【知らないと損】「仮決算による中間申告」という魔法【初心者向け】

中間申告とは何なのか?納付書が送られてきたけど一体何なのか?といった疑問に答えます。



納税資金が足りない!

「納付書は 忘れた頃に やってくる」と言われるように、決算と確定申告が終わってほっとしていると、税務署から中間申告(予定納税)のための納付書が送られてきます。

前回の確定申告で申告した税額をもとに税務署が計算して、納付税額が印字してあります。X月X日の納期限までにお支払いください、とあります。

初めてこれを見た方は驚かれます。「この前納税したばかりなのにまた払うの?」という感じです。

さらに前回の納付税額がたまたま高かった場合には、相当に高額な中間納付税額が書かれており、びっくりしてしまいます。最悪は、納税資金が足りなかったり、資金繰りが厳しくなったりします。

このような場合に「なんとかする方法はないのか?」というと、仮決算による中間申告という方法を使うことができます。





中間申告とは?何が「中間」なのか

中間申告とは、法人税・消費税・所得税といった税目で準備されている、税金の一部を仮に前払いする仕組みです。その意図は、確定申告でいっぺんに高額な税金を払うのは大変でしょうから分割払いにして確定申告で精算しましょう、というものです。

国の側から言うと、租税歳入の平準化というメリットがあります。

たまたま前期の納付税額が高いと、当期の確定申告の結果、中間納付税額に満たない場合があり、その場合は払いすぎた分が帰ってきます(還付と言います)。従って、単なる一部前払いですから損するということはありません

消費税の場合は前期の税額が48万円を超えると当期中に1回の中間納付が必要です。400万円を越えれば3回、4800万円を越えれば11回の中間納付が必要です。

法人税の場合は、前期が赤字で税額ゼロでない限り、原則として当期中に1回の中間納付が必要ですが、中間納付の税額が10万円以下なら中間申告が不要となります。

所得税の場合は、前年の納付税額が15万円以上なら中間納付(予定納税)が必要です。税務署が計算した予定納税金額の3分の1を第1期分として7月1日から7月31日までに、第2期分として11月1日から11月30日までに納めることになります。時期になると上述のとおり印字された納付書が送られてきます。



仮決算とは?何が「仮」なのか

中間納付とは本来前期(前年)の実績をもとに前払いするのですが、前期がたまたま大きな売上や所得があり、税額も大きかったとすると、その影響により中間納付税額も大きくなってしまう問題があります。

もちろん最終的に払いすぎた分は還付されるので、損ではないのですが、いったん大きな金額を納める必要があり、また還付されるまでそのお金を事業に使えないため、事業者にとっては不利益な話となってしまいます。

そこで、まだ決算前ですが当期(今年)のこれまでの実績だけで「仮に」決算して税額を算出してみて、それで中間納付しても良いですよ、ということになっています。

この手続きのことを、消費税なら「仮決算による中間申告」、所得税なら「予定納税額の減額申請」と言います。法人税の場合は普通に「中間申告」ですが、税額が10万円以下なら自動的に申告不要となります。





仮決算による中間申告がお得な理由

特に消費税の場合は赤字でも納税額が発生し、前期にたまたま大きな売上があると、税額が大きくなり、従って当期の中間納付税額も高くなりがちです。つまり、前期から当期にかけて相当まとまったキャッシュを手放すことになります。

もしそのキャッシュを事業に投資したり、株などの金融商品で運用することができれば、それなりのリターンを得る可能性があります。

一方、中間納付した税額が国税から還付されたとしても、その還付加算金(国がつけてくれる利息)の利率は令和元年で年1.6%しか付きません。

1.6%なら銀行に置いておくよりはましですが、投資や運用がこれを上回るなら、「損」したことになります。逆に言うと、仮決算による中間申告によってキャッシュの持ち出しを防ぎビジネスに投下できれば、その分「得」する可能性があります。





仮決算による中間申告は税理士にお願いする

ただ問題となるのは、「仮」とはいえ決算期でもないのに決算を組まないといけない、という点です。この仮決算のための手間や時間・コストがばかになりません。

忙しい本業の傍ら、自分でやるのはしんどいです。

このため、普段から税理士先生がついていれば、比較的(本決算に比べれば)安価な手数料で仮決算による中間申告を丸投げすることができます。

そもそも税理士がついていれば、前期にたまたま高額な納税をした段階で、「翌期は仮決算による中間申告をしましょう」とか「所得税の減額申請を検討しましょう」などと提案してくるはずです。

もしまだ税理士をつけていなかったという方は、税理士ドットコム 税理士紹介ネットワーク といった無料の税理士検索サービスを使って、ご自身に合う先生を紹介してもらうと良いでしょう。

クレジットカード払いなら約1ヶ月の支払い猶予

またもう一つ資金繰りのテクニックとして、中間納付に限らず税金は「クレジットカードで払う」ということがあります。

なぜなら、クレジットカードで決済すると、実際の現金引き落としまで数日~1ヶ月程度の猶予があるからです。本当に資金繰りが苦しいときには助かるものです。

ただし、決済サービス会社への支払手数料が別途かかってしまうので、損か得かよく見極める必要があります。クレジットカード決済についてはこちらの記事も参照ください。

以上、「仮決算による中間申告」という魔法、という話題でした。中間申告は本来納税者のためを思っての制度なのですが、一年中税務署に追われている感じがして、テンションが下がるものです。できれば税理士に丸投げして自分は本業に専念したいものです。

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