小規模な業務チームにおいて改善活動(QC活動・小集団活動)を行いましょう、というのはよくあることです。このとき役に立つ方法が、ブレインストーミングとアフィニティダイアグラムをセットで行うというやり方です。
目次
ブレインストーミングのやり方
ブレインストーミング(Brain Storming)は有名なので、ご存知の方も多いと思いますが、簡単に言えばアイデアの洗い出しを行うことです。設定された問題に対する解決策をアイデアとして出していきます。
通常は付箋(75 cm x 75 cm以上のやや大きいものがお勧め)などの紙に1つのアイデアずつ書いて、ホワイトボードや机の上に出していきます。多様な観点を持った人の意見を出したほうが良いので、通常は複数のメンバーを集めて実施します。3人寄れば文殊の知恵ということです。ワイワイガヤガヤ賑やかにやりましょう。
アイデアを出す際の重要なルールは、決して他人のアイデアを批判しないこと、です。批判は後回しにしてとにかく考えうるアイデアを出し尽くします。これはちょっと言い過ぎかなとか、非現実的かな、とか余計な心配はせずにどんどん出します。自制してはいけません。
もしアイデアが出にくいようであれば、あらかじめアイデアの柱を上げておくと良いです。例えば、「出荷ミスが多い」という問題の解決策を考える場合であれば、「人の問題」「ツールの問題」「業務手順の問題」など、あらかじめ柱となる事柄を決めておくと、その柱に関した解決策を出しやすいです。ただし特定の柱に限定するのではなく、「その他」のような自由な場所も用意しておきます。
ブレインストーミングは比較的短時間に実施できますが、一通りアイデアが出きったなと思ったら、すこし放置するのがお勧めです。1-2日そのまま放置して、後から思いついたこと、よく考えたら出てきたことを追加します。
こうしてブレインストーミンが完成です。多くの場合、それで満足してしまっておしまい、改善策を考えましょうとなるのですが、実は次に説明するアフィニティダイアグラムを続けて実施すると、さらに効果的です。
アフィニティダイアグラムのやり方
アフィニティダイアグラム (Affinty Diagram)は、アイデアを整理するテクニックです。ブレインストーミングではとにかくアイデアを出すことにエネルギーを集中しますので、その結果ホワイトボードや机の上には付箋が乱雑に散らばった状態になります。
これらを似たもの同士でグループ分けしていきます。中には別々のメンバーが出した全く同じアイデアもありますので、そういうものは付箋を重ねてしまい1つにしてしまいます。グループの作り方は、ホワイトボードであれば線で囲んだ領域に付箋を集めます。机であれば、模造紙とか台紙を使って領域を分けて区別します。
似たものが集まったら、各グループに解決策の名前をつけます。「作業手順変更」とか「出荷伝票のレイアウト見直し」とか、そのグループの特徴が一目で分かるようにします。
こうすることで、ブレインストーミングで発散したアイデアが幾つかの解決策グループに集約・整理され、取り扱いしやすく、次のステップに進みやすくなるのです。
解決策の優先順位の付け方
アフィニティダイアグラムで解決策グループが整理できたら、次のステップはどの解決策を実施するのか検討することです。解決策のなかには、非現実的なものもあるでしょうから、そういったものは直近のアクションとしてはふさわしくありません。
まずは、ヒト・カネ・モノの3種のリソースに照らしてどれから着手するのが最も現実的で効果的か考えます。厳密には、それぞれの解決策についてヒト・カネ・モノの必要量と期待される効果を数値化して行いますが、そこまではやっていられないという場合もあります。
そのような場合に手っ取り早く優先順位をつける方法を2つ紹介します。
- トーナメント方式。例えば、解決策がA, B, C, Dの4つあったとして、これらのトーナメントで考えます。つまり、A対Bならどちらの勝ちか?C対Dならどちらの勝ちか?と考えて、BとCが勝ち上がったのであれば次にB対Cならどちらの勝ちか?と考えます。最終的にCが勝ったなら、Cを最優先で実施するということになります。もうちょっと手間をかければ、総当たり戦で決めるという手もあります。
- 100円テスト方式。もし各メンバーが100円を解決策に投資するとしたら、どれにいくらずつ投資するか?で集計していきます。各人が100円ずつもっていますので、5人でやれば総額は500円です。その500円が上記の例ではA, B, C, Dにどのように配分されるか集計して、最も多額を集めた解決策を優先して実施します。
経験上、以上の2つのやり方でも精度高く、優先順位を設定することができます。時は金なりですので、のろのろ検討するよりも早く実施に移したほうが成功の確率が高まります。簡単なやり方ですが、是非お試しください。
私はこういった業務改善のノウハウについて多く経験しています。ご相談などありましたら、下記の問い合わせフォームよりご連絡ください。お役に立てれば幸いです。