【2019年 所得税確定申告】個人事業主が2以上の事業を営んでいる場合の申告方法

ダンス

知り合いの個人事業者で2つの事業を営んでいる人がいまして、そういう場合の確定申告ってどうなっているのかな?とふと疑問に思い、調べてみました。


事業の数の考え方

2以上の複数の事業を営んでいる場合の考え方としては、基本的には「同じ職業なら1つと考えてしまう」とよいです。例えば、ダンス教室をA市とB市の2箇所で運営しているような場合、自分が複数の事業と認識していたとしても、ダンス教室経営というひとつの職業と考えられますので、事業の数としては1つとして申告して大丈夫です。

この例とは異なり、例えばA市ではダンス教室を、B市では喫茶店を経営しているとすると、これは2つの職業であり、事業の数としては2つになります。


確定申告書の書き方

個人事業主である(会社にしていない)限り、提出する申告書は所得税の確定申告書のみ、ということになります。事業が2つなので2つの確定申告書を出すということではなく、あくまで事業主個人の確定申告書が1つだけ必要です。

事業から生じた所得は「事業所得」ですから、複数の事業があっても事業所得は合算して確定申告書に書きます。確定申告書のフォーマットとしては、「確定申告書B」を選びます。

「収入金額等」の「事業 営業等」の欄にその年の収入金額を記載します。また、「所得金額」の「事業 営業等」の欄にその年の所得金額を記載します。収入金額や所得金額は別途作成する「青色申告決算書」(青色申告の場合)または「収支内訳書」(白色申告の場合)から合算して転記します。その後の計算もすべて1つの事業所得として計算します(青色申告特別控除は65万円です)。

また、「職業」を書く欄に、2以上の職業を書きます。上記の例では、「ダンス講師、飲食業」のようになります。


決算書は複数必要となる

「青色申告決算書」(青色申告の場合)または「収支内訳書」(白色申告の場合)は事業ごとに作成することになります。ただし、複数の決算書や内訳書があると、国税庁ホームページの確定申告書作成コーナーからは提出できません(システムの仕様上、1つの事業についてしか提出できない)。従って、「紙」の申告書で記載して税務署に持参するか、郵送するというということになります。この点は注意が必要です。


納税地は住所地

複数の場所(事業所)で事業を営んでいたとしても、所得税の納税地の原則は住所地(住民票がある場所)となります。事業所の場所が税務署の所轄が異なるほど離れている場合でも、住所地を所轄する税務署に申告書を提出することになります。ただし、必要に応じて納税地の変更届を出して事業所のある場所を所轄する税務署で申告することも可能です。


消費税は合算ベースで

消費税については、納税義務の有無の判定、税額計算においても複数事業の売上・仕入れを合算して行うことになります。1つの申告書を納税地に提出して申告します。納税義務の有無の判定については下記の記事もご参考にどうぞ。


地方税は手続き不要

地方税(住民税・個人事業税)については別段の手続きは不要です。所得税の確定申告をすると、税務署から自治体に連絡が行ってそれぞれ納税通知書が送られてくる仕組みになっています。

以上、個人事業主が2以上の事業を営んでいる場合の申告方法、という話題でした。ややこしいときには、税理士の先生にお願いしてしまった方が手っ取り早いということもあります。税理士ドットコム などで近所の税理士の紹介を受けることをお勧めします。


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浅野忠信のドローイング作品展「TADANOBU ASANO 3634 浅野忠信展」を見て考えたこと

浅野忠信展

(出典:ワタリウム美術館 ウェブサイト)

アート鑑賞が好きです。特にこの手のやつが。俳優浅野忠信さんがこれほどの画力で大量の作品(3634というのは作品の数)を描いているとは知りませんでした。ほんとうにびっくり。コピー用紙の裏紙や封筒の裏などにボールペン書きがほとんど、ということですが、俳優というか表現者なのだな、と思った次第です。

特に印象に残ったのが次のようなことかと。

体の動き

風の表現

建物の描き方

視点(高さ・位置)

YouTubeにご自身が解説している(質問に答えている)動画がアップされていますので、こちらも楽しめます。本人は「癖で絵を描いている」「気分転換」と言っていますが、それが才能というものなのでしょう。


こういうのを見るとアート魂に火がついて自分も描いてみようかなと思います。自分の場合は、iPadのお絵描きアプリ(Procreate)ですが。


「絵を描く」というのは、コーピングの一種としても有効だと思います。コーピングというのは心理学でストレスに対する対処方法で、一定のストレスを感じたときにその対処を行うことで、ストレスを軽減するテクニックです。

こちらの本に書いていることですが、コーピングはたくさんのバリエーションを用意しておくことが望ましく、様々なストレスに対して、このストレスを感じたらこれ!というものを複数用意しておくと良い、とされています。



仕事にしろ、何にしろ、ストレスを感じた時に対処するためのコーピングの一つとして、「絵を描く」ということがとても良いと感じます。おそらく、浅野さんも「描き出すと止まらなくなる」「描いているときは何も考えない」ということから、無意識にコーピングを行っているのでしょう。

もちろん絵を描くこと自体がストレスになるという人もいる訳なので、万人に有効ということではなく、結局「人による」のでしょうが、没頭できるものを持つことは重要です。結果的にコーピングとなって、心の健康を保つのに役立ちます。

上述の本ではコーピングの手段を100くらい持ちましょう、ということが言われています。「絵を描く」をコーピングの一つに加えてみてはいかがでしょうか。よければ下記からどうぞ。




ワタリウム美術館の「TADANOBU ASANO 3634 浅野忠信展」は2019年3月31日(日)まで、です。まだ見ていないという方はお急ぎを。最新の画集はこちらです。素晴らしいですよ。



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【小さなビジネス応援】融資の新しい考え方「事業性評価」とは?【無料テンプレート配布】

お金


金融機関の融資に対する考え方が変化している

金融機関の従来の融資希望者に対する審査基準は主に財務諸表を使った「外形的な」ものでした。これまでは自己資本比率など数字を用いて標準化した定量評価が行われており、この結果、企業に対して「信用格付け」を行い、格付けが低い場合には融資を断ったり、また銀行側で高い貸倒れ引当率が設定されたりしていました。これは要するに積極的に融資したくない顧客という意味です。

したがって、融資を申し込む側からするとこれらの財務諸表の数字がどうなのか、が主な関心事でした。ところが、時代が変わって、金融庁の指導により最近では「金融機関は、財務データや担保・保証に必要以上に依存することなく、借り手企業の事業の内容や成長可能性などを適切に評価し(「事業性評価」)、融資や助言を行い」、という考え方に方向転換してきました。

このため、金融機関は従来の標準化された「信用格付け」を行うというマニュアル的対応を廃止して、「事業性評価」に基づいた融資判断を行うように変化してきています。これは監督官庁である金融庁の指導ですから、有無を言わず従わざるを得ないという状況になっています。


事業性評価についての金融機関の本音

ところが、この「事業性評価」は言うほど簡単ではなく、充分にその企業の中を理解・分析し、かつその企業だけでなく業界全体など市場環境も踏まえる必要がありますから、金融機関にとっては荷が重い話です。金融機関も利潤を追求していますから、事業性評価のために多くの工数を割いたり、ましてや専門家を採用または育成する余裕もありません。

したがって、金融機関の本音としては、「融資を申し込む企業のほうで事業性評価を終えて結果だけ持って来て欲しい」ということになります。つまり、企業のほうで自力でもしくは専門家に依頼して事業性評価を行い、結果を出してから来て欲しいということです。そうでなければ、金融機関が事業性評価を行うか、専門家に依頼する必要があり、この手間やコストを嫌っている訳です。

逆に言うと、融資を受けたい企業が事業性評価を行い、最初からこの結果を持参できれば、融資を受けやすいということです。もちろん内容が伴っていなければダメですが、一定の事業性が証明できれば融資OKとなる可能性が高くなります。


事業性評価の内容

では何を準備すれば良いか?というと金融機関で「事業性評価シート」と呼ばれているものに相当するものを準備していけば良い、ということになります。具体的には下記のような事項を含む資料です。

(1)当社の製品・サービス・ビジネスモデル

(2)市場環境(規模・成長性)、競合分析

(3)融資を希望する理由(新分野・新技術への取り組み)

(4)自社の強み弱み分析(SWOT分析)

(5)以上を踏まえた業績見込み(営業計画、損益計画、返済計画)

これらの項目は、「事業計画書」に含まれる内容ですので、普段から事業計画書を作成・更新していれば良いだけ、ということになりますが、なかなかそういう企業のほうが少ないと思いますので、融資をきっかけとして整理してみるのも良いでしょう。


無料テンプレートのダウンロード

私のほうで準備した「事業性評価テンプレート」がこちらより無料でダウンロード可能です。テンプレートを埋めることで上記の各項目を効率よくまとめることができますので、よろしければご利用ください。

一人で作成するのが不安、という場合には、私のようなコンサルタントにご依頼頂くか、もし顧問契約している税理士がいれば、相談すると良いです。本業の傍らなかなか時間を割くのも大変だと思いますので、外部の力を借りるというのもひとつの考え方です。


以上、融資の新しい考え方「事業性評価」とは?という話題でした。事業性評価についてもっと勉強したいという方は下記の本もお勧めです。



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【小さなビジネス応援】値決めは経営。変動費、固定費、限界利益、営業利益を分析シミュレーションして値引きするかどうか判断する方法

値決めは経営

値決めは経営、と言いますが、値段を決めるくらい難しいこともありません。多くの場合、値段は適当に決まってしまいがちですが、これをやっていると「儲からない」につながります。「儲ける」ためには、値決めを理論的に行う必要があります。



変動費と固定費

値決めを理論的に行うためには、値段の要素を理解する必要があります。値段の要素には原価、マージン(利幅)や競合の価格など、様々な見方がありますが、ここでは自社の「固定費」と「変動費」に注目して考えるやり方を紹介します。

「固定費」とは商品が売れようが売れまいが、毎月発生する費用をいいます。例えば、人件費です。人を雇うと今月販売不振だったから給料半分ね、とは言えません。営業マンに歩合制で払うことも可能ですが、基本的には固定部分があります。その他にも、事務所の家賃や水道光熱費なども固定費です。

一方「変動費」は商品の販売に応じて発生する費用です。例えば、梱包費、送料、などです。

売上から変動費を引いたものを「限界利益」といいます。限界利益から「固定費」を引いたものが「営業利益」です。営業利益は本業からの「儲け」ですので、営業利益がしっかり出るように売上(売値)、変動費、固定費のバランスをとる必要があります。



値引き(値上げ)をすると利益がどう増減するか?

単純に値引きをすると売れるため、すぐに値引きをしたくなります。ですが、わずかな値引きでも、変動費や固定費が変わらなければ、利益の減少幅は大きくなります。このことは多くの経営者にとっていまひとつピンとこないものです。そこで具体例を使って見てみましょう。

具体例

1個の販売について変動費2000円の商品を固定費7000円の前提で販売する場合、販売数の増加によって、営業利益は下図のようなものになります。

graph1

販売数が7個のときに売上7000円x7個ー変動費2000円x7個ー固定費7000円=0となり、営業利益がゼロになります。要するに損益がトントンです。この販売数を損益分岐点といいます。

このとき販売数に関わらず、一律2%値引きするとどうなるでしょうか。下図のグレーの線のように値引きした分、販売数が増えても利益が増えなくなります。

graph2

このとき利益の減少幅をグラフにすると、下図のようになります。当然ながら、販売数が大きいほど値引き額が大きくなります。

graph3

では、この値引き額が当初の営業利益に対してはどの程度の影響があったでしょうか。値引き幅÷営業利益でみると、次の図のようになります。本来は損益分岐点で無限大になるのですが、そこは省略しました。

graph4

ここから分かることは、わずか2%の値引き販売なのに、この例では販売数がある程度大きい場合には、利益の減少幅は10%にもなる、ということです。ここが値引きの怖いところです。うかつに値引きすると、思った以上に利益を削ってしまい、赤字に転落するということがあります。

損益分岐点付近では、もともとカスカスのビジネスだったわけなので、わずか2%の値引きでも利益は大きく削られます。30%とか40%の利益を失うこともあります。



まとめ

値決めをする際に、基本的には極力値引きはしない方が良いです。取引先との関係や競合との関係でやむを得ず値引きをする場合には、上記のような変動費、固定費、限界利益、営業利益の分析とシミュレーションを行って慎重に行いましょう。「数パーセントくらいなら、まあいいか」といって何も考えずに値引きすると後で痛い思いをしますので、ご注意を。

また、値引きの場合以外でも、例えば「アウトソーシングによってある費用を固定費から変動費に変えると利益がどう増減するか?」や、「現在の売り上げで人を雇うこと(固定費を増やすこと)が出来るか?」といった重要な経営判断において、上述の分析とシミュレーションは有効です。直感や思いつきで判断せずに、数字で納得してから行動に移すようにしましょう。

以上、経営は値決めがすべて。変動費、固定費、限界利益、営業利益を分析シミュレーションして値引きするかどうか判断する方法、という話題でした。この話題について理解を深めたい場合は下記の本が分かりやすくてお勧めです。



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【ビジネスで使う統計学】アンケート結果のコメントを無料で分析する方法を分かりやすく解説

ビッグデータ


アンケートをビジネスに生かすには

ビジネスの現場において「アンケート」をとる、ということが割と頻繁に行われます。例えばセミナーなどを開催すれば、必ず最後に参加された方にアンケートを回答していただきます。セミナー以外にも展示会でブースに立ち寄ってくれたお客様にアンケートを書いていただいたり、もしくは「顧客満足度調査」と称して相当な分量のアンケートをお客様に回答して頂く、ということもあります。

問題はこういったアンケートの回答をどのようにビジネスに活用するのか?ということです。これまでの経験では、大抵の場合、次のような処理がなされます。

● 点数が付いている項目は平均点を出す。平均点が高い・低い、上がった・下がったという。

● コメントによる回答については主催者からみて顕著な例がピックアップされる。次に向けての改善点などが話し合われる。

浅薄な対応です。小学生並みという感じがします。もちろん、これでもそれなりにPDCAは回るので、何もしないようりはましですが、もう一歩踏み込みたいところです。


「統計学的に」踏み込む

どう踏み込みたいかというと、「統計学的に」踏み込みたいということになります。上記のような対応では、主催者の主観に過ぎず、真実の一端しか掴めません。いったい何が起きているのか、真実の全体像は統計学的な分析によって、見えてくるようになります

点数が付いている項目の分析は「T検定」を使いましょう。T検定を使うと平均値の変化に意味があるのか、たまたまの変化なのか、が分かります。見た目だけで主観的に平均点が高い・低い、上がった・下がったと言うのではなく、統計学的な意味付けを行うことにより、分析結果に説得力が増します。「T検定」のやり方は、次の過去記事に書きましたので、ご参照ください。

【ビジネスで使う統計学】リード・クオリフィケーションの努力が報われたかどうかの検定方法を分かりやすく解説

コメントによる回答は、いわゆる自然言語で書かれており、数値化されていないので、分析が難しくなります。このような自然言語の数値化は、従来はあらかじめキーワードを決めておき、その出現数を数える、という方法がありました。数え方は漢字の「正」の字を書いて数えたり、エクセル上の処理としてカウントしたりしていました。いずれにしてもマニュアル作業で、時間もかかりますし、見落としも多く楽しい作業ではありません。


テキストマイニングが無料で使える

ところが最近「テキストマイニング」(英語ではVerbatim Analysis)という技術が発達してきまして、アンケートのコメント欄に記載された文書を分析し数値化できるようになってきました。これにより「正」の字を書いたりすることなく、瞬時に大量のデータが分析できるようになりました。

以前はテキストマイニングを実施するには自分でプログラムを作るか、高価なサービスやソフトウエアを購入する必要がありましたが、最近はテキストマイニングを無料で提供している下記サイトがあります。

ユーザーローカル社 テキストマイニング無料ツール

https://textmining.userlocal.jp/

こちらのサイトでは、無料にもかかわらず、100,000文字までのデータを分析して下図のようにワードクラウドの作成や頻出後のカウントを行ってくれます。使い方も簡単で、アンケート結果がExcelなどで整理されているのであれば、テキスト形式に落としてツールにデータロードするだけです。

テキストマイニング

(出典:ユーザーローカル社)


テキストマイニングの結果の見方

ワードクラウドというのは、英語ではWord Cloudですが、見た通り頻出語をひとまとまりに書いたもので、頻度が大きな言葉ほど大きな文字になっています。上記無料ツールの場合、名詞は青字、動詞は赤字、形容詞は緑字になっており、ぱっと見で判別しやすようになっています。

こんなに優秀なツールが本当に無料で良いのか?非常にありがたい限りで、私もいくつかのデータ解析においてお世話になっています。

また、このツールが優れいている点は、頻出語について「スコア」を計算してくれることです。スコアについては、ウェブサイト上に次の通り説明書きがあります。

単語ごとに表示されている「スコア」の大きさは、与えられた文書の中でその単語がどれだけ特徴的であるかを表しています。通常はその単語の出現回数が多いほどスコアが高くなりますが、「言う」や「思う」など、どのような種類の文書にも現れやすいような単語についてはスコアが低めになります。

つまり、このスコアに注目して分析することで、より意味のある解析が可能となります


時系列のアンケートならさらに良い

もしアンケートを「顧客満足度調査」のように、定期的に時系列でとっているのであれば、ワードクラウドの頻出語がどのように変化しているのかを比較検討することで、自社が行った施策が期待通りお客様に届いているかどうか、または意図しない変化が起きていないかどうか、分析することができます。

さらに、頻出語のカウントについて「検定」をかけることで、統計学的に意味のある(有意な)違いが生じているかどうか、調べることも可能となります。


パワフルなプレゼンが可能に

このように統計学に踏み込んだ分析を行うことで、同じアンケート結果からより多くの内容を読み解くことができ、また「統計学」という言葉を出すことにより、クライアントや上司に対して分析結果を説明する際によりパワフルなものとなります。

以上、アンケート結果のコメントを分析する方法を分かりやすく解説、という話題でした。テキストマイニングは一見難しく見えてもやってみると意外に簡単です。ぜひお試しください。何かお力になれることがあれば、ご連絡ください。




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【消費税】10%への増税で転嫁対策、便乗値上げ、消費税還元セールなどやって良いこと・悪いこと

消費税10%へ

2019年10月1日よりいよいよ消費税率が10%(軽減税率対象を除く)に上がります。このときに何をやったら駄目で、何をやっても良いのか、まとめてみました。



「消費税価格転嫁等」とは

「消費税価格転嫁等」とは、おおまかに言うと、取引において有利な立場にある者(大企業その他の法人)が不利な立場にあるもの(納入業社、小規模事業者、個人事業主など)に対して、消費税の増税に関して何らかの不当な圧力をかけてくることを言います。

不当な圧力とは、例えば次のような内容です。

(1)消費増税前と同じ価格になるように、本体価格の値引きを要請すること。増税分をそちらで負担してくれ!という話です。

(2)消費増税分だけ別のものを買ってくれと要請すること。「行って来い」の関係にしてチャラにしようという話です。

(3)税抜きの本体価格で取引価格の交渉をすることを拒否すること。税込価格で交渉して増税分を無かったことにしようという話です。

(4)消費増税分を上乗せして請求した業者に報復すること。報復をチラつかせて(1)と同じことを強要することを含みます。

今どきこんなひどいことをする会社があるのか?と思いますが、消費税が5%から8%に上がった際は結構このような事例があったそうで、今回の8%から10%についても公正取引委員会や内閣府が立ち上げた「消費税価格転嫁等総合相談センター」が窓口になって、適切な取引が行われるように監視・指導しています。万が一、このような不当な圧力を受けたらこれらの窓口に相談すると良いでしょう。


「便乗値上げ」はOK

消費増税分以上に値上げしてしまう「便乗値上げ」という行為があります。消費税が5%から8%に上がった際は消費者保護の観点から「禁止」とされていたのですが、今回8%から10%に上がる際には一転してこれが「容認」に変わっています。政府が消費者保護よりも増税の反動による景気の落ち込みの方を心配しているからです。

このため、2019年10月1日は値上げを考えている事業者にとっては良いチャンスかもしれません。消費税を口実にして何気に値上げする、ということです。これまで原材料の高騰でも値段据え置きで頑張ってきた、というなら考えてみても良いでしょう。


宣伝広告の文言は注意

消費増税の前に確実に「駆け込み購入」が発生するでしょう。5%から8%に上がった際にも発生しましたし、今回私もその気満々です。

問題は消費増税の後、どのように宣伝広告すれば良いかということです。駆け込みの反動で買い控えになりますので、そんななかでお客様の財布を開いてもらうにはどうしたら良いか、となります。

この時に注意が必要なのは、消費増税が無かったことにするような直接的な表現を用いた宣伝広告はNGだということです。例えば、「消費税還元セール」「消費税はいただいていません」といった表現はアウトになります。

これらの消費税と直接関連させた宣伝や広告の表現はこれまで通り禁止で、事業者が各自の経営判断で行う値引きセールや「10月1日以降2%ポイント付与」などの直接的でない表示はOKとなっています。


以上、消費税の10%への増税で転嫁対策、便乗値上げ、消費税還元セールなどやって良いこと・悪いこと、という話題でした。そもそも消費税って何?という方は、こちらの本がおすすめです。




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【読書】「ふろむだ」さんの本を読んで考えが広がってしまったウソの構造


「ふろむだ」さんの本

年末年始に久しぶりの大風邪をひきまして、本ばかり読んでました。そんななか読んだふろむださんの「人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている」。久々におもしろい本を読みました。


特にこういう考え方が好きです。運をコントロールする力というのは、こういうことを言うのでしょう。

“自分に才能があるかないか? を悩む時間があったら、その時間を、単純に、試行回数を増やすのに投資したほうが、はるかに成功確率が高くなる。悩んでる暇があったら、1回でも多くサイコロを振ろう。”

“ある程度の実力が身についたら、まだCVRが低くても、じゃんじゃんPVを増やしてしまう戦略のほうが、結局、効率がいい。 バカにされても、コケにされても、見下されても、大量のPVさえ稼いでしまえば、結局は、チャンスをつかめる。 CVRが 10 分の1でも、PVが 10 倍なら、コンバージョン数は同じ だから”



「勘違いさせる力」と「ウソ」

それで、「勘違いさせる力」と「ウソ」がなんとなく似ているというか、どう違うののだろうか?と考えが広がりまして、このエントリーを書いています。

「ウソも方便」と言うように、すべてのウソが悪いものでは無いのですが、「ウソは泥棒のはじまり」というように、ウソはやっぱり悪いとする考え方もあります。そうしますと、ウソには「良いウソ」と「悪いウソ」があるようです。

「良いウソ」から「悪いウソ」までにはいくつかの段階があり、自分の考えでは次の5段階の構造になっていると思う

(1)事実隠し
(2)粉飾
(3)虚偽
(4)捏造
(5)詐欺

(1)事実隠し

本当のことを言わないことです。例えば、A、B、Cという3つの事実があって、AとCは相手に伝えて、Bについては黙っている、という状態です。この場合、Bという事実を隠しているわけですが、これが「ウソをついている」のか?といえば、少なくとも自分の感覚ではウソはついていません。

別に尋ねられないことまで話す必要はなく、自分で伝えるべき事実を選んで伝えているのですから、これはこれで正当ではないか、と考えます。

ですが、この事実隠しというウソの第一段階が結構いろいろな場所で使われているのを目にします。例えば、企業のトップやマネジメント層が社員向けにメッセージを発したり、社内報に記事を書いたりしますが、かなりの確率で普通に事実隠しが行われています。つまり、その会社にまつわる事実のうち、不都合な事実は従業員に伝えられることはなく、従業員が気分よく仕事できるように都合の良いハッピーニュースだけが伝えられたりします。これも「錯覚資産」のひとつのように感じます。

重要なことは、従業員の側で、そのようなコミュニケーションが行われていることを知っておくことです。事実隠しによる従業員のコントロールは日常的な手段に過ぎないのですから、従業員は言われたことだけを鵜呑みにしてはいけませんし、自分で数字を読んだり考えたりして隠されている事実も読み解くようにすることが必要でしょう。


(2)粉飾

粉飾はいわゆる「盛ってしまった」状態です。小さな事実にお化粧を施して、大きな事実に誇張していることです。会計の数字などで粉飾をすれば、上場会社であれば上場廃止など社会的なペナルティを受ける大ごとですが、背が高く見えるように底の厚い靴を履いたり、スリムに見えるように縦縞の服を着たり、ちょっと盛ってしまった程度であれば、ウソをついている!と糾弾されることはないでしょう。(1)の事実隠しと同様に軽い罪ですし、「錯覚資産」のひとつの形態といえるでしょう。


(3)虚偽

虚偽は完全なウソです。事実と違うこと、事実でないことを言うことです。このあたりから「悪いウソ」の色が出てきて、犯罪に近くなってきます。ですが、「ウソも方便」のウソとは、たとえ虚偽でも、人を幸福にするもの、人に錯覚を与えて幸福感や救いをもたらすものであれば、100%ダメという訳ではない無い、という理解も成り立ちます。たぶんですが、ふろむださんの言う「錯覚資産」は(1)からこの(3)までを含むもののように思われます。



(4)捏造

捏造は事実を作ってしまうことです。何もないところに意図的に事実を作ります。世の中を見る限り、「良いウソ」のために事実を捏造する、というのはあまり無いように思います。つまり、たいていの場合は「悪いウソ」を企図して事実を捏造します。ただし、この「悪いウソ」は人を騙すためだけという訳ではなく、いわゆる「ドッキリ」のように人をびっくりさせたり、単に注目を集めるためであったりもして、もっとも結果的にそれで何らかの金品を得るためであれば、悪いことには違いありませんが、「完全なる悪」というほどの邪悪さはありません。


(5)詐欺

詐欺は完全に犯罪です。悪い意図をもって特定の他人を騙しにかかっていますので、完全に邪悪な「悪いウソ」です。詐欺罪で有罪になれば執行猶予が付かず、即収監となるように、人を騙すような人間は社会に置いておけない、ということになります。従って、有効活用すべき「錯覚資産」とは別次元の話でしょう。ですが、先日の大和ハウスの地面師事件のように、詐欺の技術というか舞台装置の構築についてはモノを考えたり仕事でコンサルティングするうえで勉強すべき点があるように感じます。それはもちろん自分が巻き込まれないようにするため、技術の応用のため、であって、有効活用するためではありません。こちらの本も読み始めまして、これまたおもしろいです。


以上、「ふろむだ」さんの本を読んで考えが広がってしまったウソの構造、という話題でした。「分裂勘違い君劇場」も楽しみにしております。



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【小さなビジネス応援】多くの人がうっかり間違える「みなし配当」についてわかりやすく説明

事業承継

みなし配当とは?

剰余金の配当ではないのに、実質的に株主に対する剰余金の配当と変わらない状態となったため、法人税法上の配当とみなすことをいいます。これを株主(個人)の側からみると、配当所得として所得税が課税されることになります。配当していないのに配当とみなすことから、法人においても株主(個人)においてもうっかり見逃しやすく、申告漏れ・誤りの原因になりやすい特徴があります。


みなし配当が発生する場合

みなし配当が発生する場合は下記のようにいくつかあります。発生頻度の点でいうと、(1)の自己(自社)株式の買い戻しがよくあるパターンです。例外的に(2)や(3)のパターンでもみなし配当が発生しますが、状況によりますし、このような特殊な場合は税理士などの専門家が対応しますので、あまり問題になりません。

(1)法人が自己株式を株主から買い戻す場合

(2)適格条件に該当しない合併や会社分割に伴って株主に金銭・株式を交付する場合

(3)解散して残余財産を分配する場合


事業承継との絡みで発生するみなし配当

事業承継においては、中小企業のオーナーが持っている自社株の評価額が高いと、多額の贈与税や相続税を払う必要があります。下記の記事のとおり平成30年の法改正により、これを実質無税とする方法が出来ましたが、この制度を活用しない(できない)場合は、やはり多額の贈与税や相続税がかかってきます。

このため、以前からよく使われる節税スキームとして「社員持ち株会」を使ってオーナーの自社株評価額を下げる、という方法があります。これは急に対応できるスキームではありませんが、従前から計画的に社員持ち株会を設立して、オーナーから一定の自社株式を社員持ち株会に譲渡しておくことで、贈与税や相続税の課税対象から除く、という考え方です。

ただし、社員持ち株会を持って運営することはやっかいな点もあり、事業承継のあとで、会社が社員持ち株会から再び自己株式として買い取ろうとすることがあります。この場合、みなし配当が発生することがあるので注意が必要です。(これが忘れやすいのです)


みなし配当金額の計算方法

みなし配当を認識したら、いくら配当したことになるのか算出します。この算出は簡単で、次の式で求めます。

みなし配当=交付金銭等の額 - 1株あたりの資本金等の額 × 所有株式数

ここで、「1株あたりの資本金等の額」とは資本金と資本剰余金を合算して発行済株式総数で割った値です。要するに株主に対する出資の払い戻しを超える部分の金額が配当とみなされるのです。


法人側でやること

みなし配当を行った法人側では税務上主に二つのことをする必要があります。(1)源泉徴収と納付、(2)支払調書の提出、です。

源泉徴収については、通常の配当と同様に復興所得税を含む所得税と地方税を源泉徴収し、翌月の10日までに納付します。また、支払確定日から1ケ月以内に、「配当等とみなす金額に関する支払調書」を作成し税務署に提出し、同時に株主に対しても通知の目的で支払調書を送付します。


株主側でやること

株主(個人)側ではみなし配当金額の通知を確認して、これを所得税の配当所得として認識・申告します。法人側で源泉徴収したものは所得税の税額控除が適用され、また配当所得に対しては配当控除の適用があります。さらに、株式を法人に譲渡した際に譲渡損益が出ていれば分離課税として所得税の計算上考慮することになります。


以上、多くの人がうっかり間違える「みなし配当」についてわかりやすく説明、という話題でした。




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【小さなビジネス応援】事業承継における多角化への処方箋を事例で説明してみた

事業承継

中小企業では事業承継と多角化がセットで話題になることが多いです。高齢化した創業者は市場の変化に疎くなってしまい、保守的な判断しかできなくなっていきます。それを不満に思う二代目社長が、自らの実績作りのためにも是非とも経営の多角化に乗り出したいと考えるのです。

これまで創業者が守ってきた堅い経営から、二代目社長によるチャレンジ経営への変化という訳です。ところがこれが多くの場合コケてしまう、失敗に終わるのです。この結果、過去の否定にやっきになっていた二代目社長は古株従業員の信頼も失ってしまい、会社の経営が悪い方、悪い方へと転回していく、というのがよく目にする「あるある」な話です。

これは何故なのか?こういった場合どうしたらよいのか?下記のケーススタディで考えてみましょう。



ケーススタディ

「A製菓」は和菓子の製造業を営んでいます。昭和41年創業、従業員30人の会社です。創業以来何度かの赤字転落は経験したものの、地元の地方スーパーを中心に販路をもっており、県内ではおなじみのお菓子メーカーです。創業者の堅実な経営のおかげで、ここ数年は黒字が続いています。ただし、大手スーパーやコンビニチェーンの発展にともない、価格競争が激しくなっており、売上・利益ともに成長は頭打ちの状況が続いています。

創業者は3年前に自分の子供(長男)を社長に昇格させて、自らは相談役に退いてします。二代目社長はこの成長頭打ち、価格競争激化、という状況を心配し、将来にわたって安定した経営を行うためには、多角化に打って出るしかない、と考えています

A製菓の主力商品である和菓子はテイストやパッケージなど古いままであり、昔からのお客様にとっては安心の定番ブランドとしてウケは良いのですが、若い世代にとっては「古臭い」「年寄り向け」というイメージが先行してなかなか選んでもらえない、という問題があります。

そこで、二代目社長は新たに洋菓子のテイストを入れたお洒落な(かわいい)新商品の開発を行い、また販路についても地方スーパーなどの地元小売店を経由しての販売から、首都圏のメジャーなデパートへの直営店の出店を行いたいと考えています。そうすることで話題作り、若い世代の取り込みが出来るからです。ただ、創業者である相談役はこのような多角化に反対の立場です。二代目社長と話し合っても結論は出ず、議論は平行線のままです。

もしあなたがこの二代目社長なら、このまま多角化を推進しますか?それとも別の方向を模索しますか?


分析

多角化経営の分析は、一般的にマトリクス型で考えます。つまり、横方向(水平方向)と縦方向(垂直方向)の二軸で分析します。

(1)水平方向。地続きの領土を広げるイメージ。自社の能力や強みを生かした新製品・新分野に打って出るパターンの多角化です。

(2)垂直方向。川上や川下へ広げるイメージ。製造のみから製造と販売へ、下請けから新製品開発へ、あるいはその逆など、自社のコントロールする範囲を拡張するパターンの多角化です。

この(1)と(2)のどちらが良いかはケース・バイ・ケースで異なりますが、重要なことは(1)と(2)を同時にやると失敗の確率が高くなる、ということです。(1)と(2)を分けて考えて、一つ一つ順番に進めたほうがリスクが低くなります。

それにも関わらず、(1)と(2)を同時にやろうとする例が多くなっています。今回のA製菓も同様です。(1)については既存の和菓子からお洒落な新商品への多角化、(2)については既存の販路から首都圏のデパートでの直営店への多角化、です。このふたつを同時にやろうとしています。このため、失敗の可能性が極めて高いです


処方箋

A製菓の場合、製菓の製造力、スーパーなど地元小売店を使った販路は強みと考えられますので、その強みを生かすことを考えます。A製菓に対する「経営処方箋」は次のようなものでしょう。

[1]  まずは、自社の製菓のノウハウや設備を使った高付加価値商品の開発を考えます。既存の商品だけでも黒字な訳ですから、この余力を使って新商品を開発します。新商品は必ずしも若い人にウケる要素ばかり気にする必要はなく、価格競争を避けて高い単価で効率の良い商品を投入します。

[2]  新商品は既存の販路でテスト販売して改良を重ねます。地元小売店はこれまでお付き合いや信頼をベースにして融通が効くはずですので、棚の位置やディスプレイなどの面で協力を要請します。

[3]  新商品が固まってきたら、やはり既存の販路を使って本格的に販売開始します。ここまでが第一段階です。

[4]  二代目社長の構想には首都圏のメジャーなデパートへの直営店の出店がありますが、これは慎重に行います。理由は、A製菓にとって未経験な店舗経営に打って出るのは危険ですし、首都圏のお客様にまったく認知されていないA製菓が突然出店してもスルーされるだけ、ということがあります。

首都圏には全国から様々な菓子店が出店してすでにレッドオーシャン化していますので、成功の確率はますます小さくなります。

[5]  したがって、首都圏への進出はいったん待って頂き、新しい販路開拓を検討することを薦めます。つまり、同じ垂直方向の多角化でも首都圏の店舗経営ではなく、別の販路の開拓に挑戦するのです。

別の販路とは、今の時代でいえばインターネット経由(EC)での販売がまず挙げられます。ECであれば、日本だけでなく全世界が市場になりますので、A製菓の既存の和菓子や育ててきた新商品をこれらの新しい市場に届けることができます。

とはいえ、ECも簡単な話ではありませんので、スモールスタートから初めて試行錯誤を重ねながら市場を広げていきます。もしこれが成功すれば、首都圏のお客様にも認知されるようになり、やがて首都圏のデパートに直営店を持つ、という二代目社長の夢もかなうかもしれません。


以上、という話題でした。実際には多角化経営の奥は深いです。次のような書籍も参考にぞうぞ。


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【2019年 所得税確定申告】個人事業主向け。新年になったので去年の経理をして確定申告に備えよう

確定申告の季節です。個人事業主(フリーランス)向けに確定申告の基礎の基礎についてご案内します。


個人事業主の決算のやり方

個人事業主(フリーランス)の場合は、カレンダーの1年(暦年)で区切りをつけて、1年間の売上(収益)と経費(費用)の集計をします。この集計作業を「決算」といいます

多くの個人事業主の方は、日常の経理をやる暇がないですが、新年になったら早めに時間を見つけて、「決算」をやっておくと、2月から始まる確定申告にスムーズに入っていけます。

まずは、請求書など売上の記録と、領収書など経理の記録を引っ張り出して、簿記なのでおなじみの会計仕訳の形式にします(業界用語で「仕訳をきる」といいます)。下記の過去記事にそのやり方を簡単に説明していますので、ご参照ください。

会計仕訳を行うツールは、最近はやよいの青色申告オンライン 【会計ソフトfreee(フリー)】 のようなクラウド会計サービスも便利で良いのですが、規模が小さい場合には、通常のエクセルで十分です。下記で紹介している「無料シンプル経理ツール」は、そのような小規模事業者にぴったりです。エクセルのマクロで私が自作した簡単なツールです。会計仕訳から損益計算書・貸借対照表を作成することができます。これだけで確定申告の準備まで行けますので、お試しください。

ただし、雇用している人がいたり、月に50程度以上の取引(仕訳)があるなどある程度の規模なら、やよいの青色申告オンライン 【会計ソフトfreee(フリー)】 のようなクラウド会計サービスを使ったほうが良いでしょう。

やり方とツールが決まったら、あとはひたすら去年分の仕訳を切っていきましょう。もし、「面倒でやっていられない」「時間が無い」という場合には、アウトソーシングすることもできます。税理士ドットコム のようなサイトから税理士の紹介を受けて、アウトソーシングできないか相談してみましょう。税理士によっては仕訳入力から申告まで代行してくれます。もちろんコストがかかりますが、最近は価格競争のため安くなっていますので、時間と安心を買うと思えばリーズナブルな選択肢ではあります。


決算整理仕訳のポイント

決算整理仕訳とは通常の取引の会計仕訳と異なり、決算のときだけ行う会計仕訳です。いくつかの項目がありますが、ここでは個人事業主の場合に必要な可能性が高い4つを紹介します。

(1)発生主義への修正

日常の取引は「現金主義」と呼ばれる考え方で仕訳することが多いです。つまり、現金を受け取ったら「売上」を、現金を払ったら「経費」を認識します。普段はこれでも良いのですが、本来のルールは原則として「発生主義」の考え方で仕訳することになっています。発生主義では、現金をまだ受け取ってなくても、物やサービスを引き渡していたら「売上」を、現金をまだ払ってなくても物やサービスの引き渡しを受けていたら「経費」を認識します。

このため、12月と1月をまたいで、認識がずれてしまうものを修正する必要があります。例えば12月に物やサービスを引き渡していて、代金は1月に受け取る場合、「売上」を認識して次の仕訳を切ります。

売掛金 xxx    売上 xxx

同様に、12月に物やサービスの引き渡しを受けていて、代金は1月に払う場合、「経費」を認識して次の仕訳を切ります。1行目は仕入れの場合、2行目は電話代のような費用の場合です。

仕入 xxx 買掛金 xxx

費用 xxx  未払費用 xxx

また、逆に、事務所の家賃のようにまだ物やサービスの引き渡しを受けていないのに、12月に1月分の代金を前払いした場合、「経費」には計上できませんので、次のような仕訳を切ります。

前払費用 xxx 現金 xxx

このように「期間をまたぐ部分」の修正を行って、12月までに発生したものだけ、収益と経費に計上するように調整します。

売掛金・買掛金・未払費用・前払費用といった一時的な勘定科目は、翌年の初頭に逆仕訳をきって、年の途中は再び「現金主義」で仕訳していけば良いです。

年の初頭 ー> 売上 xxx 売掛金 xxx

年の途中 -> 現金 xxx 売上 xxx


(2)固定資産の減価償却

設備品など固定資産を期中で購入した場合は、いっぺんにその期の経費には出来ず、耐用年数(法律で決まっている)の間に分割して経費化することになります。この経費化が「減価償却」です。従って、次の仕訳をきります。

買ったとき ->  固定資産 xxx 現金 xxx

決算時 -> 減価償却費 xxx 固定資産 xxx

ただし、パソコンなど固定資産が10万円未満であれば、その期に全額を減価償却費にすることができます。また、税務署に青色申告を事前に申請してることを条件として、30万円未満であれば、その期に全額を減価償却費にすることができます(少額減価償却資産の特例といいます)。


(3)仮払金の清算

もし期中に仮払金や仮受金があれば、何のお金だったのか調べて、正しい勘定科目に置き換えます。仮払金や仮受金がそのまま残らないようにしましょう。

払ったとき -> 仮払金 xxx 現金 xxx

決算時 ー>    旅費交通費 xxx 仮払金 xxx


(4)棚卸し

商品や材料の在庫を持っているような場合は、「棚卸し」を行って、帳簿上の在庫と実際の在庫の差を確認します。紛失などで在庫が少ない場合や、古くなって売り物にならない場合にはその損失を経費に計上します。

決算時 ー>  商品減耗損 xxx 商品 xxx

決算時 ー>  商品評価損 xxx 商品 xxx


確定申告の準備

決算整理仕訳まで終わったら、確定申告の準備をしましょう。確定申告は税務署の窓口では毎年2月16日から3月15日まで(土日によりずれる可能性あり)です。早いうちに準備を済ませて心の負担を無くしましょう。また、インターネット経由での申告であれば、1月4日から行うことができます。

確定申告はインターネット経由で国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を使って行うのがお勧めです。平成31年(2019年)から作成コーナーの外観が新しくなっています。全体的にスッキリして分かりやすい印象です。

パソコンにインストールして使うソフトウエアの「e-Tax」と混同しやすいのですが、「確定申告書等作成コーナー」では特に何かをインストールする必要はありません。ウェブブラウザーでアクセスして使います。私も最初間違えたので、混同しないように注意しましょう。

確定申告書等作成コーナー」を使う前提として、税務署に出向いて「ID・パスワード」の発行を受けましょう。平成30年までは「マイナンバーカード」を挿入したICカードリーダーをパソコンに接続していないと申告出来ませんでした(申告書の作成と印刷は出来ました)が、平成31年からは普通の「ID・パスワード」だけで申告できるように変わっています。これがあればパソコンが無くてもスマホから申告できますので、是非「ID・パスワード」を取得しましょう。ただし、事前に本人が運転免許証などの本人確認書類を持って税務署に行く必要があります(代理不可)

「ID・パスワード」方式ではChromeやFirefox などのブラウザでも申告できます。「マイナンバーカード」方式ではInternet Explorer 11 しかサポートされてなかったので、確定申告のためだけにIEを使う必要もなくなりました。

上記以外の準備としては、会社が発行した源泉徴収票、医療費控除を受ける場合は医療機関等の領収書、ふるさと納税した場合は寄付金受領書、事業所得の決算書などを揃えます。

医療費控除については、集計用ファイル(作成コーナーの右上に掲載)のダウンロードを行って、あらかじめ詳細をエクセルで入れておくと良いです。


所得税(事業所得)の申告と納税

ここまで準備が出来たら、「確定申告書等作成コーナー」の「作成開始」から作成するだけ、です。ガイダンスに従って数字を埋めていくと、1時間もかからずに申告書の送付まで終了します

また、送付後に「間違え」に気がついた場合は、また最初から入れなおして、再度申告書を送付します。税務署では、3月15日までで一番最後に届いた申告書を最終のものとして扱ってくれます。最初に送付した申告書は無視されますので、税務署に連絡を入れたりする必要はありません。

払いすぎた税金が戻る還付ではなく、納税となる場合には、「クレジットカード納付」がお勧めです。手数料がかかるのが残念ですが、その分カードにポイント(マイル)を貯めることもできて、場合によってはお得になります。下記の記事よりご検討ください。


確定申告で使った各種書類は法律上の保存義務(5年間)がありますので、まとめて大きな封筒にいれて、紛失しないように取っておきましょう。

以上、個人事業主向け新年になったので去年の経理をして確定申告に備えよう、という話題でした。もっとしっかりしたガイダンスが欲しい方は、下記のような書籍をお求めください。


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