないといけない問題な訳です。実際、下図のとおり空き家はどんどん増えていまして、急を要する問題とされています。
(引用:国土交通省「空き家等の現状について」)
そのため、そういう空き家を持っている人と、中古住宅を探している人をマッチングするのが「空き家バンク」です。空き家バンクは営利目的というよりは、社会福祉のほうに近いので、各自治体が運営するという形をとっています。
地方自治体の取り組み
地方自治体がそれぞれ「空き家バンク」を運営しているので、やっているところとやっていないところがあります。また、そのやり方も各自治体により様々で、運営形態にばらつきが大きい状況になっています。
ご自身が空き家を抱えて、空き家バンクを活用したい場合、または、空き家を探している場合には、その場所の自治体が「空き家バンク」を運営しているのか、また運営している場合でもどんな運営形態なのかチェックするところから始めます。
下図は私が住んでいる埼玉県の状況です(平成30年現在)。緑の自治体がなんらかの空き家バンクを運営しています。県の中央から東側では実施していない自治体が多いです。
(引用:埼玉県ホームページ)
それで私が住んでいる所沢市はどうかというと、実施はしているようですが、ホームページを探しても物件登録などは無く、地域の業者とマッチングを行う、ワンストップ相談所のような運営となっています。
一方、毛呂山町(もろやままち)などは本格的なポータルサイトを立ち上げて、真剣に取り組んでいるようです。
埼玉県毛呂山町移住・定住総合ポータルサイト
http://www.town.moroyama.saitama.jp/www/choudo-e-moroyama/genre/1519094667223/index.html
それぞれの自治体のホームページなどから探してみると良いでしょう。
全国レベルでの取り組み
このように空き家バンクは各自治体でバラバラの運営だったのですが、平成30年からついに国土交通省が主導して、「全国版空き家・空き地バンクサイト」の運営が始まりました。
より統一感をもって全国展開しましょう、ということです。この実施にあたっては次の事業者2社選定されたようです。それぞれのURLから全国の空き家を検索することができます。
- 株式会社LIFULL URL: https://www.homes.co.jp/akiyabank/
- アットホーム株式会社 URL: https://www.akiya-athome.jp/
しかしながら、この全国版空き家バンクに全ての自治体が参加している訳ではありません。参加するかどうかは各自治体の判断に委ねられており、下図のとおり現況では27.5%しか参加していないまだまだの状態です。
(引用:国土交通省「空き家等の現状について」)
空き家バンクの問題点
調べてみると空き家バンクがいまひとつ盛り上がってこない理由は主に次のようなことがあります。
・空き家の取得要因はほとんど「相続」で、要するに自分が生まれ育って愛着のある家ですので、なんとなく空き家バンクに出したくない、このままで良いかと思ってしまう
・空き家バンクに出したくても腐朽破損が激しくて、そのままでは無理。かといってリフォームするにはコストがかかりすぎる
・不動産業者が間に入らない直接取引では思わぬ瑕疵の可能性もあり適正な売買ができるのか不安
・逆に業者だけ紹介されても強いセールスを受けそうで相談しにくい
これらの問題点を克服するためには自治体は民間事業者に丸投げするのではなく、売り手・買い手の不安を払拭できるように積極的に介入し、場合により助成金などを出して、取引を促進させる手立てが必要でしょう。
元気なうちに空き家にならないように手を打つ
自らの持ち家が将来的に空き家になりそうな場合はどうしたら良いでしょうか?つまり、子供がいなかったり、いても子供たちは自分の持ち家を持っているような場合です。
もう相続しても空き家になることが確実なのであれば、元気で生きているうちに対応を考えておくという手もあります。この場合、活用可能な手法としては、(1)リバースモーゲージと(2)リースバック、があります。
リバースモーゲージを活用する
リバースモーゲージでは今住んでいる家を担保に入れて金融機関からお金を借ります。全額を返済する前に亡くなって住む人が居なくなったら、金融機関は担保を実行しその家を売って貸付金を回収する仕組みです。
家のオーナーとしては持ち家に住みながらまとまったお金を手にすることができます。そして空き家問題が後に残る心配もありません。金融機関は利息収入を得つつ最終的には担保物件としての家を売却しますので、原則として損失になることはないでしょう。
ただし、家のオーナーは所有権は維持できるのですが、担保の登記をしたり、手続きに費用がかかります。
家をリースバックする
リースバックとは今住んでいる家を業者に売却し、その業者を大家さんとしてその家を賃借して住み続けるというものです。
家のオーナーとしては持ち家に住みながらまとまったお金を手にすることができます。こちらも売却しているので、空き家問題が後に残る心配もありません。業者としては、住んでいる人が亡くなって、賃借人がいなくなったらリフォームして別の借り手を捜すこともできますし、第三者に売却することもできます。
ただし、売却してしまうので家(土地・建物)の所有権を失い、賃借人となったらずっと家賃を払うことになりますので、堅実な資金計画が必要です。
リースバックは以前から機械や装置で使われた考え方でしたが、最近になって「家」に適用しようという業者もいます。
以上、「空き家バンク」をめぐる現状とリースバックなど空き家にしないための対策、という話題でした。