相続税と贈与税、どちらがお得か

親世代から子供の世代にどうやって財産を引き継げば良いのか、どのように節税を考えたら良いのか?という問題があります。財産を引き継ぐ方法には大きく相続と贈与があるのですが、それぞれの場合および組み合わせでどのように税金が変わるのか、シミュレーションしてみました。

シミュレーションの前提

資産8,000万円を配偶者と子(2人)に引き継ぐとします。相続の分割割合は法定分どおりとして、現在(平成30年2月)の税法や税率が10年後も同じとします。簡略化のため資産はすべて現預金とし、お金の時間価値や利回りは無視します。

 

相続が起きた場合(例1)

法定相続人が3人ですので、課税価格は8,000-(3,000+600×3)=3,200万円となり、各人の相続税は以下の通りとなります。

配偶者 3,200万円 x ½ x 15% – 50 = 190万円

子1人あたり 3,200万円 x ½ x ½ x 10% =80万円

従って、相続税の総額は 190 + 80×2 = 350万円 となります。

結果、各人の相続税額は法定相続分で分割したとすると、配偶者は350 x ½ = 175万円 ですが配偶者の税額控除(法定相続分もしくは1億6000万円までのいずれか多い金額)により結果として0円(納税額無し)になります。

子の相続税額は1人あたり 350 x ½ x ½ =875,000円 となります。

すなわち、家族全体の納税額は子2人分で1,750,000円となります。

 

贈与により財産を引き継いだ場合(例2)

資産8,000万円のうち、4,000万円を配偶者に、2,000万円ずつ2人の子に一括贈与(暦年贈与)した場合で考えます。

その場合、各人の贈与税額は次の通りとなります。

配偶者 4000-基礎控除額110 = 3890  ∴3890×55%(一般税率)- 400 = 17,395,000円

子1人あたり(仮に2人とも20歳以上とします) 2000 – 110 = 1890 ∴1890×45%(特例税率) – 265 = 5,855,000円

すなわち、家族全体の納税額は29,105,000円となります。

相続の場合に比べてずいぶん高いことが分かります。

 

贈与を時間をかけて行う場合(例3)

次は贈与の基礎控除額110万円の範囲内で10年間100万円ずつ3人に贈与し、残りの資産5000万円のうち2500万円を配偶者に、1250万円ずつ2人の子に一括贈与(暦年贈与)した場合で考えます。

まず最初の10年間は基礎控除額以下であるため、税額は発生しません。ただし、この場合最初からまとまった金額を贈与することを意図していたと税務署に認定されてしまうと、贈与税が課税される可能性があります。このため、面倒でも毎年贈与契約書を交わして都度の贈与である証明が必要です。

そういった要件はクリアしたとして、11年目の贈与では各人の贈与税額は次の通りとなります。

配偶者 2,500-110 = 2,390  ∴2,390×50%(一般税率)- 250 = 9,450,000円

子1人あたり(仮に2人とも20歳以上とします) 1,250 – 110 = 1,140 ∴1,140×40%(特例税率) – 190 = 2,660,000円

すなわち、家族全体の納税額は14,770,000円となります。

最初に全額贈与してしまうのに比べて、半額ほどに圧縮できることになります。

 

時間をかけて贈与したのち相続が発生した場合(例4)

最後は贈与の基礎控除額110万円の範囲内で10年間100万円ずつ3人に贈与し、残りの資産5000万円のうち2500万円を配偶者に、1250万円ずつ2人の子に相続した場合で考えます。

10年間100万円ずつ3人に贈与していた場合で、残りの資産5000万円を相続した場合、最初の10年間は前例と同様に贈与税額は発生しません。

相続において法定相続人が3人ですので、課税価格は5,000-(3,000+600×3)=200万円となり、各人の相続税は以下の通りとなります。

配偶者 200万円 x ½ x 10%  = 10万円

子1人あたり 200万円 x ½ x ½ x 10% =5万円

従って、相続税の総額は 10 + 5×2 = 20万円 となります。

結果、各人の相続税額は法定相続分で分割したとすると、

配偶者 20 x ½ = 10万円 ですが配偶者の税額控除(法定相続分もしくは1億6000万円までのいずれか多い金額)により結果として0円(納税額無し)

子1人あたり 20 x ½ x ½ =50,000円 となります。

すなわち、家族全体の納税額は子2人分で100,000円となります。

最初に贈与をしておくことで、相続税もかなり圧縮できることがわかります。

 

お勧めの考え方

以上の4つの例からわかることとして、原則として相続税は贈与税より安いことがわかります。これは相続税が財産の形成に貢献した家族を優遇する考え方から当然といえば当然です。今回は簡略のために財産は全て現預金と仮定しましたが、現預金を不動産や保険に変えることで相続税をさらに圧縮しようという考え方も世の中的にはあります。ですが、それはそれで将来不都合となる(不動産価格の下落とか)可能性がありますので、本当にそこまでして相続税を圧縮したいのかどうか、慎重にリスクを判断することをお勧めします。

また、事前に贈与の基礎控除額の範囲で少しずつ贈与しておく、または贈与税が非課税となる特例措置(住宅取得等資金贈与の非課税など)を利用するなどして、資産を減らしておくと全体としての税額を相当圧縮することができます。ですが、これは長期的な計画に基づいて行なっていく必要があり、急には対応できないということに注意が必要です。

最もお勧めのシナリオは例4のように、基礎控除額の範囲で少しずつ贈与しつつ、自分で形成した財産を自分の為に使い、残った財産を相続する、というものです。自分で苦労して作った財産ですから、子供たちに少額贈与をしつつご夫婦で楽しい老後を送る、というのがベストです。

上記の例は、非常に簡略化した条件でシミュレーションしています。実際の状況はもっと複雑ですので、ご自身の状況について早いうちから専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。

 

以上、相続税と贈与税、どちらがお得かという話題でした。

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