【キャッシュレス】国のJPQR普及事業がたぶんコケると考える理由【ではどうすれば良いのか?】



この記事は「JPQRって何ですか?どうしてこの事業が必要なのでしょうか?今やるべきことは何ですか?」といった疑問に答えます。



キャッシュレス還元事業が終了

6月末をもって国の「キャッシュレス消費者還元事業」が終了することが正式に発表されました。2019年10月の消費増税に伴ってスタートした5%(コンビニなどは2%)還元のメリットもとうとう終わりです。

このコロナ不況の状況を考えると、もう少し延長してほしいという気がするのですが、予定通り終了ということで仕方ありません。

ただその代わりに新しい事業として「マイナポイント事業」というものが始まります。マイナポイント事業についてはこちらの記事にて紹介しています。



JPQR普及事業

マイナポイント事業と並行して行われるものにJPQRという事業があります。JPQRとは決済用統一QRコード・バーコードのことで、これまで各社バラバラだったQRコードを一本化しようというものです。

JPQR普及事業
https://jpqr-start.jp/

例えばこれまでは PayPayにはPayPayのQRコードがあり、LINE Pay には LINE Pay のQR コードがありました。このためお店によっては複数のQRコードを印刷したカードがレジ前に所狭しと並ぶと言う状況でした。

これでは店舗側の負担が大きすぎるし消費者も混乱する、ということで一つのQRコードでどの決済事業者にも対応できるようにしようと言う意図があります。





JPQRの問題点

これだけを聞くと便利な感じがしますが、実際には少し問題があるものになっています。

どこが問題かというと、 QR コードが統一されてしまうと、店舗にとっては複数のキャッシュレス事業者と契約しやすいメリットがあるのですが、キャッシュレス事業者にとっては手数料の多いか少ないかだけで店舗に選ばれてしまう、という点です。

このため国はキャッシュレス事業者に対して手数料の公開を義務付けました。それが以下のようなものです。

JPRQ 決済手数料
JPQR 決済手数料

(出典:JPQR普及事業公式サイト)

 お店側店舗側は当然に手数料が低い決済事業者を選択して契約します。 この競争は適正なものですが、キャッシュレス事業者にとっては経営を圧迫するものです。

キャッシュレス事業者は決済手数料を原資として銀行に対する入金手数料や消費者へのポイント還元を行っています。キャッシュレス事業者の手数料収入が少なくなることで私たち消費者へのポイント還元も少なくなることが予想されます。

以前あった「100億円あげちゃうキャンペーン」のような大盤振る舞いはもう期待することができないでしょう。ただでさえキャッシュレス事業者は経営が苦しい状況でしたから、今回のJPQR導入で場合によっては淘汰されてしまう事業者が出てくると予想しています。





ルーズ・ルーズ戦略

よく戦略は win-win を作るように考えましょうと言いますが、今回のJPQR事業はどうやらlose-loseのだれも得しない様相を呈しています。キャッシュレス事業者は利益の圧迫で潰れてしまうかもしれませんし、消費者はポイント還元のメリットが少なくなります。

店舗についても上の表にあるとおり、キャッシュレスの決済手数料は低くても2%前後になっており、特に商店街のような小規模店舗にとってはこれでもまだ高いと言えます。つまり手数料が高くて導入するメリットがないということになります。

個人的な予想ですが、上限が5000円となっているマイナポイント事業にしろ、このJPQR事業にしろあまりうまくいかないのではないか?と想像しています。



日本にキャッシュレスを浸透させるには

では、日本でキャッシュレスを浸透させるために結局何をすればよいのか?と言うと、次のように考えています。

まず諸悪の根源はキャッシュレス事業者が銀行に払う手数料です。この負担が大きいためにキャッシュレス事業者が店舗からとる決済手数料を下げることができません。

この問題を解消するには、銀行が手数料に依存したビジネスを行っていることを正す必要があるあります。銀行は本来優良な融資先にお金を貸してその利息収入で食べていくべきなのですが、現在はそれが思うように行かず手数料に依存したビジネスモデルになっています。

これを改めて、キャッシュレス事業者が銀行に支払う手数料が安くなれば、店舗に対する決済手数料が下がり、小規模な事業者もキャッシュレスを導入しやすい状況ができます。こうしてキャッシュレスの利用が増えれば、キャッシュレス事業者も適正な利益を入れるようになり、それが消費者へのポイント還元へとつながってきます。

理想論かもしれませんが、こういった好循環を作らない限り、日本でキャッシュレスの浸透はないでしょう。ただ現在はコロナの影響で現金を媒介したウイルス感染の心配があるため、そういった意味でキャッシュレスの利用が進む可能性はあります。まあ、国の意図とは違いますけど。





以上、国のJPQR普及事業がたぶんコケると考える理由、という話題でした。いろいろ問題はありますが、キャッシュレス化は大きな流れとしては避けることができないものです。事業経営者としては、下記の記事など参考になるべく早めに安く導入しておくに越したことはありません。

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