【契約書テンプレート】業務委託契約するなら、準委任契約と請負契約の違いについて知っておこう



とある用事があり、「準委任契約」について確認したので、ブログに整理します。今後同様なことを調べている方の参考になれば。

準委任契約とは

準委任契約とは委任契約に準ずるもの、という意味です。民法上「委任契約」は注文人が「法律行為」を依頼する場合に用いられます。例えば、弁護士に弁護を依頼したり、税理士に税務相談したり、といったことは法律で定めのある行為を依頼しているため、委任契約になります。

一方、「準委任契約」は「法律行為」以外の仕事を依頼する場合に用いられます。例えば、医師による患者の診察やシステム開発のために業者にテストを依頼したりする場合です。

また、同じ法律行為以外の仕事の依頼でも、成果物を納品するような場合は「請負契約」となります。





準委任契約と請負契約の違い

この2つは似ていますが、準委任契約は「労働」に対して対価を払い、請負契約は「成果物」に対して対価を払う、という点が最大の違いです。

その他の比較は以下の表にまとめました。

準委任契約請負契約
法律規定民法第656条など民法第632条
趣旨注文人が「法律行為」以外の業務を受任者に依頼し報酬を支払う

「法律行為」なら委任契約
仕事の完成・成果物の納品に対して、注文人が受任者に報酬を支払う
適用例医師による患者の診察
高齢者介護サービス
コンサルティング
コールセンター
システム開発
(上流工程・テスト作業)
税務相談(委任契約)
建築工事
システム開発(制作)
税務書類の作成
対価の対象労働成果物の引き渡し
指揮命令注文人は指揮命令できない注文人は指揮命令できない
完成の義務なしあり
瑕疵担保責任なしあり
善管注意義務ありなし
報酬請求権ありあり
再委託できないできる
作業報告行う行わない
印紙不要(一定の場合必要)必要

業務委託契約の締結といっても、内容が委任契約(または準委任契約)なのか請負契約なのかで権利・義務が異なるので注意が必要となります。



印紙の扱いについて

一般に委任契約であれば、契約書は非課税文書なので契約の取り交わしにおいて「印紙の貼り付けは不要」となります。

ところが、印紙税法基本通達に規定されている例外に該当すると、印紙が必要になるので、注意が必要です。例えば、税理士の顧問契約書は以下のとおり「第2号文書」に該当して、印紙が必要となる場合があります。

(税理士委嘱契約書)税理士委嘱契約書は、委任に関する契約書に該当するから課税文書に当たらないのであるが、税務書類等の作成を目的とし、これに対して一定の金額を支払うことを約した契約書は、第2号文書(請負に関する契約書)に該当するのであるから留意する。

印紙税法基本通達


委任契約と請負契約が混在する場合

業務委託をする場合、委任契約と請負契約が混在することがあります。例えば、システム開発の業務委託では、上流工程やシステムテストは「労働」を対象としたものですが、システム制作そのものは「成果物」を対象としたものです。

このような時は、「業務委託基本契約書」をまず締結して、全体に共通する事項を契約します。その上で、開発のフェーズにより「業務委託個別契約書」を別だしで契約するのが一般的なやり方です。

ただし、小規模な開発であれば、1本の業務委託契約書にまとめてしまい、委託内容により委託契約か請負契約か権利義務を解釈する、という方法もとられます。日本税理士会の業務契約書のひな型を見ると、そのようなアプローチとなっています。



業務委託契約書のテンプレート

ネットを見ると、業務委託契約書のテンプレートは直ぐに検索できます。テンプレート提供サイトもたくさんあります。ただ、少しどうかなと思う(もしくは古い)ものもあり、記事執筆時点でおすすめのテンプレート提供サイトは【KnowHows というサービスです。

無料会員登録だけで弁護士が監修したテンプレートをダウンロードでき(無料会員の場合月1件のみダウンロード可)、弁護士や税理士など専門家に疑問点を質問することができます。

こんな便利なサービスがあったのか、と。契約書の作成でお困りでしたら、見てみて頂ければと思います。



業務委託契約書に盛り込む内容

一般的には、次のような事項を盛り込みます。

  • 業務内容
  • 契約形態(請負契約または委任契約)
  • 業務の遂行方法。手順やルールなど
  • 契約期間
  • 報酬と報酬の支払時期。振込先口座なども
  • 知的財産の帰属。契約の終了まで相手方に使用許諾を与えるなども可
  • 禁止事項
  • 秘密保持
  • 損害賠償請求


税理士の場合の「顧問契約書」

日本税理士会の業務契約書のひな型を見ると、次のような内容となっています。

第1条 委任業務の範囲 ・・・対象とする税目や成果物の定義

第2条 契約期間 ・・・具体的な日付

第3条 報酬の額・・・報酬規定に基づく別紙計算明細書により算定した具体的な金額

第4条 支払時期及び支払方法・・・支払条件、振込先口座など

第5条 特定個人情報等の取扱い・・・「特定個人情報等の外部委託に関する合意書」に準じたいわゆるマイナンバーの扱い

第6条 資料等の提供及び責任・・・通帳や領収書などの資料を預かるのでその扱い

第7条 情報の開示と説明及び免責・・・複数の会計処理方法があるときの扱い

第8条 設備投資などの通知・・・消費税についての扱い。お客様側に事前に通知する義務がある、としている

第9条 反社会的勢力の排除

第 10 条 その他・・・契約変更時の対応について

第 11 条 特記事項・・・2通作成して署名押印のうえ各々1通保有する





以上、業務委託契約の準委任契約と請負契約の違いについて調べてみた、という話題でした。契約書の作成は自分で済ませるよりは、できれば「弁護士」のチェックを受けた方が良いでしょう。

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