【請求書】請求書は「紙」で作成しなければならないのか?【PDF請求書を導入する方法】



この記事は「請求書を紙で印刷して郵送するのが面倒です。PDFをメールに添付して送ったらダメですか?」といった疑問に答えます。



請求書は「紙」という思い込み

先日とある会社にて「弊社では請求書は紙で行わなければいけません」と言われてびっくりしました。請求書は紙に印刷して送るというのが長年の習慣ですが、必ず紙でなければいけないと思い込んでる人が意外と多いようです。

今回は請求書は「紙」で作成しなければならないのか?について説明します。





請求書は「紙」で作成しなければならないのか?

結論としては、請求書とは紙で作成しなければならないということはありません。 請求書をPDF ファイルで作成してメールでお客様に送付しても法律上特に問題はありません。

したがって、紙の請求書に固執することは 多くの場合コストの無駄遣いということになります。



PDFで請求書を発行する方法

では請求書を PDF ファイルで発行する方法にはどういったものがあるかと言うと、一般的に次の方があります。

  • ExcelやWordなどで自分でイチから作成する、またはテンプレートを使う
  • 会計システムの請求書発行機能を使う

ExcelやWordを使う方法については、インターネットで検索していただくと、たくさんやり方が出てきますので、そういった方法を参考にしていただければと思います。特に無料で使えるテンプレートを使えば、綺麗な請求書を作成することができます。 

ただし、このやり方は紙に手書きする代わりにパソコンで打ち込むというだけであり、それほどのコスト削減効果は見込めません。請求書の発行件数が少ない場合には有効ですが、発行件数が多くなってきますと結局面倒なものです。

そこで現実的には、多くの会社や個人事業主が会計システムと連動させた請求書作成機能を活用しています。売上が立てば会計システムに記録されますので、その情報をもとに請求書を発行することができます。顧客情報や請求の内容はシステムから取り出すことができますので、わざわざパソコンで打ち込む必要はありません。



請求書をPDFで発行できる会計システム

請求書発行機能を持った会計システムは様々ありますが、もしビジネス規模がさほど大きくなければ ソースネクスト社の「ズバリ見積・納品・請求書」が必要かつ十分です。厳密にはこのソフトウェアは会計システムではありませんが、あらかじめ登録した顧客情報や商品情報を取り込んで簡単に請求書を作成することができます。 

会計システムの場合はそれなりに毎月の運用コストがかかりますが、「ズバリ見積・納品・請求書」であれば3,990円の買い切りソフトウェアです。したがってコストを抑えつつ効率的な業務を行うことができるようになります。

「ズバリ見積・納品・請求書」はソースネクスト社のサイトから購入ダウンロードすることができますので、下記リンクより公式サイトへ移動し「ズバリ見積・納品・請求書」で検索してみてください。

最近であれば、ソフトウェアをインストールするのではなくインターネット上のサービスとして利用するクラウド型の会計システムが人気です。例えば「マネーフォワード」や「freee」、「Misoca(ミソカ)」といったサービスがあります。

これらには会計システムと連動して請求書を作成する機能があります。会計システムは売上の管理や売掛金の管理で必要となりますので、これと連動して請求書は作成できるようになると、普段の経理処理と請求書の作成が作業として統合され非常にスムーズになります

もし一定以上のビジネス規模があり、現在手作業で請求書を発行しているのであれば、こういったクラウド会計システムの導入を検討すると良いです。上記の3つについては、無料版もしくは無料お試し期間があり、使い勝手を試してみることができます。



請求書をPDFで発行する場合の注意点

請求書を PDF 形式のファイルで作成し電子メールで取引先に送るということは、法律上は何の問題もありませんが、これまで紙で送っていたもの突然電子メールにしてしまうと相手が混乱する可能性があります。このため、できれば2~3ヶ月前には相手方に説明をしてそれから電子メールの形に切り替えることが望ましいです。

また取引先によっては、請求書に社印(角印)を押印するように求めてくるところがあります。この社印も実は法律上の必要性はありません。長年の習慣で文書の真正を証明するために必要とされてきましたが、法律上それを求めているということはありません。

ですが、実際にはどうしても社印を押せというところもあります。そういった場合には 印影をスキャンしてPDF上に画像として表示するようにすれば大丈夫です。社印は日本独自の風習で、無駄以外の何物でもありませんが、どうしてもと言われれば致し方ありません。



納品書はPDF化できるか?

請求書と同様に納品書も紙ではなくPDFファイルで作成して、電子メールで送付することができます。法律上の問題はありません。

ですが、納品書のそもそもの目的は納品した商品の明細ですから、物理的な物を届けるのであれば紙で出すほうが意味があります。サービスなどであれば、メールに添付で良いでしょうし、そもそも納品書の発行が不要という場合もあります。

アマゾンなどは以前は紙の納品書が同梱されてきましたが、いつの頃からか納品書は省略されてしまいました。注文した商品だけが届きますが、別にそれで不都合があったということもありません。

お客様と注文履歴を共有できるようにしておけば、納品書が無くても品違いなどのトラブル対応が可能だからです。このようなアマゾン型のやり方を目指すべきでしょう。





どうしても「紙」を求められたら

日本企業に未だにいる「昭和おじさん(おばさん)」たちは、「請求書はどうしても紙に印刷して郵送してくださいっ!」と言う場合があります。なぜなら、以前からそうしているからであり、社内でそう決まっているからです。

商品やサービスを提供する立場では、これに応じざるを得ない、ということがあります。かといって自分で印刷・封入・発送するのは面倒すぎます。この場合どうしたら良いでしょうか?2つ考え方があります。

一つには上記のクラウド会計システムに付随している「郵送代行」サービスを使うという手があります。オプション料金が発生しますが、例えば「freee」なら1通150円で代行サービスを利用することができます。

こちらで作ったデータを基に印刷・封入・発送してくれます。各社とも同様のオプションサービスがありますので、詳しい内容は以下よりご確認頂ければと思います。

もう一つの選択肢としては、日本郵便がサービスとして提供している「Webゆうびん」を使う手があります。


これは、こちら側で準備したPDF形式の請求書をアップロードすると、日本郵便が印刷・封筒詰め・発送を代行してくれるサービスです。1通99円から申し込み可能で、最短翌日配達です。コストも安いですし、もともと郵便局で行うので発送が早いのが特徴です。

もしクラウド会計システムを使うのなら、オプションの「郵送代行」サービスを使うのがスムーズですし、クラウド会計システムを使わないなら、「Webゆうびん」をお勧めします。



受け取り側のPDF請求書対応は?

PDF請求書を受け取った側については、実は請求書を紙で保管する必要があります。これは税法の要求事項で、もし税務調査が入って「この費用の請求書を見せてください」となったら、紙で見せる必要があります。

「請求書はどうしても紙に印刷して郵送してくださいっ!」と言ってくる人は、このことを理由としている場合が多いです。本来はPDF請求書を受け取った側で印刷して保管しておけば良いはずなのですが、その手間コストをセーブするためにこちら側にコスト負担を強いているのです。

現在では「電子帳簿保存法」という法律があり、PDF請求書はそのままデータとして保管することも可能です。ただし、これをやるためには事前に税務署に申請して承認を受ける必要がありますし、その他にも技術的に難しいハードルが多くあり、この法律の利用はほとんど「無理ゲー」となっています。

結果ギブアップしてしまい、「紙で保管しましょう」となりがちなのです。この辺がIT後進国と言われる所以です。





以上、請求書は「紙」で作成しなければならないのか?という話題でした。諸外国では請求書(invoice)は普通にPDFをメール添付という形になっており、いまだに紙を使っているところは珍しい状況です。日本もはやくそうなるといいですね。

★★★人気記事★★★