【ITコンサル事例】紙をなくす!!業務ペーパーレス化する方法

ITコンサルティングの案件で割と多いのが、紙を使った業務ペーパーレス化したいというものです。 この記事では「弊社も紙業務が多くて困っていますが、どうしたらペーパーレス化できますか?」といった疑問に答えます。



なぜ「紙=悪」なのか

最近では脱ハンコなどと言われ、古くから続いてきた紙をベースにした業務から脱却しようと言う流れになっています。 長く紙を使った業務に慣れ親しんできた人々にとっては、紙を使わないことの方に違和感を感じやすく、抵抗感を持ちがちです。

そういった人たちにはなぜ紙を使うことが悪いことなのか説明するところから入ります。

現在のコロナ禍においては一番大きな理由は「テレワーク(リモートワーク)できないから」でしょう。紙を扱うために出社を余儀なくさせられるのは、そのまま従業員の命を危険に晒す行為であり、経営者として問題があるものです。

もちろんテレワークが導入できない理由は紙の問題以外にも様々あり、これだけが理由ではありませんが、紙の存在が最大の障壁になっていることは間違いありません。 

次の理由としては「紙を取り扱うコストが高いから」があります。まずコピー用紙など紙そのものの購入に費用がかかります。またこれに付随してプリンターや複合機のトナー代や、紙を整理するためのファイルやバインダーその他の文房具など全てコストがかかります。

また、紙を保管する場所も大きな問題です。ファイルキャビネットいくつも用意したり、規模によっては紙を保管するための倉庫を借りたりしているところもあります。 

税法の要件によって領収書や請求書などの原本を長期保管する必要がありやむを得ない面もあります。ただ近年ではこれらの証憑類も電子的に保存することができる法律が整ってきており、freeeマネーフォワードといった主要なクラウド会計も対応しています。

電子帳簿保存法の概要|国税庁



コストについては、ペーパーレス化によってIT機器やソフトウエアなど別のコストが発生することがありますが、経験上紙の取り扱いよりもペーパーレス化した方が業務コストは下がることが分かっています。長期的にみればランニングコストを半減させることも可能です。

さらに「紙=悪」である理由として「紙の情報は検索しにくいから」があります。 過去の資料を探し出す様な場合に、バインダーを取り出して一枚一枚めくっていくというのは非効率以外の何者でもありません。

これまで紙だった資料を電子化しておくことで、過去資料の検索が非常に容易になります。 また、過去の資料を集計してレポートを作成したり、統計分析をしたりといったことも容易になります。経営のスピードアップが可能になるというわけです。

このように見てくると、紙を使い続けることの愚かさが分かるかと思います。是非ペーパーレス化に取り組むことをおすすめします。 以下では具体的にどのようにペーパーレス化に取り組むのかについて説明します。 



紙をパソコンで置き換える

業務ペーパーレス化の案件を考える場合、最初に見るのはその業務が「座って行う業務」なのか「立って行う業務」なのか、という点です。座って行う業務であれば、基本的に紙をパソコンで置き換えることを考えます。立って行う業務であれば、紙をタブレットで置き換えることを考えます。 

紙をパソコンで置き換える場合、その業務そのものをソフトウェアで置き換えるのがひとつの方法です。例えば紙の用紙上で数字を集計する業務があったとしたら、それをエクセルや会計ソフトで置き換える、といったやり方です。

紙を使った業務では、稟議プロセスのようにその紙を回覧する(次の人に回す)ということが付随していることがありますから、 そういったワークフローもメールやチャットを使ったプロセスに置き換え、またはソフトに付随しているワークフロー機能によって置き換えます。 

ただ紙を電子化した場合、その電子化されたファイルを複数人で共有し共同編集したりすることができるというメリットがあります。これによってこれまでのようなワークフロー自体が不要となるばかりでなく、最新の情報をチームで共有することができるようになります。

もうひとつの方法としては「紙だけをPDFファイル化する」という方法があります。これはこれまでの慣れ親しんだ用紙・紙面はそのまま使い、印刷してプリンターに打ち出すことに代えて、パソコン上のPDFファイルとして扱うということです。

「えっ?そんなこと可能なの?」と思われる方もいるかもしれません。紙であればペンで何かを書き込んだり、まとめてホチキスで止めたり、必要なページだけ抜き出したりすることができます。実は PDFファイルにしたとしてもこれらのことができます。

 PDFファイルに直接文字を書き込んだり、複数の PDF ファイルを一つにまとめてあり、必要なページだけ抜き出したり、といったことは、以下のいきなりPDFさよなら手書きのような安価な市販ソフトウェアで簡単にすることができます。 私もこれらを愛用しています。



紙をタブレットで置き換える

製造現場や店舗などで動き回りつつ用紙に記入したりする仕事があります。先日私の方で対応したコンサルティング案件もこちらのタイプでした。製造品の品質をチェックして用紙に記入するといった仕事です。

このタイプの場合は、パソコンに直接データ入力するというのが難しいことが多いです。現場のその場で記入する必要があり、わざわざデスクまで戻って入力というわけにはいかないからです。

この場合毎日用紙を準備して、作業後に記入したものを回収し整理する、という流れになり、非常に効率が悪いです。用紙を配布回収するだけの役割の人もいたりして、人の使い方の面でも問題があります。 用紙が汚れたり紛失したりといったリスクや、過去データの検索がやりにくい問題もあります。

この問題に対するソリューションとして、タブレット上にエクセルの用紙フォーマットを用意し、そこに直接記入してもらうようにしました。記入された用紙はクラウド上のサーバーに即時保存され、管理者がモニターできるようにしました。

また記入された情報は毎日自動集計され、品質管理のトレーサビリティ目的で使われたり、その他の管理目的で活用できるようにしました。単に作業の効率が上がっただけでなく、人員配置の見直しや、経営のスピードアップなど多くのプラスの効果を出すことができました。

 今回のソリューション構築は MicrosoftのOneDrive(クラウドドライブ)を活用することで低コストで実現することができ、紙をタブレットで置き換えることができました。このノウハウの詳細は「オンラインセミナー」にてお伝えしています。





最終的には心の壁をどうするかの問題

業務ペーパーレス化はメリットは分かっていてもなかなかできないものです。その理由は単純に「変化を嫌がっているから」ということが多いようです。

大抵の人は変化を嫌い現状維持を好みます。私のような一部の変人だけが変化を先取りしていくということになります。従ってたとえメリットが頭で分かっていたとしても、今までの慣れ親しんだやり方から離れたくないということになります。

この心の壁をどうやって乗り越えるか?が勝負になります。

私が経験した案件でも様々な技術的または非技術的問題に出くわし、乗り越える必要がありました。非技術的問題は「タブレットはなんとなく使いにくい」「ペンで書いた方が速い」「前のやり方の方が良かった」といったものです。 

この場合大切なことは二つあります。ひとつはこういった声に一つ一つ対応して無視しないことです。特に技術的に解決できる可能性があれば、徹底してそれを追求します。今回もそのために仕様変更したり、追加の投資をお願いしたりといったことがありました。

あともう一つはマネジメントからのコミットメントです。社長や上長から変化の必要性について繰り返しコミュニケーションしていただき、心の壁を取り除いていただく努力をしていただきました。 運用が安定化し業務内容が固定化するまではしばらく時間がかかるものですが、やがて落ち着き効果を発揮すればみんな納得することでしょう。 

以上、紙をなくす!!業務ペーパーレス化する方法、という話題でした。紙が無くなってみるといかに「紙=悪」だったかが分かります。日本の事務作業は世界でもダントツに生産性が低いと言われ、そのなかでも中小企業はさらに生産性が低いと言われています。このような底辺の底辺にいる原因のひとつが「紙」であることは間違いありません。

ペーパーレス化は取り組めば成功しますので、是非挑戦してみて頂ければと思います。ご相談お問い合わせは以下より受け付けております。






★★★ 人気記事 ★★★