この記事は「コロナ禍で売上激減となっており融資を受けたいのですが、セーフティネット保証とはどんなものですか?」といった疑問に答えます。
目次
セーフティネット保証とは?
セーフティネット保証は国が中小企業を支援するために設置している「保証制度」で、融資を受ける際に保証協会が保証をつけてくれるものです。この保証によって、民間金融機関が事業資金を貸してくれます。
その定義としては、「取引先などの再生手続などの申請や事業活動の制限、災害、取引金融機関の破綻などにより経営の安定に支障を生じている中小企業者であって、一定の要件を満たし、事業所の所在地を管轄する市町村長または特別区長の認定を受けた場合に、一般保証限度額の別枠として同額までの保証を行う制度」となっており、ちょっと分かりにくいですね。
簡単に言えば「民間金融機関による実質無利子(3年間)かつ無担保による融資」ということです。
なぜ支援が必要なのか?の原因によって次の1号から8号までが設定されています。
- 1号:連鎖倒産防止
- 2号:取引先企業のリストラ等の事業活動の制限
- 3号:突発的災害(事故等)
- 4号:突発的災害(自然災害等)
- 5号:業況の悪化している業種(全国的)
- 6号:取引金融機関の破綻
- 7号:金融機関の経営の相当程度の合理化に伴う金融取引の調整
- 8号:金融機関の整理回収機構に対する貸付債権の譲渡
コロナ禍による売上激減で使えるか?
今回のコロナ禍では普通ではあり得ないような売上激減になっている事業者がたくさんいます。この場合、セーフティネット保証4号の「突発的災害(自然災害等) 」または5号の「業況の悪化している業種(全国的) 」が該当して、利用することができます。
持続化給付金と違っていずれは返す融資ですが、それでも当面の運転資金として利用できるものは利用することを考えましょう。
セーフティネット保証4号と5号の違い
4号は「突発的災害(自然災害等) 」が個別に指定されて適用されます。今回のコロナも指定されています。
コロナを原因として、原則として最近1か月間の売上高等が前年同月に比して20%以上減少しており、かつ、その後2か月間を含む3か月間の売上高等が前年同期に比して20%以上減少することが見込まれる場合に条件に該当します。この条件であれば、多くの事業者が該当するでしょう。
一方、5号は「業況の悪化している業種(全国的) 」ということで、特定の業種が指定されています。現在の指定業種は次のものです。
セーフティネット保証5号の指定業種(令和2年5月1日~令和3年1月31日)(PDF形式:172KB)
この業種に該当して売上高が前年同月比5%以上減少等の場合に利用することができます。セーフティネット保証4号と5号は併用できますが、同じ融資枠となります。コロナ問題を原因とするなら、まず4号で申し込むのが定石です。
セーフティネット保証4号でいくら借りられるか?
コロナ融資の場合、セーフティネット保証4号では「月商の3ヶ月分」程度が相場となっているようです。
例えば、月商100万円なら300万円程度の融資を申し込むのが現実的です。これを大きく超える金額ですと審査に通らないことが多くなります。
セーフティネットの言葉の通り、当座の安全措置なのです。
セーフティネット保証4号でどこから借りられるか?
会社の本店がある都道府県の信用保証協会が保証を扱っている指定金融機関から借りることができます。
例えば東京都内の会社が申し込む場合、都内に取引銀行の支店があっても、指定金融機関でなければそもそも扱ってもらえないので、注意が必要です。普段から取引のある金融機関でセーフティネット保証融資を受けられるかどうか、あらかじめ確認しておくようにしましょう。
もし、新規に金融機関を探す必要があるなら、近隣の信用金庫や信用組合といったところがおすすめです。メガバンクより中小企業にフレンドリーだからです。
日本政策金融公庫の融資と何が違うか?
日本政策金融公庫にも「新型コロナウイルス感染症特別貸付」というコロナ問題に特化した融資があります。これとセーフティネット保証4号の違いは記事執筆時点で次のようなものです。
- 民間金融機関の融資か、政府系金融機関の融資かの違い
- 間接(保証協会の保証を得ての融資)か、直接(公庫からの直接の融資)かの違い
- 申込手続きが異なる
- 条件が異なる。公庫の場合は「最近1ヵ月の売上高が前年または前々年同期に比し5%以上減少」
肝心の3年間実質無利子かつ無担保による融資という点は同じです。また、この2つは併用することも可能です(審査において考慮はされます)。
対前年比で5%のマイナスで適用されますので、新型コロナウイルス感染症特別貸付のほうがハードルが低いと言えるでしょう。
融資申し込み手続きの流れは?
セーフティネット保証4号の取り扱い窓口は会社の本店(個人事業主の場合は主たる事業所)がある市町村です。各市町村のホームページに案内が出ていますので、検索してみてください。
これは市町村が発行する「認定書」が必要なためですが、この認定書の申請について多くの市町村では金融機関による「代理申請」を推奨しています。書類不備などによる窓口混雑を緩和するためです。
従って、認定書がまだ無くても、まずは金融機関に相談するのが第1歩となります。この時、いきなり訪問せずに融資担当者にアポをとって、過去3期分の確定申告書と身分証明書を持参して相談に行きます。
相談の結果融資を受けられる見通しとなったら、各市町村が必要としている書類一式を揃えて、金融機関に申込みます。金融機関のほうで市町村から認定書を取得して信用保証協会に申し込み、融資実行となります。
事業者のほうで信用保証協会に申し込む必要はありません。
最終的に必要となる書類は次のようなものです(市町村により異なります)。
- 履歴事項全部証明書 (法人の場合。3ヶ月以内発行)
- 売上高計算書(金融機関または税理士の押印があるもの)
以上、中小企業向け「セーフティネット保証4号」融資を利用する方法、という話題でした。コロナ関連倒産が増えてきており、今後も増加が見込まれています。ワクチンの提供開始など状況が落ち着くまで何とか事業が継続できますように、こういった各種支援制度の活用をご検討頂ければと思います。
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