【Withコロナ】PDCAよりもOODAの時代かも 【話題のOODAを簡単に説明します】



この記事は「OODAループとは何ですか?PDCAサイクルと何が違うのですか?」といった疑問に答えます。



前提の立てにくい時代

今年2020年に期せずして始まった「コロナ禍」。このため業界を問わず全てのビジネスで何らかの戦略見直しを余儀なくされています。

以下は帝国データバンクが8月3日付で発表したデータですが、日本国内の倒産件数は400件を超えて、おそらくはこれから給付金等の効果切れでさらに増えるのではないか?と言われています。

コロナ禍で倒産

(出典:帝国データバンク)

リーマンショックの時でさえ景気の底まで1年以上かかったので、コロナ終息の目途も全く立たない状況を考えると、今回の景気の底はまだまだ先と考えられます。

そうなると、景気が悪くなること以外、誰にも「確たる未来は分からない」ということになり、不確実性だけが増すことになります。

こういった中で、既存の戦略や中期計画をキャンセルしたり、戦略立案プロセスそのものを見直す動きが出ています。当然といえば当然の流れです。





OODAとは何か?

そんな中、戦略立案の新しいフレームワークとして話題なのが、「OODA(ウーダ)ループ」です。OODAとはObserve(観察)、Orient(状況判断、方向づけ)、 Decide(意思決定)、Act(行動)の頭文字をとったものです。

OODAループは元々米軍が戦闘の最前線での戦略決定のために考えだしたもので、湾岸戦争当時に大いに機能したものです。こういった考え方自体はずっと昔からあるものですが、実戦の中で概念としてフレームワーク化し、軍という組織に落とし込んで全体で活用したということになります。

OODAループについては、私はこちらの書籍「OODA LOOP(ウーダループ)を読んで勉強しました。

この本は翻訳本なので少し読みずらい面があります。日本人が書いたものではOODAループ思考[入門] 日本人のための世界最速思考マニュアルが良いでしょう。



PDCAと何が違うのか?

OODAループとよく似たものにPDCAサイクルがあります。Plan(計画)、Do(実行)、Check(確認)、Act(行動)です。こちらは多くの人に馴染み深いですし、実際に利用されていると思います。

私も自分の日々の時間の使い方について毎日PDCAサイクルを回しており、そのおかげで生産性を改善できています。そのやり方は以下の記事に書きました。

この毎日PDCAをもう4年間くらいぐるぐる回しており、当初の目標だった「半分の時間で倍のアウトプットを出す」が実現しつつあります。我ながら4年前の時間の使い方を見ると「アホか」と思うほど、今では改善が進んでいます。コツコツ積み上げの力はすごいものです。

このようにPDCAもパワフルなツールですが、PDCAというのは一定のビジョン(こうありたいという具体的な姿)があって、そこに向かってぐるぐる回転していくものです。私の場合なら「半分の時間で倍のアウトプットを出したい」というビジョンに向かって回してきたということになります。

ですが、現在のような「先の見えない時代」ではビジョンそのものが描きにくい、ということが問題です。これから先、来年・再来年の今頃どうなっているのか?全く見えないのに、どこに向かってPDCAサイクルを回していけば良いのでしょうか?





OODAループの何が凄いのか?

私の場合のように自分自身の中にビジョンを求めて、PDCAサイクルを回すというのも一手ですが、通常のビジネスでれば「環境」により左右される面が多いので、コロナ禍で訪れた不確実時代には適さないと言えます。

そこでOODAループが登場します。

OODAでは置かれた環境(状況)をまずよく観察(Observe)して、自分が目にした環境下では次にどうしたらよいのか?を方向づけ(Orient)します。方向性が決まったら、次の一歩を決め(Decide)て、実際に行動を起こします(Act)

そして行動の結果、環境(状況)がどうなったかまた観察して・・・という具合にぐるぐる回転していきます。

このように現場での実践に即した行動指針を得ることが出来る点がOODAループの凄い点です。悪い言い方をすれば「行き当たりばったり」ですが、不確実時代にはそういう適用力が求められているということです。



OODAループ実際の活用例

OODAループが力を発揮するのは、「不確実な環境下」で「相手がいる場合」です。戦闘では「敵」がいる場合、ビジネスでは「競合」がいる場合です。

何がどうなるか分からない状況で相手の出方を伺いつつ(Observe)、方向性を決めて(Orient)、実施項目を優先順位付けし(Decide)、行動にうつす(Act)といったゲームです。現実的にどんな場合があるかというと、次のようなものでしょうか。

(1)GOTOトラベルの顧客獲得競争

記事執筆時点では国の事業GOTOトラベルを巡って、旅行各社が顧客競争を始めています。この競争では事業自体がどうなるか分からないという「不確実性」のもと、「国」や「競合」「顧客」「世論」といったものを相手として闘う必要があります。旅行社はビジョンなんて描いている暇はなく、OODAループを回して事態即応で行くことが求められています。

(2)婚活

急に卑近な例でアレですが、婚活もPDCAが全く効かないものの代表例だと思います。私個人の経験で恐縮ですが、婚活もこの先どうなるか分からないという「不確実性」のもとで、「相手」の出方を伺いつつ結婚というゴールまで行くものと感じています。将来のビジョンなんて自分が勝手に考えた絵に描いた餅ですし、その場その場で即応していくことが勝利の秘訣となります。その意味ではやはりOODAループです。





以上、PDCAよりもOODAの時代かも 、という話題でした。今の時代ほど「これからどうなるか分からない」ということは無かったかもしれません。少なくとも自分の短い人生経験の中では初めての出来事です。PDCAに加えて、OODAも意識の中に持つことで、より柔軟に世の中を渡っていけそうな気がします。

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