【ビジネス英語】Top Down DecisionとConsensus Decision【合意なき決定のほうが普通です】



合意なき決定

先日「東京オリンピックのマラソンと競歩の実施コースが東京から札幌へ変更」というニュースがありました。


東京オリンピック、マラソン・競歩の札幌開催が決定。小池知事「IOCの決定に同意はできないが…」

(出典:HUFFPOST 2019年11月1日)

この決定を決めた後に東京都の小池都知事が言った言葉が「合意なき決定」です。

これを聞いて違和感を感じました。なぜなら「いや、決定に合意は必要ないでしょ」と思うからです。

決定に合意が必要と考えるのは日本に独自の文化(思考様式)です。日本以外の特にビジネスの場では、決定に合意は必要ないと考えます

自分はかれこれ外資系企業で30年働いていますので、この違いが身に染みて理解できています。その一方で今回の件で自治体や陸連など日本側の関係者がどれだけ狼狽しているかも理解できてしまいます。

この記事では、単に言葉としての英語の理解ではなく、文化としての英語の理解について触れてみたいと思います。



Decisionとは

英語で「Decision has been made」(決定を下しました)と言った場合は、周りとの合意が充分でない場合も多いです。Decisionとは意思決定権者が自らの責任で行うもので、別にその他の利害関係者の合意は必ずしも必要ではない、というのが英語の思考様式です

今回の件についてみると、「会場変更の権限はIOCにあること」を双方が思い切り確認していますので、意思決定権者のIOCが決めたらそれで終わり、その他の人は従うのみになります。少なくともIOC側はそのように理解しているはずです。

これがTop down decisionと言われるゆえんです。

なので、コーツ大会調整委員会委員長他のみなさんも何故これほど叩かれるのか理解できないことでしょう。めちゃくちゃ戸惑っていると思います。



日本の意思決定

一方日本の場合はムラ社会の昔から、利害関係者で合意の上決定しましょう、というConsensus decisionが一般的です。というか、これ以外無いと言っても良いでしょう。

Consensus decisionの悪い点は決まるまで調整が大変で時間がかかること、良い点は決まったら迅速で精度の高い履行が期待できること、です。今回は残り時間を考えるとのんびり意見調整していられませんので、Consensus decisionが全否定されてしまった、という訳です。

ただ、日本側の関係者にとっては相当苦痛でしょう。こういうときは、フリッパーズギターの往年の曲ではありませんが、「分かり合えやしないということだけを分かり合うのさ」ということでさっさと前に進むしかありません。

外資系企業で30年働いているとこれに類する理不尽は何度も経験しているので、単なる「あるある」ネタに過ぎないです。



日本以外の人と仕事するならDecisionに慣れること

小池都知事は国際経験も豊富ですので、分かっていてわざと都民向けのアピールとして「合意なき決定」という言葉を選んだのかなと想像しています。都民から来るであろう苦情の嵐に対するバリアーとして。

国際経験があまり無い方や、これから活躍される若い方は、日本以外の人と仕事するならこういったDecisionに慣れることです。慣れてしまえばどうということはなく、決めた人が責任を取る話なので、こちらが気に病むことではありません。

「ああそうですか。はいはい」ということで、次に進むことができるようになります。



英語の勉強は「英語の文化」を学ぶ

この例から分かるように、言語としての英語の勉強も大事なのですが、英語にまとわりついてる「文化」(思考様式)を知っておかないと、失敗してしまうことも多いです。日本語にも「文化」がありますが、英語にも「文化」があります。

ざっくり言えば、世界では日本語文化とそれ以外という感じかもしれません。英語の文化は欧米だけでなく、割とアジアや中国でも似たものがあるようです。

これらが日本語文化と違いますので、自分の経験ではいつもやっかいなのです。



習うより慣れよ

ではこういった言葉にまとわりついている「文化」(思考様式)をどうやったら習得できるか?というと、もうこれは「習うより慣れよ」の世界です。

一番良いのは海外へ出て行って、現場の生活の中で身に着けるのが良いのですが、それでは時間もコストもかかり過ぎで、仕事や留学などよほどのきっかけが無いと難しいものです。

ですが、最近ではパソコンやスマホでできるオンライン英会話でもこういった「習うより慣れよ」式のトレーニングプログラムが出てきています

例えば、こちらの特許認定の英会話習得トレーニングLAT(Language Acquisition Training)の場合、これまでのあっさりしたオンライン英会話と異なり、かなりの量と密度の練習が可能となります。専属のコーチがついて慣れさせるためのトレーニングを行います。


これから日本以外の「文化」(思考様式)をもった人と仕事しなければならない、といった状況であれば、効果的なトレーニングです。7日間の無料体験モニターがありますので、試してみると良いかもです。

以上、Top Down DecisionとConsensus Decisionという話題でした。文化の違いから来る誤解・すれ違いはいつも苦しいです。ですが、知って慣れていれば割と気軽に受け流すことができるものです。