相続対策としての生命保険の活用を考える

相続対策として生命保険というのはとても有効なツールです。今回は生命保険をどのように使えば有効なのか、そしてどのような点に注意しなければいけないのかをまとめてみたいと思います。

 

死亡保険金の非課税枠を使う

例えば1000万円の現金を父から子へ移転させるときにどのような方法が考えられるでしょうか。一つは下図上段のように現金としてそのまま贈与もしくは相続するという方法です。

この場合当然ながら贈与であれば贈与税が相続であれば相続税がかかります。他の条件を一切考慮しなければ贈与税と相続税はそれぞれ次のように計算されます。

贈与税:(1000ー110)x30%ー65=202万円

相続税:1000x10%=100万円

ここでもし、上図の下段のようにその1000万円を保険料として保険に加入し、子が死亡保険金として1000万円を受け取った場合にはどうなるでしょうか。この場合保険金の非課税枠が適用されて相続税は次のようになります。

相続税:(1000ー500)x10%=50万円

死亡保険金はみなし相続財産となって相続税がかかるのですが、500万円x法定相続人の金額だけ非課税となるため、相続税額を減らすことができます。上記の例では仮に法定相続人が1人としました。

このように相続税を圧縮する効果があります。

 

暦年贈与と組み合わせる

もう一歩進んだ節税の考え方があります。暦年贈与と組み合わせる方法です。

保険料に相当する金額を父から子へ贈与して、子が父を被保険者(保険の対象となる人)、子を保険料負担者(お金を払う人)かつ保険金受取人とする契約をするやり方です。

贈与の場合、暦年(毎年1月から12月まで)で110万円以下の贈与が非課税になりますので、この非課税枠を使って徐々に子供に現金を移転し、その現金を順次保険料として払い込むのです。

この場合、死亡保険金として支払われた金額はみなし相続財産ではなく、子の一時所得となるので、相続税ではなく所得税がかかることとなります。この所得税がかかるというところがポイントで、多くの場合はこの所得税の税率が相続税の税率よりも低い可能性があるのです。

所得税は所得の大きさによる累進課税方式なので、その他の所得金額の影響を受けますが、もし上記の例のように1000万円の死亡保険金以外に所得が無いとすると、所得税は下記のとおりとなります。(仮に1000万円払込時とします)

所得税:1000−1000=0 ゆえに税金はかからない

仮に500万円払込時であれば、

(1000−500ー50)万円x ½ x10%ー97,500=127,500円

となります。

死亡保険金の金額から払い込んだ金額および特別控除とした最大50万円が引け、かつその2分の1が一時所得なので、かなり低い税率を適用できるということになります。

もともと贈与税もかかっていないことから、これによりトータルの税負担を相当下げられることになります。

 

注意すべき点

ただしこの場合に注意すべきポイントとしては、あらかじめこういったスキームで税金を低く抑えようとしていると税務署に見なされないことです。そのためには次のような対策を同時に実施します。

・贈与契約書を作る(できれば公証役場の確定日付があるもの)

・親の生命保険料控除の対象でない

・子供の銀行口座から払い込んでいる

・子供がその銀行口座を自ら管理している

 

その他の利点

また、相続対策として保険を使うことにより、次のような利点もあります。

・保険金を現金として受け取るためそのまま相続税の納税資金にできる。土地など不動産の場合だと売却して現金に変える必要がある。

・現金なので代償分割(別の相続人に金銭で支払う)しやすい

・通常の場合、株式ように急な値下がりの心配がない

以上、相続対策としての生命保険の活用を考えるという話題でした。生前贈与については下記のような本が参考になります。


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【消費税】納税義務の判定方法をフローチャートにしてみた

事業者は個人事業主も法人も消費税の納税義務があるかどうか気を使う必要があります。万が一消費税の納税義務があるのに申告しなければ、無申告加算税や延滞税という附帯税が課されることとなります。

無申告加算税は本税50万円までの金額に対して15%にあたるペナルティ、延滞税は納付遅延に対する利息で遅れれば遅れるほど高くなります。結果として、うっかりミスでも相当大きな負担を負うこととなります。

 

納税義務ある・なし判定フローチャート

そこで今回は自分に消費税の納税義務があるのかどうなのか判定できるように簡単なフローチャートを準備してみました。なお、調整対象固定資産がある場合、事業年度が1年でない場合など、特殊な場合は考慮せず簡略化してあります。
かつては消費税の納税義務の判定はとても簡単で、前々課税事業年度の課税売上高が1000万円を超えるかどうかで基本的に見るものでした。

しかし、国としては消費税のような間接税からなるべく税金を取りたいということで、少しでも多くの事業者を「納税義務あり」にしようとしている背景があります。

このため、判定基準がどんどん複雑化してきています。よく注意していないと気が付いた時にはもう納税義務がある、というちょっと怖いことになりますので、このチャートをよく見てご自身で判断できるようになってください。

当然ながら税理士や会計事務所にお願いしてる場合には、そちらの方で判定を行って説明してくれると思います。そうではなくて、自分自身でやっているという方は特にご注意ください。

 

第一関門は「課税事業者選択届出書」

仕入税額控除を受けたい場合などに意図的に「課税事業者選択届出書」を税務署に提出して課税事業者を選択することがあります。この場合は、有無を言わせず納税義務ありとなります。自分で選んだのですから、当然ですね。

この届出書を出すと2年間は免税事業者に戻れない2年縛りのルールがるので、慎重に届け出る必要があります。また、戻るときも戻りたい期(年)が始まる前に(前期末または前年末までに)不適用届出書を出しておかないと戻れないのでここでも注意が必要です。急に思いついても戻れないようになっています。

 

次に設立何期目か

設立1期目や2期目(個人から1年目や2年目)は納税義務の判定を行う基準期間がありませんので、図の青線のような特殊な判定を行います。設立1期目や2期目でも規模の大きな法人やその子会社は納税義務ありに持って行こうとする意図があります。

中小企業でも設立最初から事業が好調で1期目の前半で課税売上高が1千万円を超えてしまうと、2期目から納税義務ありになるので、気をつける必要があります。

 

3期目以降

3期目以降は基準期間があるので、図の赤線のようにその課税売上高の多寡で判定しますが、資本金が大きい法人の場合はやはり納税義務ありになります。中小企業であれば、資本金1千万円はあまりないので、多くの場合は基準期間における課税売上高で判定することになります。

以上、消費税の納税義務の判定方法をフローチャートにしてみた、という話題でした。実際の判定にあたっては専門家に相談されることをお勧めします。

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【平成30年税制改正】新しい事業承継税制で無税にできるかも

平成29年末に発表された30年税制改正。このうち、いちばんのインパクトはなんと言っても新しい事業承継税制だろうと思います。事業の経営者から後継者へ、やり方によっては無税で承継できるようになる、ということで、大きな話です。

とはいえ、事業承継税制自体はずっと以前からあったのですが、条件が厳しすぎてあまり活用されないまま来ており、その一方で下図のとおり税金負担や後継者不足が原因で黒字廃業とかもったいない事態が実務界では起きているという現状があります。

それでこれは何とかしたい、ということで、今回条件を大幅に緩和して、事業を潰さなくて良いように援護射撃するという意味があります。

 

事業承継税制とは

基本的な内容としては、事業を後継者に承継するときに、その自社株の贈与に係る納税を猶予し、最終的には免除します、というものです。贈与税の税額自体は計算して申告するのですが、ずーっと納税猶予して、最後に(後継者が亡くなった時に)免除なので、実質無税となる訳です。

 

平成30年改正の緩和措置

それで、平成30年改正の何がすごいかと言うと、次のような緩和措置が導入された点です。

(1)納税猶予の対象となる株式はこれまで3分の2までだったのが、100%全部対象にできることになった

(2)猶予される税額はこれまで80%までだった(20%分は納める必要があった)のが、100%全額猶予されるようになった

(3)これまで承継するひと1人、承継を受ける人1人の1対1だったのが、承継を受ける人が3人までカバーされることになった (息子兄弟で承継とかの場合便利)

(4)承継後に従業員の8割を5年間雇用しなければいけなかった(継続雇用できなければ猶予停止)のが、支援機関を通じて申請すれば猶予を継続できるようになった

(5)承継後に廃業や事業譲渡したら猶予停止だったのが、廃業や譲渡時の時価で税額を再計算して納税すれば良いことになった

この5つが本当にスゴイ。特に(4)はネックになることが多く、事業にはどうしても波があるので、従業員の8割を5年間雇用というのはちょっと二の足を踏んでしまう原因でした。万が一この要件を満たせないと、猶予停止で全額即金でお支払なので、後継者としてはちょっと厳しいです。(5)も廃業するほど苦しい状態であれば、自社株の時価も相当下がっているので、以前よりはずっとやさしい感じがします。

 

注意すべきこともある

この緩和措置で、間違いなく事業承継が進むでしょう。ですが、ここに以下のような注意事項がありますので、ご注意ください。

(1)この緩和措置は30年から39年までの時限措置。今のところこの10年間だけの適用です。しかも、35年までに特例承継計画というのを作って都道府県に事前申請が必要です。従って意外と時間の余裕が無い、ということになります。早め早めの準備が必要です。

(2)そもそも後継者が居ないとダメ。後継者がいて初めて成り立つ話です。なお、後継者(親族である必要はありません)は承継の前3年間その会社の役員である必要があります。急に来た人ではダメということです。(1)の期間の問題と絡めて、こちらも早め早めの準備が必要です。

(3)現経営者は承継により代表取締役を辞任する必要があります。第一線から退いて隠居してください、ということなりますが、取引先との関係など現実にはこれもなかなか難しい話です。

その他にも会社の事業内容や、株式の分散具合、相続との関係など、考慮すべき点があります。

 

まとめ

まとめますと、新しい事業承継税制はスマッシュヒットといっても良いくらい、すばらしい制度で、事業承継を考えている方は今がチャンスと言えますが、時間軸を見据えた周到な準備をしていく必要がある、ということです。しかし、準備さえすれば無税で事業を引き継げることになります。

以上、新しい事業承継税制で無税にできるかも、という話題でした。

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印紙が必要かどうか判定するフローチャートを書いてみた

契約書や領収書のような公式な文章を作る場合には印紙の貼り付けにより印紙税を払う必要があります。その場合に印紙が必要ないという場合があり、必要なのか必要でないのかわからないということが起きます。今回は簡便的ではありますがそれを判断するフローチャートを以下のように作成してみました。

印紙が必要かどうか判断の流れ

まず印紙を貼る必要があるのは課税文書であるということです。課税文章でなければそもそも印紙を貼る必要はありません。

次にその書類がペーパーレスかどうかという判断があります。ペーパーレス、つまり PDF や電子メール等で作成されているものであれば、そもそも印紙を貼ることができませんので印紙は不要となります。

紙で作った場合には、契約書であれば更新期間の定めがあるかどうかが問題となります。更新期間の定めがあり、かつ3ヶ月以内、ということであれば印紙は不要となります。3ヶ月を超える更新期間の定めがある契約書の場合は一律4000円となります。

もし更新期間の定めがない場合には記載された金額によってその印紙税の金額が決まることになっています。

次に領収書の場合ですが領収書の場合は5万円未満であれば印紙は不要です。5万円以上である場合には金額によって必要な印紙を貼るということになります。

以上が代表的な課税文章である契約書と領収書に関する簡便的なフローチャートとなります。

 

課税文書とは

課税文書の一覧は国税庁のホームページに詳細が出ています。一般の契約書・定款・貯金証書・領収書などのなものは課税文書の範囲となります。法律上全部で20種類の課税文書が定義されています。

もう一つ非課税とされる文章があり、こちらも国税庁のホームページに定義が出ています。例えば国や地方公共団体等が作成する文書に関しては自分で自分に税金を納めても意味がありませんから非課税とされています。その他にもいくつか非課税の例があります。

 

ペーパーレスの場合は印紙不要

次にペーパーレスについてですが、課税文書であってもPDF や電子メール等で発行されたものは印紙を貼る必要がないとされています。このため紙で作成する文書との間で不公平があると言うことで今後法律が改正されるかもしれません。

ですが、少なくとも記事執筆時点では印紙を貼らなくてよいということになっています。ただその場合でも「電子領収書につき印紙不要」などと書面上に記載して、印紙の貼り忘れではないことをアピールしたほうが良いです。Googleの画像検索で事例が出てきますので、参考にしましょう。

また、印紙と直接関係ありませんが、関連する話題として、ペーパーレスの場合でも電子印をつかって社印を押印することは可能です。また、改ざんされたものでないことの証明が必要な場合は、さらに電子署名でまたは電子証明書をつけて信頼性を高めるというやり方もあります。

いずれにしろ、ペーパーレスによる課税文書を作る場合にはあらかじめ税務署に確認をしてペーパーレスで良いかどうか(印紙を貼らなくて良いかどうか)確認しておくことをお勧めします。仮に課税逃れと判定されると、過怠(かたい)税といって必要税額の3倍が課されるからです。


以上、印紙が必要かどうか判定するフローチャートを書いてみた、という話題でした。

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相続税と贈与税、どちらがお得か

親世代から子供の世代にどうやって財産を引き継げば良いのか、どのように節税を考えたら良いのか?という問題があります。財産を引き継ぐ方法には大きく相続と贈与があるのですが、それぞれの場合および組み合わせでどのように税金が変わるのか、シミュレーションしてみました。

シミュレーションの前提

資産8,000万円を配偶者と子(2人)に引き継ぐとします。相続の分割割合は法定分どおりとして、現在(平成30年2月)の税法や税率が10年後も同じとします。簡略化のため資産はすべて現預金とし、お金の時間価値や利回りは無視します。

 

相続が起きた場合(例1)

法定相続人が3人ですので、課税価格は8,000-(3,000+600×3)=3,200万円となり、各人の相続税は以下の通りとなります。

配偶者 3,200万円 x ½ x 15% – 50 = 190万円

子1人あたり 3,200万円 x ½ x ½ x 10% =80万円

従って、相続税の総額は 190 + 80×2 = 350万円 となります。

結果、各人の相続税額は法定相続分で分割したとすると、配偶者は350 x ½ = 175万円 ですが配偶者の税額控除(法定相続分もしくは1億6000万円までのいずれか多い金額)により結果として0円(納税額無し)になります。

子の相続税額は1人あたり 350 x ½ x ½ =875,000円 となります。

すなわち、家族全体の納税額は子2人分で1,750,000円となります。

 

贈与により財産を引き継いだ場合(例2)

資産8,000万円のうち、4,000万円を配偶者に、2,000万円ずつ2人の子に一括贈与(暦年贈与)した場合で考えます。

その場合、各人の贈与税額は次の通りとなります。

配偶者 4000-基礎控除額110 = 3890  ∴3890×55%(一般税率)- 400 = 17,395,000円

子1人あたり(仮に2人とも20歳以上とします) 2000 – 110 = 1890 ∴1890×45%(特例税率) – 265 = 5,855,000円

すなわち、家族全体の納税額は29,105,000円となります。

相続の場合に比べてずいぶん高いことが分かります。

 

贈与を時間をかけて行う場合(例3)

次は贈与の基礎控除額110万円の範囲内で10年間100万円ずつ3人に贈与し、残りの資産5000万円のうち2500万円を配偶者に、1250万円ずつ2人の子に一括贈与(暦年贈与)した場合で考えます。

まず最初の10年間は基礎控除額以下であるため、税額は発生しません。ただし、この場合最初からまとまった金額を贈与することを意図していたと税務署に認定されてしまうと、贈与税が課税される可能性があります。このため、面倒でも毎年贈与契約書を交わして都度の贈与である証明が必要です。

そういった要件はクリアしたとして、11年目の贈与では各人の贈与税額は次の通りとなります。

配偶者 2,500-110 = 2,390  ∴2,390×50%(一般税率)- 250 = 9,450,000円

子1人あたり(仮に2人とも20歳以上とします) 1,250 – 110 = 1,140 ∴1,140×40%(特例税率) – 190 = 2,660,000円

すなわち、家族全体の納税額は14,770,000円となります。

最初に全額贈与してしまうのに比べて、半額ほどに圧縮できることになります。

 

時間をかけて贈与したのち相続が発生した場合(例4)

最後は贈与の基礎控除額110万円の範囲内で10年間100万円ずつ3人に贈与し、残りの資産5000万円のうち2500万円を配偶者に、1250万円ずつ2人の子に相続した場合で考えます。

10年間100万円ずつ3人に贈与していた場合で、残りの資産5000万円を相続した場合、最初の10年間は前例と同様に贈与税額は発生しません。

相続において法定相続人が3人ですので、課税価格は5,000-(3,000+600×3)=200万円となり、各人の相続税は以下の通りとなります。

配偶者 200万円 x ½ x 10%  = 10万円

子1人あたり 200万円 x ½ x ½ x 10% =5万円

従って、相続税の総額は 10 + 5×2 = 20万円 となります。

結果、各人の相続税額は法定相続分で分割したとすると、

配偶者 20 x ½ = 10万円 ですが配偶者の税額控除(法定相続分もしくは1億6000万円までのいずれか多い金額)により結果として0円(納税額無し)

子1人あたり 20 x ½ x ½ =50,000円 となります。

すなわち、家族全体の納税額は子2人分で100,000円となります。

最初に贈与をしておくことで、相続税もかなり圧縮できることがわかります。

 

お勧めの考え方

以上の4つの例からわかることとして、原則として相続税は贈与税より安いことがわかります。これは相続税が財産の形成に貢献した家族を優遇する考え方から当然といえば当然です。今回は簡略のために財産は全て現預金と仮定しましたが、現預金を不動産や保険に変えることで相続税をさらに圧縮しようという考え方も世の中的にはあります。ですが、それはそれで将来不都合となる(不動産価格の下落とか)可能性がありますので、本当にそこまでして相続税を圧縮したいのかどうか、慎重にリスクを判断することをお勧めします。

また、事前に贈与の基礎控除額の範囲で少しずつ贈与しておく、または贈与税が非課税となる特例措置(住宅取得等資金贈与の非課税など)を利用するなどして、資産を減らしておくと全体としての税額を相当圧縮することができます。ですが、これは長期的な計画に基づいて行なっていく必要があり、急には対応できないということに注意が必要です。

最もお勧めのシナリオは例4のように、基礎控除額の範囲で少しずつ贈与しつつ、自分で形成した財産を自分の為に使い、残った財産を相続する、というものです。自分で苦労して作った財産ですから、子供たちに少額贈与をしつつご夫婦で楽しい老後を送る、というのがベストです。

上記の例は、非常に簡略化した条件でシミュレーションしています。実際の状況はもっと複雑ですので、ご自身の状況について早いうちから専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。

 

以上、相続税と贈与税、どちらがお得かという話題でした。

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クラウド会計ソフト市場はどうなっているのか

最近会計ソフトもクラウド化が進んでいるという印象があります。古い会社や個人事業主はともかく、新しく起業して、さて会計ソフトはどうしよう?となったときに、多くの方がクラウド会計ソフトを選ばれるのかなと。

それで世の中の利用状況は実際どうなのか?ということで、調べてみたところ株式会社MM総研さんというところが、個人事業主を対象に調査して結果をネットに公開されていました。2017年3月の調査ですので、わりと新しいデータです。

詳しくはMM総研さんのニュースリリース「クラウド会計ソフトの利用状況調査(2017年3月末)」をご参照頂ければと思いますが、要するに次のことがわかります。

 

調査から分かること

(1)個人事業主の32%はなんらかの会計ソフトを使って自分で経理しているが56%は使っていない(おそらく税理士事務所などに委託している)。

(2)会計ソフトを使っている個人事業主の13%はクラウド会計ソフトを使い、77%は従来のインストール型会計ソフトを使っている。

(3)クラウド会計ソフトを使っている個人事業主の56%は弥生を選んでいる。マネーフォワードとfreeeはそれぞれ19%と16%。

 

ここから得られる知見は

(1)クラウド会計ソフトの市場は意外に小さい。全体から見たら0.56 x 0.13 = 7% しかない。逆に言うと、インストール型会計ソフトの置き換えによる伸びしろが大きい。

(2)なんだかんだ言っても、弥生がナンバーワン。マネーフォワードとfreeeがもっと強いと思っていました。

(3)昔ながらの税理士事務所などへの委託マーケットも実は健在

といったところでしょうか。

 

確定申告シーズンに合わせて、アマゾンの「確定申告ストア」にて弥生製品も販売中のようです。よかったらどうぞ。

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【平成30年所得税確定申告】国税をクレジットカードで決済する方法 

平成29年から国税の全ての税目(加算税、延滞税等の附帯税を含む)でクレジットカード決済が可能となっています。具体的には、国税庁長官が指定した納付受託者(トヨタファイナンス株式会社)へ、国税の納付の立替払いを委託する、という形になっています。

 

クレジットカード払いはお得か?

クレジットカードなので決済できる限度額がありますが、その限度額の範囲内であれば、カード払いのメリットがあります。メリットはカード払いに付帯するマイルやポイントを取得できること、また実際にキャッシュが引き落としになるまで若干の時間差があること、です。

ただし、納付受託者への決済手数料が必要となるため、コストとベネフィットを比較して、クレジットカード決済が本当に得かどうか判断するようにしましょう。

決済手数料は納付税額が最初の1万円までは76円(消費税別)、以後1万円を超えるごとに76円(消費税別)を加算した金額となります。例えば、納付税額が10万円なら、手数料が税込で820円かかることになります。

自分の場合、JALカードで「ショッピングマイル・プレミアム」に加入しているので、100円の決済につき1マイルが付与されて、このカードを使うと1000マイルを得ることができます。これと820円とを比較してどちらが得かという判断になりますが、獲得したマイルをどう使うのかにもよりますので、微妙なところではあります。

 

クレジットカードで決済する方法は?

申告のやり方によって、3つの方法があります。

1 国税庁ホームページから払う

普通に紙の申告書ベースで申告の準備をした場合は、国税庁ホームページから払うことができます。「国税クレジットカードお支払サイト」をクリックしてアクセスします。

2 確定申告書等作成コーナーから払う

国税庁ホームページの確定申告書等作成コーナーで申告書を準備した場合は、申告書を作成した際に表示される納付方法の案内画面からアクセスします。

3 e-Tax(国税電子申告・納税システム)から払う

e-Taxを利用して電子申告・徴収高計算書データの送信又は納付情報登録依頼をしたときは、その後メッセージボックスに格納される受信通知からアクセスします。

 

決済時に必要な情報は?

上記の方法で決済画面にアクセスしますと、入力フォームがありますので、利用者情報、納付内容、クレジットカード情報の3つを入力して決済すれば完了です。基本的に普通のインターネットショッピングの決済と同じです。利用者情報や納付内容は国税庁の情報を引き継いで自動で埋めて欲しいところですが、現状そうなっていません。自分で入れましょう。

以上、国税をクレジットカードで決済する方法、という話題でした。関連エントリーは下記よりご参照ください。

【平成30年 所得税確定申告】外資系企業の従業員がRSUをもらった場合

【平成30年 所得税確定申告】持株会で株式を取得した場合

【平成30年 所得税確定申告】ビットコインで儲けがある場合

【平成30年 所得税確定申告】個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)を始めた場合

【平成30年 所得税確定申告】ふるさと納税をした場合

【平成30年 所得税確定申告】サラリーマン大家さんの場合

【平成30年 所得税確定申告】作家や漫画家なら個人事業税が非課税に

はじめて人を雇う場合の手続きについてまとめ

これまで一人で事業を行ってきたのだけれど、忙しくなってきたので人を雇うといった場合には、どのような手続きが必要でしょうか?

今回ははじめて人を雇う場合に必要となる手続きについて整理してみたいと思います。

 

どのような場合にこの手続きが必要か?

次のような場合が考えられます。

1.個人事業主が従業員を雇った場合。従業員にはパートやアルバイトも含まれます。支給額の大きさは関係ありません

2.個人事業主が家族に給料を払う場合。配偶者や子供に手伝ってもらって給料を払う場合です

3.法人成りした場合。たとえ社長1人だけの会社でも手続きする必要があります

4.新しく法人を設立した場合

 

どんな書類をいつどこに提出するのか?

1.「給与支払事業所等の設立届出」を所轄税務署に給与支払事務所の開設の事実があった日から1ヵ月以内に提出します。この届出によって給与の支払者は所得税の源泉徴収を行うようになり、税務署から納付に必要な書類が送られてくるようになっています。

2.多くの場合は1と同時に「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」も所轄税務署に提出します。源泉所得税は、原則として徴収した日の翌月10日が納期限となっていますが、この申請を行うことによって、給与の支給人員が常時10人未満であれば、年2回にまとめて納付することができます。その分事務の手間が省けるメリットがあります。

3.従業員を1日でも雇用した場合、「保険関係成立届出書」を労働者を雇用した日から10日以内に所轄の労働基準監督署又は公共職業安定所(ハローワーク)に提出します。労働者を雇用すると労働保険(労災保険と雇用保険)へ加入しなければならないためです。ただし、個人事業主とその家族は労働保険の適用対象外となります。

4.雇用した従業員の雇用見込み期間が31日以上あり、1週間の所定労働時間が20時間以上ある場合は、「雇用保険適用事業所設置届」を設置の日の翌日から10日以内に所轄の公共職業安定所(ハローワーク)に提出します。

5.さらに従業員が増えた場合は、その都度「雇用保険被保険者資格取得届」を雇用した日の翌月10日までに所轄の公共職業安定所(ハローワーク)に提出します。

6.法人及び常時使用する従業員が5人以上いる個人事業主(一定の業種を除く)は社会保険(健康保険と厚生年金保険)への加入義務があります。このため、「被保険者資格取得届」を事実が発生した日から5日以内に日本年金機構へ提出します。

人を雇う場合の手続きは複雑で届出の期限も短いのであらかじめよく確認して準備しておくことが必要です。

以上、はじめて人を雇う場合の手続きについてまとめという話題でした。

 

 

【平成30年所得税確定申告】作家や漫画家なら個人事業税が非課税に

2018年になりまして、平成29年分の確定申告のシーズンが近づいてきました。2月16日(金)から3月15日(木)までが平成29年分所得税の確定申告期間となります。今回も忘れずに申告しましょう。

所得税の確定申告について幾つか皆様の役に立ちそうな内容で記事を書いてみたいと思います。今回は「作家や漫画家なら個人事業税が非課税に」という話題です。

個人事業主が払う税金には、国税である所得税や消費税に加えて、地方税である住民税や個人事業税があります。このうち、個人事業税については課税対象事業というのが約70業種ほど決まっていまして、それぞれの業種によって税率が設定されています。

この課税対象事業はほとんどの業種をカバーするのですが、作家や漫画家を含むアーティスト業種が対象事業ではなく非課税になっているのです(詳しくは各都道府県の情報をご参照ください)。これは本業である必要は無く、副業でこれらの収入を得た場合でも申告すれば個人事業税は非課税になります。

 

そもそも個人事業税とは

都道府県に納める税金で、1年間営業して290万円以上収入がある場合に課税される可能性があります。確定申告をすると納税通知書が送られてきます。原則年2回に分けて納めます。税額は下記の式で計算します。税率はほとんどの業種で5%、畜産・水産業などは4%、あんま・マッサージ業などは3%です。上述の作家や漫画家に加えて、農業も0%非課税ですので注意しましょう。

(収入 − 必要経費 − 専従者給与等 − 各種控除(290万円含む))× 税率 = 個人事業税

従って、1年に290万円も収入がなければ、最初から税額がゼロなので気にしなくて良い話になりますが、本業の傍ら本を書いて結構な印税収入がある、というような場合は、しっかり非課税の申告をしないと損をしてしまう、ということになります。

 

確定申告のやり方

確定申告書第2表に下図の項目(事業税・住民税に関する事項)がありますので、「非課税所得など」欄の番号として「2」(地方税法第72条の2に定める事業に該当しないものから生ずる所得)を、課税所得はこの事業から生じた青色申告特別控除前の金額を書きます。

以上、作家や漫画家なら個人事業税が非課税にという話題でした。

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平成30年になりました。2月16日(金)から3月15日(木)までが平成29年分所得税の確定申告期間となります。今回も忘れずに申告しましょう。

所得税の確定申告について幾つか皆様の役に立ちそうな内容で記事を書いてみたいと思います。今回は「サラリーマン大家さんの場合」の申告方法について、です。

サラリーマン大家さんである場合とは会社勤めで給与所得がありながら、不動産賃貸を行って不動産所得もある、という場合です。最近投資用の物件を購入して賃貸に出して稼ぐ、というスタイルが流行っていますので、そのような人はどうやって所得税の確定申告をするのか?という話題です。

 

青色申告か白色申告か

事前に青色申告の申請書を税務署に提出すると、不動産所得であっても特別控除65万円が認められるなどメリットがあるのですが、その不動産所得が事業規模でないと65万円控除ができないので、注意が必要です。事業規模かどうかの判断基準は一般に五棟十室基準といって、一軒家などを貸している場合は五棟以上あるかどうか、マンションなどの部屋単位で貸している場合は10以上あるかどうか、で判断されます。事業規模で無い場合は、青色申告を選択しても特別控除は10万円のみの控除となります。それでも白色申告よりは多少お得になります。

不動産収入(家賃・礼金など。返却する敷金は含まない)から必要経費を引いて、不動産所得を求め、給与所得に合算します。特別控除として10万円または65万円が不動産所得から引かれます。

不動産所得に給与所得等を合算した課税総所得に所得税の累進税率を掛けて税額を求めるという流れになります。

 

不動産所得の必要経費となるもの

不動産収入を得るために要した費用として、次のものが必要経費となります。

  • 管理費(管理を不動産会社に委託している場合の手数料など)
  • 修繕費
  • 固定資産税
  • 減価償却費(建物(土地は含まない)の取得に要した費用の合計額に一定の割合を掛けて求めた金額)
  • 住宅ローンの支払利息(借入をして物件を購入した場合の利息。ただし、不動産所得が赤字になるときは土地の取得に要した部分の利息は損益通算できない)

不動産収入を得るためでない費用(自分の生活に必要な費用など)は必要経費にならないので、ご注意ください。

 

確定申告書の書き方

(1)不動産収支内訳書(または青色申告決算書)の記入

国税庁が発行する「収支内訳書(不動産所得用)の書き方」を参考に収支内訳書に記載していきます。

(国税庁ホームページより引用)

 

(2)確定申告書B第二表の記入

「所得の内訳」欄に所得の種類として「不動産」、所得の生ずる場所として物件の所在地と名称、収入金額として不動産収入の合計額、源泉所得税の欄は通常空欄のまま、とします。事業専従者給与を支払っている場合は、その内容も記載します。

 

(3)確定申告書B第一表の記入

不動産収支内訳書(または青色申告決算書)から収入金額等、所得金額を転記します。該当する場合は、専従者給与(控除)額の合計額を記入します。また、青色申告の場合は特別控除額(65万円または10万円)を記載します。

以上、「サラリーマン大家さんの場合」の申告方法についてという話題でした。

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