【読書】「おもてなし幻想」顧客満足と売上に相関性はあるのか?



2019年ベストブック(現時点で)

毎月だいたい15冊から20冊ぐらい本を読んでいます。その中で今年に入って一番面白いと思った本がこちらの「おもてなし幻想」(マシュー・ディクソン他著)です。顧客サービスに関わる仕事をしているなら、読むべき本です



顧客満足と売上に相関性はあるのか?

この本で一番興味深く、目から鱗が落ちたのは、本のタイトルの通り日本で一般に「おもてなし」と言われるような過剰な顧客満足はビジネスの売上と相関性がないということです。

日本に限らないのですが、企業においては伝統的に顧客満足を非常に重視している傾向があります。要するにお客様を満足させれば、そのお客様が再び買ってくれるので、売上を押し上げる効果があると考えられているのです。

いわゆる顧客ロイヤリティ経営というやつです。



実際の経験とのギャップ

ところが実際の経営の現場にいると、顧客満足と売上とがあまり関係ないのではないか?という疑問を持つことが度々あります。

顧客満足アンケートなどをとると、非常に高いスコアになりお客様は大満足ということなのですが、それに見合うだけの売上が上がってこないことがよくあります。

それにも関わらず、利益を目指して、時として顧客満足を損なうような施策を提案すると、大変な反発を食うことがあります。現場のマネージャーは顧客ロイヤリティ経営を盲信しており、顧客満足を損なうようなことは絶対にやりたくないという場合が多いです。

つまり、実際に起きている事実と経営上の施策が上手くマッチしないということがよく起きるのです。



主観ではなく客観的な裏付け

この本「おもてなし幻想」は自分の経験に数値による客観的な裏づけを与えてくれるものでした。過剰な顧客満足と売上に相関関係が必ずしもないという事実をデータを使って示しているからです。

決して著者の主観ではなく、実際の企業の事例(アメリカの例ですが)でデータを使ってリサーチした結果を示しています。このリサーチによると顧客の期待を下回るサービスが顧客の期待に沿うサービスまで改善される過程においては、売上も相関性をもって改善されてきます。

ところが、期待に沿うサービスから期待を超え過剰な顧客満足になる過程においては、売上の改善はさほど見られなくなります。つまり過剰な顧客満足は売上の改善に貢献しないということです。



ほどほどの顧客満足で良い

この事実は顧客ロイヤリティ経営を盲信しているマネージャーにとっては衝撃的なはずです。今まで信じてきたことがガタガタと音を立てて崩れていく感じでしょう。

私にとっては「やっぱりか」という感想しかありません。

今後は盲信マネージャーとの戦いにおいて、こちらの本を参照して数値的客観的な事実として顧客満足の過剰品質(すなわち過剰コスト)を取り除くことを勧めていきたいと考えています。

ほどほどの顧客満足が、費用と売上のバランスにおいて一番理にかなっているという結論になります

以上、「おもてなし幻想」顧客満足と売上に相関性あるのか?、という話題でした。もし皆さんの現場において顧客満足(コスト)と売上とのバランス悩んだ場合には、是非一度本書を読んでみることをお勧めします。

━━…━━…━━…━━…━━…━━
サンクプランズ・コンサルティング
━━…━━…━━…━━…━━…━━
個人・中小事業者のお客様を対象に会計サービス、コンサルティング、デジタルコンテンツ販売、セミナーなどを行っています。
詳しいプロフィールを見る
会計サービスについて
コンサルティングについて
デジタルコンテンツ販売について
セミナーについて
お問合わせはこちら