【Airbnb】180日ルールの民泊新法で民泊の利益はどうなるのか?シミュレーションしてみた

民泊

外国人観光客の急増と2020年の東京オリンピックを控えて、「ホテルが足りない!」という事態に陥っているようです。中途半端な高級ホテルの建設ラッシュは続いているようで、それは良いのかもしれませんが、本当の富裕層が泊まる「超高級ホテル」とビジネスホテルのような「中低価格ホテル」が全く足りません、という状況です。

そういった中、「中低価格ホテル」のニーズに対してAirbnbのような民泊仲介業者が急成長しており、国としても煽られる形で法整備を打ち出してきました。



民泊新法のポイント

2018年6月にスタートした「民泊新法」。従来グレーゾーンとされていた民泊事業の法制度を整えたものです。まずは、こちらのポイントを整理します。

  • 事業者を住宅宿泊事業者(民泊を運営したい人)、住宅宿泊管理業者(部屋の掃除や管理を代行する人)、住宅宿泊仲介業者(Airbnbのような仲介ビジネス)、の3つに区分
  • 住宅宿泊事業者は届出制。届出先は条例等独自ルールの有無によって都道府県の場合もあるし、区市町村の場合もあります。詳しくは下記サイトよりご参照ください。http://www.mlit.go.jp/kankocho/minpaku/municipality.html
  • 管理委託の義務化。不在型(自分が住んでいない物件)で民泊を運営した場合、必ず住宅宿泊管理業者を選んで管理を委託しなければならない、ことになりました。
  • 180日ルール。住宅宿泊事業者が民泊を運営する場合、年間180日(泊)を越えてはならない、ことになりました。

増える民泊事業者

観光庁のデータでは住宅宿泊事業者の届出数は半年あまりで全国で1万件を越えており(2018年10月時点)、届出先別では大阪市と札幌市が1000件を越えて最も多く、次いで新宿区と沖縄県、福岡県がそれぞれ500件越え、その他では渋谷区、豊島区などが多くなっています。いかにも外国人観光客が多そうな街ですね(札幌はすこし意外でしたが)。

増えてきている、と言って良い状況ですが、問題は民泊がビジネスとして成立するのか?儲かるのか?という点です。シミュレーションして確認してみましょう。

民泊シミュレーション

まず場所ですが、自分にとって縁もゆかりもある「鹿児島市」の想定にします。観光地だけあって住宅宿泊事業者の届出数も九州では福岡県に次いで多くなっています。この鹿児島市で賃貸アパートを1室借りて、民泊で運用したら儲けが出るかどうか?を見てみます。

収益については、一泊あたりの平均的な民泊料金から算出します。Airbnbのサイトで検索しますと、4人まで泊まれるアパート民泊は清掃料金込みで一泊3000円から5000円といったところです。値段は立地や付加価値次第でしょうが、ひとまず3000円で計算します。180日ルールがあるため、1月あたりの運用日数の上限は15日です。これが100%稼働したとして、月あたりの収益は、45000円となります。

3000円 x 15日 = 45000円

費用については、大きく4つの項目の合計となります。賃貸アパートの賃料、管理業者への手数料、仲介業者への手数料、光熱費・消耗品費、の4つです。

家賃は鹿児島市中心地の2DKなどで40000円くらい、ワンルームであれば30000円くらい、から部屋がありそうです。ただし実際にはオーナーが民泊運営を許可した場合のみこれらの賃貸の部屋を使うことができます。

また、管理業者への手数料は収益の10%から20%が相場のようですので、20%で見積ります。仲介業者への手数料はAirbnbであれば3%で一律です。光熱費・消耗品費は収益の5%程度で見積ります。この結果、収支は次のとおりとなります。

シミュレーション1

この例では損失が出てしまいます。すなわち儲けがでません。

儲けを出すには?

それでは儲けを出すにはどのような方策があるかというと、収益は競合との関係で45000円が最大値でしょうから、(1)部屋をワンルームなど賃料30000円程度のものへ変更して固定費を下げる、(2)空いている部屋を別の目的で使う、(3)規模を大きくする、があるでしょう。

少人数客のニーズを満たす

民泊の場合、料金設定は1人あたりではなく1室あたりの価格になっています。従って、宿泊する方(お客様)としてはなるべく大人数で1室借りたほうがお得になることから、4人まで泊まれるようにベッドがギュウギュウに入っている場合があります。

これは1人などのビジネス客や2人程度の旅行者にとってはかえって邪魔なものです。宿泊可能人数を2人までとして部屋をスッキリさせることで、このような少人数客のニーズを満たす可能性があります。その意味では部屋はワンルームなど賃料30000円程度のもので運用可能です。その結果、収支は次の通りとなります。

シミュレーション2

これで利益が出るようになります。しかり利益といっても月々わずか2400円。ゲストや管理業者とのやりとりなど手間を考えるとペイしているとは言えません。

空いている部屋を別の目的で使う

そこでもう一つの考え方は、180日ルールで稼働できない日が毎月15日あるのであれば、その間別の目的に利用したらどうか?ということになります。

自分の例で言いますと、これまで鹿児島市への出張でホテルに泊まっていたものを、自分の民泊施設に泊まるようにすれば、ホテル代が浮きますので、その分がそのままコストセーブできます。1年に5泊の出張4回とすると、おおよそ7000円 x 5泊 x 4回 = 140000円のセーブです。パソコン1台買えるくらいになりますね。

他にも空室の活用方法があるでしょう。ただし、何に使うにせよオーナーの許可を受ける必要があります。

規模を大きくする

上記の例のように部屋の規模が小さければ、利益が出たとしてもごくわずかになります。ある程度の利益を確保するためには、規模を大きくして、かつ設備を改善し、利便性を上げて、付加価値をつけることで単価を高くすることです。

例えば、10万円の部屋(3LDKマンション)を借りて、家族で泊まれるようにして一泊2万円で貸す場合、その収支は次のようになります。

シミュレーション3

このくらいになりますと、ペイしている感じがします。

まとめ

以上見てきました通り、民泊ビジネスは儲かるのか?に対する答えは「やり方による」となります。事前によく調査・シミュレーションして赤字にならないように注意しましょう。

なお、上記の検討は賃貸物件を民泊に出す前提で検討したものですが、不動産物件のオーナーの方で空室・空き家があるなら、民泊ビジネスはかなり良いチャンスでしょう。アパートを一棟で購入して、空室を見越して一定数を民泊で運用する、というミックスしたやり方も可能です。物件の購入なら、こちらがおすすめです。


以上、民泊新法で民泊は儲かるのか?シミュレーションしてみた、という話題でした。

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