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作家や漫画家なら事業税が非課税に
以前こちらのブログで漫画家さんや作家さんの確定申告の際に事業税が免税にできますよ、という記事を書いたのですが、これが好評でした。今回は、漫画家さんの会計記帳について説明します。
開業届と青色申告承認申請書を出そう
漫画家としてスタートしたのであれば、立派な個人事業主ですので、税務署に開業届を出して、開業しましたと伝えます。その際に、「青色申告承認申請書」も一緒に出して、青色事業者となりましょう。
開業から2ヶ月以内に申請する必要がありますが、一緒に出して忘れないようにします。青色申告をすれば、特別控除として電子申告なら65万円、書面申告なら55万円(要件を満たさなければ10万円)を所得から控除する特典が使えます。他にも青色申告のメリットは大きいので、青色事業者をお勧めします。
すでに漫画家としてスタートしていて数年経っているような場合でも、改めて開業届と青色申告承認申請書を出せば大丈夫です。
申告が必要な事業規模
アルバイトしながら漫画家をやっていますというような場合、漫画家の収入が事業所得に該当するのか、というと少し微妙な問題があります。給与所得や退職所得以外の所得が20万円以下であれば確定申告の必要はありません。
ですが、たとえ20万円以下であっても一方で漫画家としての経費がいろいろ発生しているはずです。1年間一生懸命漫画家として活動したけれども収入はゼロでした、という可能性だってあります。
このような場合、事業所得として赤字の申告をしてアルバイトの給与所得にかかる所得税から還付を受けるということができます。
ただ、収入が20万円以下ですと、税務署が事業所得ではなく雑所得と見て、給与所得との損益通算を認めない可能性もあります。事業所得ならその赤字を給与所得と通算できるのですが、雑所得では通算できないのです。
では、どうしたら事業所得と認めてもられるのかというと、一般には次のような条件が必要と言われています。
・一定規模の収入が継続して得られること
・相応の労力を要すること
・人や設備を投入していること
・職業として認知されていること
・生活の糧となっていること
これらの条件に合致していると税務署に言えるならば、事業所得と認められるはずです。心配であれば、事前に税務署に電話して聞いてみるという方法もあります。
会計帳簿をつけよう
漫画家で事業所得として青色申告するのであれば、特別控除最大65万円が適用できます。所得から65万円引かれるので、大きな節税になります。その要件のひとつは「正規の簿記の原則」というルールに従った会計帳簿の記帳です。簿記など普通の方にはなじみがありませんし、最初は難しく感じるかもしれませんが、慣れてしまえば簡単です。
簿記というのは簡単にいえば、取引を仕訳というやり方で記録していくということです。仕訳は通常、「日付」「借方勘定科目」「貸方勘定科目」「金額」「摘要」でワンセットです。例えば、2018年5月10日にソフトバンクのスマホ代7,000円を現金で払ったなら、次のようになります。
2018/5/10 通信費 現金 7,000 ソフトバンク電話代
この仕訳を取引ごとに記録していくだけです。最近では「やよいの青色申告オンライン 」や「freee 」のようなクラウド会計を使って記録している方が多くなっています。
青色申告をしないなら、無料のままで使える「やよいの白色申告オンライン 」をつかって帳簿を作るという手もあります。具体的な手順はこちらをご参照ください。。
もしまだ小規模で仕訳数も少ないし、ややこしいツールは使いたなくない、という場合にはExcelに書いていけば十分です。
その場合にテンプレートが必要であれば、私が作った無料の「シンプル経理ツール」をダウンロードしてお使いください。私ももちらのツールで自分の記帳をしています。
勘定科目は何を使うか?
仕訳は勘定科目を何にするのか?が分かりにくいのですが、大抵のものはググれば出てきます。参考まで、以下に漫画家さんにとってありがちな勘定科目の例を示します。
仕事で使う細かいものを買ったとき・・・「消耗品費」
パソコンなどちょっと値が張るものを買ったとき・・・10万円未満なら「消耗品費」、それ以上は「備品」としておいて決算整理で「減価償却費」として一部を経費にします。ただし、青色申告かつ30万円未満なら特例により全額を一括で「減価償却費」として処理できます。
家賃を払ったとき・・・「家賃」
電気代を払った時・・・「水道光熱費」
原稿料や印税が入ったとき・・・発生したときに「売上」(入金時ではない)
臨時収入が入ったとき・・・発生したときに「雑収入」
バイトの給料が入ったとき・・・漫画家としての事業収入ではないので仕訳しない
決算について
暦年の1年が終わって年が明けたら「決算」を行います。通常2月16日(年によって変わります)から所得税の確定申告が始まりますので、それまでに余裕をもってやっておきましょう。具体的には下記のようなことです。
自宅で漫画家の仕事をしている場合、費用のうち、漫画家としての部分しか経費にできません。そこで家事割合というのを決めて、一定の割合だけ経費として、残りは「事業主貸」という勘定に振替えます。
家事割合(または家事按分)の決め方は様々ですが、税務署からみて不自然でないようにする必要があります。「事業主貸」(場合により「事業主借」)は「元入金(もといれきん)」と相殺して最後は0円にします。
30万円以上の備品などを買って事業で使っている場合は、その全額をいっぺんに経費にはできません。数年に分けて経費化していきますが、これを減価償却といいます。決算ではいくらを今年の経費にするのか計算して「減価償却費」に振替えます。
確定申告は自分でもできる
以上の会計記帳が終わっていれば、確定申告は自分でできます。国税庁ホームページの「確定申告書作成コーナー」から申告書を作成して 電子申告する か、印刷して税務署へ持参(郵送)する方法もあります。
電子申告して電子納税(クレジットカード納付や振替納付など)すれば、税務署や銀行へ出向いたり長蛇の列に並ぶ必要もありません。是非お試しいただければと思います。
以上、漫画家さんの会計記帳にまつわる話題をまとめてみました。普段の記帳や決算も慣れればほとんど同じ作業の繰り返しですが、面倒な作業には違いありません。
多少の費用がかかりますが、税理士に丸投げしてしまう、というのも手です。
また、ご自身で勉強されるなら、下記の書籍もよく読まれています。
もしくは私にご依頼頂く
税理士をお探しであれば、私の方にご依頼頂くこともご検討ください。漫画家さん作家さんならお安く対応します(漫画や本が好きなので)。
年商1千万円未満で顧問料は月額11,000円(税込)です。訪問(またはZoomミーティング)は年に1-2回で、それ以外はメールかLINEでの問い合わせやりとりを想定しています。毎月試算表をお届けし、決算と確定申告書の作成まで行います。決算申告料は無料で対応します。記帳代行もご依頼される場合は別途月額5,500円( 税込 )です。
ご興味がありましたら以下のフォームよりお問い合わせください。あまりたくさんは対応できないので、満席の場合はご容赦ください。
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