【消費税】課税・非課税・不課税・免税はどう違うのか



消費税には通常の課税取引のほかに「非課税」、「不課税」、「免税」という3つの取引区分があります。いずれも消費税がかからない、という点では同じなのですが、何が違うのかなかなか分かりにくです。どんな取引がどの区分なのか、なぜこんな区分があるのかについて説明します。



非課税

消費税は、国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡や貸付け、役務の提供が課税の対象とされます。ところが、これらの取引であっても消費に負担を求める税としての性格から課税の対象としてなじまないものや社会政策的配慮から、課税しない非課税取引が定められています。要するに、本当は課税取引なのですが、内容的に課税しない方が良いと考えられるもので、法律上17項目の限定列挙という形で定められています。

代表的な非課税となる取引は以下のようなものです。

(1)土地の譲渡。土地を売っても消費税はかからないことになっています。土地は消費されないからです。

(2)土地の貸付。地主が受け取る地代も消費税がかかりません。やはり土地は消費されないからです。ただし、1ヶ月未満の臨時的な貸付は課税となります。また、駐車場などの施設の貸付も課税となります。微妙なのですが、ただの空き地を貸して自動車置き場になっているだけの場合は駐車場施設の貸付とは違うので非課税です。

(3)住宅の貸付。家賃には消費税がかかりません。持ち家が無い人は賃貸住宅に住まないと生活できないため、消費税を課すのが不適切だからです。ただし、1ヶ月未満の臨時的な貸付は課税となります。

(4)預貯金の利子。利子をもらっても消費税はかかりません。利子は区分上は「役務の提供」に該当するのですが、お金を預けて時間が経過しただけで、特に役務を提供した訳ではないからです。

(5)医療。病院で払う保険医療費には消費税はかかりません。生きていくために必要だから消費税を課さないことになったものです。保険外の医療には消費税がかかります。生きていくために必要なものとは限らない場合があるからです。

(6)役所の手数料。国が消費税を貸して国に納めても、行って来いの関係になって意味がないからです。手間を省くために非課税とされました。

(7)学校の授業料や教科書代。子供や学生が勉強するのをサポートするためです。そこまで課税することないということです。ただし学校教育法に定める学校や教科用図書の販売に限ります。予備校の授業料や書店で買う参考書は課税されますね。

その他の非課税となる取引は下記をご参照ください。

非課税となる取引(国税庁ホームページ)
https://www.nta.go.jp/m/taxanswer/6201.htm





不課税

消費税は、国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡や貸付け、役務の提供が課税の対象とされますが、課税の対象に該当しないものは消費税が課されない(不課税)こととなります。非課税との違いは、非課税は課税の対象に該当しているものの、あえて課税しないこととしたものである点が違います。

典型的な不課税の例は次のとおりです。

(1)給料。従業員の労働の対価であって、事業として得た対価ではないからです。フリーランスになって業務委託などで企業から得た報酬は事業として得た対価なので消費税がかかります。

(2)保険金。保険会社から保険金の支払を受けても資産の譲渡や貸付け、役務の提供の対価として受けたものとは考えられないからです。よく勘違いしやすいですが、医療費は非課税、保険金は不課税です。

(3)配当金。株主の立場で配当金をもらっても資産の譲渡や貸付け、役務の提供の対価として受けたものとは考えられないからです。間違えやすいですが、投資信託の利息は非課税、株式の配当金は不課税です。

その他の不課税となる取引は下記をご参照ください。

課税の対象とならないもの(不課税)の具体例(国税庁ホームページ)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6157.htm





免税

免税取引は課税の対象に該当しているのですが、事情により税率を0%とする取引です。事情とは何かというと消費者が外国人である場合です。消費税というのは最終的に消費する人が税を負担するので、消費者が外国人であれば日本の税金を負担させるのはおかしい、という話です。だから税率は0%で良いですということになっています。

ただし、なんでもかんでも税率を0%とするとなると、お店のほうが大変になってしまいますし不正が横行しそうなので、あらかじめ承認を受けた「免税店」で5,000円以上のお買い物をした場合、に限定されています。外国人のほうも必ず外国に持ち帰って消費しますという誓約書を出したり、それなりに面倒です。

当然ながら日本から外国へ輸出して販売するような場合も、消費者が外国人ですから、輸出免税として税率が0%となります。また、外国に行く場合の飛行機代やツアー代金は国内で消費したのかどうか微妙ですが、これについては国内において行う資産の譲渡等に該当しないとして不課税となります(国内の旅行や空港使用料などは課税です)。

その他の免税となる取引は下記をご参照ください。

輸出免税等の範囲(国税庁ホームページ)
https://www.nta.go.jp/law/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/shohi/07/02.htm





なぜ取引を区分するのか

消費税の仕組みを簡単に言うと、お客様から預かった消費税から仕入先に払った消費税を差し引いて差額を国に納めるというものです。ここで仕入先に払った消費税が重要で、これが多いほど納める税額が少なくなりますので、なんとか仕入先に払った消費税は全額控除したいのです。

ところが、ルール上必ずしも全額控除できないようになっています。非課税の売上が多い事業の場合、預かった消費税が少ないため支払った消費税を全額控除させるのはバランスが悪いということになり、一部分だけ控除して良いという決まりになっています。

この非課税の売上が多いかどうかを見る指標を「課税売上割合」といって、(課税売上+免税売上)➗(課税売上+免税売上+非課税売上)の割合で判断します。これが95%以上なら「全額控除」OKという訳です。

この課税売上割合を計算する必要から、課税・非課税・免税・不課税の4つを区分して集計する必要があるのです。

課税売上割合の計算(国税庁ホームページ)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/shou305.htm

以上、課税・非課税・不課税・免税はどう違うのか、という話題でした。消費税の扱いは専門家でないと難しい面があります。もし、消費税の課税事業者に該当する場合には、税理士に対応を依頼されることをお勧めします。

★ ★ ★ 人気記事 ★ ★ ★